第18話 挑戦!上級回復薬


 自宅に帰ってから、実験室に行って、冒険者ギルド用の初級回復薬作りをすることにした。まずは、世のため人のためである。


 魔法薬作成キットと、ヒール草200枚とくず魔石を取り出す。くず魔石はブルースライムの物を使った。そして忘れずにビンを200本出す。

 

 キットのお皿にちぎったヒール草200枚を入れて、セリーナにクリーンをかけてもらう。いつも通りピカピカできれいになる。


 私は、ウオーターでちょっと金色になった水を出して、四角い容器に入れる。


 ビンを200本セットする。


 ブルースライムのくず魔石を入れる。

 

『スイッチオン!』でしばらく待つ。


 グイン、グイン、カタコト、カタコト。装置が動き出してからしばらくすると、初級回復薬が出てきた。


 初級回復薬を200本できたところで、空間収納に全部しまう。


 そこで、もう初級回復薬は300本作ったし、作る技術といってもセット前の準備だけだから、もう中級や上級もいけるんじゃないの? と思ってしまった。調子に乗りやすい私である。


「これだけうまく初級回復薬ができれば中級回復薬や上級回復薬もできる気がするんだけど、どうだろう?」


 と、一応セリーナに聞いてみた。


「私もできる気がします。お嬢様の手順と材料ならばできると思われます」


(ふふふ。やってやるわ)


 セリーナも出来そうだと言ってくれるので、挑戦することにした。

 上級回復薬が出来たら欠損部位も直せるから、ぜひ作ってストックしておきたい。

 部位欠損を直せる魔法は、ヒールよりもずっと上位の魔法になるのだろうから、多分魔法の習得はとても難しそうだ。


 そうすると、やっぱり「回復薬の方がいい」じゃないの? と、思ってしまう。


 セリーナに、魔法薬作成キットをウオーターとクリーンできれいにしてもらってから始める。


 テーブルに材料を並べていく。中級と上級回復薬に必要なのはマナ草だ。

 ヒール草10枚、マナ草10枚、くず魔石とビンを10本出す。


 魔法薬作成キットのお皿に、ヒール草とマナ草をきれいに洗ってちぎっていれる。その後、ヒール草とマナ草にクリーンをかけてもらうようセリーナにお願いする。


 きれいな水は、自分のウオーターで出す。いつもの少し金色になった水だ。どうもこの水がキーポイントになる予感がするし、金色になっている理由は聖属性魔法の力だと思うのだ。そこで、容器へ入れた水に、聖属性の魔力を混ぜ込むイメージで魔力を注ぎ込む。隠し玉の準備は万端である。


「お嬢様、ウオーターで作った水が、今まで以上に金色へ変化しているように思います」


「私、聖属性の魔力持ちなので、聖属性の魔力を水に混ぜてみたの。多分、これがポイントだと私の感が言っているから。ふふふ」


「お嬢様、何と言いますか、うまく行く気がします」


「そう。よかったわ。ふふふ」


 それからビンをセットする。先日作ったビンの中で一番高級感のあるものを選んだ。


 魔石は多分ただの動力源だと思うので、ブルースライムのくず魔石にしておく。


 さて、いよいよ作成開始だ。


「スイッチオン!」


 グイン、グイン、カタコト、カタコト。装置が動き出してコトリという音とともに、薬ビンが1本ずつ出て来る。次々と薬ビンが10本出てきた。


 どのビンの中の液体は、今まで見たことないほどキラキラしていて、透き通った緑色だった。


「お嬢様。とてもいい感じの回復薬になっている気がしますが、試せないのが残念ですね。さすがに、腕は切り落とせません」


「そうだね、セリーナ。確かにうまくいった気がするから、よく調べてみるよ」


 そう言って、ずっとビンの中の液体を見続けた。


 1時間以上見つめていただろうか、頭の中に「上級回復薬:効果中」という文字が浮かんできた。なんとなく『鑑定のスキル』を習得できた気がした。隣をじっと見ていると、「中級回復薬:効果上」と見えた。10本を確かめてみると、「上級回復薬:効果中」が5本。「中級回復薬:効果上」が5本だった。


 確かに、薬を『鑑定』するスキルを手に入れたようだ。


「やったあ!」


 大声で叫んでしまった。女神フリーディア様の加護(スキル習得率大幅増加)バンザイだ。


 この5本は、まだ人前へ出さないようにした方がいいと思うので、必要な時が来るまで、空間収納へ大事に保管する事にした。




 次の日、私たちは、冒険者ギルドに行った。


「こんにちは、ジェーンさん。今日は、初級回復薬の納品に来ました」


 笑顔でジェーンさんに話かけた。

 そう、私は、薬師ギルドへの納品をやめて、冒険者ギルドへ納品することにしたのだ。街角聖女の第一歩である。そこで、昨日作った初級回復200本を納品した。空間収納には、100本残っているが、それはいざと言う時のために売らないでおいた。


「サリー様。納品ありがとうございます。先日はありがとうございました。先日の100本と合わせて、300万マルクになります。ギルド口座へ入れますか?」


「はい、そうしてください」


 お金は、全額ギルド口座に入れてもらう事にした。現金はセリーナが持っているから、貯めておくことにした。


 次はいよいよ、投げる回復薬作りだな。水鉄砲はだめだろうな。やっぱり水風船を作ろう。でもどうやって作ろうか? 悩む私だった。


 ――――――――――――――

 名 前:サリー・グレアム

 スキル:基礎魔法

 スキル:聖魔法Lv99(身体強化、バインド、バリア)

 スキル:格闘術Lv60

 スキル:調合Lv99(初級回復薬、中級回復薬(新)、上級回復薬(新))

 スキル:科学魔法Lv99(抽出、合成、変形)

 スキル:鑑定Lv50(新)

 スキル:探知Lv99

 ギフト:女神フリーディアの加護(空間収納、科学魔法創造、スキル習得率大幅増加)

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