第17話 素材集めは大漁大漁


 次の日。私たちは『ユクラシルの森』にやって来ていて、ヒール草をどんどん採集している。時々生えているマナ草も採集している。


 エゲツナイ物を作る前に、不足している初級回復薬を大量に作って冒険者ギルドに納品しておかないと、街の人たちのためにならないのだ。


 若干、街角聖女と言われたからというのもあるのだけれど…………。


「お嬢様、近くにあるヒール草は、葉が少ないようです」


「そうね。これは取らない方がいいわね。もう少し奥に行ってみましょう」


 森の奥に進んで行くと、ヒール草がたくさん生えていたので、葉だけではなく種も採集しながらどんどん奥に進む。


「かなりたくさん採集出来ましたね、お嬢様」


 セリーナがそう言ったので振り返ると、私の『探知』に何か引っかかるものがあった。


「セリーナ! しゃがんで!」


 そう言った瞬間、茂みからツノウサギが飛び出してきた。


「えい!」


 私は一瞬で身体強化をイメージして、手刀で首を切り飛ばす。血が吹き出した。

 すぐにセリーナが解体ナイフで魔石とツノを取ったら、お互いにクリーンをかけて体をきれいにする。


「ツノウサギの死体は、そのまま置いておこうか」


「それがいいでしょう。お嬢様」


 ツノウサギの死体は放置して、スライムをおびき寄せる餌にして放置すると、また薬草採取を開始する。


 今回は、5株に1株の割合で、根まで採取した。


 しばらくしてから、ツノウサギの死体の所に戻ると、スライムではなくて、グレーウルフ5体と、リーダーらしいホワイトウルフが1体いた。ちょっと怖いので、強そうなのはセリーナにお任せである。


「セリーナにホワイトウルフは任せてよいかしら」


「お任せください、お嬢様」


 どうやら、セリーナには余裕の魔物のようだった。そんな会話をしながら私は、グレーウルフの集団に向かって駆け出す。身体強化はすでにイメージ済みだ。


 私は、グレーウルフを一体ずつ仕留めていく。

 前から飛び掛かって来るウルフの鼻先に正拳突きを放つ。

 左右から飛び掛かって来るウルフには、左右の裏拳で鼻先を狙って殴り飛ばす。

 後ろのウルフに、回し蹴りで頭を蹴り飛ばす。

 引き気味の最後の一体は、飛び蹴りを放つ。

 全部を仕留めたら、頭がつぶれたウルフで周囲が血まみれになっていたけれど、なにも気にならなかった。

 どうやら、私の腕も精神力もかなり上がってきているようだ。


 セリーナも短剣を両手持ちにしてホワイトウルフの首の動脈を狙ったようだ。

 仕留めたホワイトウルフのかたわらには血だまりが出来ていた。


 近くを「探知」してみたら、やはりブルースライムが集まって来ていたので、私がそちらに向かうとセリーナもついてきて、一緒にスライム狩りをする。


 全部のモンスターを討伐したら、協力して魔石を集めた。ウルフの死体は、使い道に考えがあったので、全部空間収納に入れた。


 その後、「探知」にウルフ3匹位の大きな魔物の気配があった。


「セリーナ、また魔物の気配がするけれど何だろう。結構大きい気がするけど」


「これだけの血ですから、遠くのキバイノシシでも出て来たのではないですか。鼻が効くから遠くからでもやってきますよ、お嬢様」


 しばらく警戒していると、バリバリという木をなぎ倒す音が聞こえてきた。


「ちょ、ちょっと、あれはあぶないかもしれないわ」


「お守りしますから余裕で大丈夫です。お嬢様」


「じゃあ、遠距離から魔法を使ってみるわ、セリーナにはまだ見せたことが無いけどよろしくね」


「なるほど、いつもの秘密ですね。お任せください、お嬢様」


 ガサガサという音とともに茂みから大きな体が飛び出してきた。キバが発達していてとても長く、毛むくじゃらの様子は昔のマンモスのようだと、ウララ時代の私が思い出している。


(バリア)


 心の中で、まず魔法を連続してイメージしながら走り出す。まず、安全第一に、私に注意を向けるためだ。


(身体強化)


 猛突進してきたキバイノシシを、強化した肉体で瞬間的に動いて避けると、バリアギリギリの所をすり抜けて行った。


(バインド)


 振り向きざまに前足を縛るイメージでバインドの魔法をかける。


 ズドンという大きな音と、ブギイという大声とともに、キバイノシシが前転して転がった。


「やあ!」


 そこにすかさず、セリーナが走り寄って、右の首筋の動脈めざしてナイフを突き刺す。


「ブモオー」


 でもまだキバイノシシは元気に動いている。皮が厚いのかもしれない。


「せい!……ぐっ」


 私も正拳突きで頭蓋骨を狙ったが、弾かれた。右に回り込んで、セリーナのナイフを狙う。


「せいや!」


 今度は深く突き刺さった。


 セリーナが左の動脈にもナイフを突き刺していたので、すかさず左に回り込んで拳を打ち付ける。


「やあ!」


「ブギャア」


 ようやく絶命させた。


「ふう。大物がとれたわ。イエーイ!」


「素晴らしかったです。お嬢様。イエーイ!」


 その後、セリーナと私で協力して腹を裂いて魔石を取り出してから、体はまるごと空間収納に入れた。魔石もたくさん手に入れた。大漁だ!


「キバイノシシが倒した木材も素材になるから取りに行きましょう」


「了解しました。お嬢様」


 二人で集めた大量の木材も、どんどん空間収納に入れた。木材も大漁だ!


「セリーナ、最後に川へ行って素材集めをしたいわ」


 王都の森の上流には火山があるので、川に行けば素材になる石や素材がたくさん取れるのではないかと以前から考えていたのである。


「お嬢様、いろいろな色の石を集めればいいですね」


「そうね色が大事ね。それから黄色の石や卵がくさったようなニオイのする石が見つかるとうれしいわ」


 そう言って、河原で火山から流れて来たような岩を選んで大量に空間収納に入れていく。特に、黄色の硫黄の塊が取れたのはうれしかった。


 さて、これだけ素材が集まればいろいろできるよね。明日は何を作ろうかな。


 ――――――――――――

 今日集めた素材:ヒール草の葉200枚、根がついたヒール草20株、マナ草20枚、根がついたマナ草5株、ヒール草の種、ツノウサギの死体1体魔石1個、ブルースライムの魔石32個、グレーウルフの死体5体魔石5個、ホワイトウルフの死体1体魔石1個、木材大量、キバイノシシの死体1体魔石1個、河原の石(各色と硫黄)

 ――――――――――――

 名前:サリー・グレアム

 スキル:基礎魔法

 スキル:聖魔法Lv99(身体強化、バインド、バリア)

 スキル:格闘術Lv60(上昇)

 スキル:調合Lv99(初級回復薬)

 スキル:科学魔法Lv99(抽出、合成、変形)

 スキル:探知Lv99

 ギフト:女神フリーディアの加護(空間収納、科学魔法創造、スキル習得率大幅増加)

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