第10話 楽々採集


「ここにあったわ。セリーナこっちに来て一緒に採りましょう」

「はい、お嬢様」


 私たちは、朝から王都近くの森に来て、薬草を採取をはじめた。

 薬草採取を始める前に、セリーナに私の『空間収納』のギフトについて話す事にした。


「セリーナ。大事な話があるの。これは誰にも話しては困る秘密の話だけれど聞いてもらえるかしら」


「もちろんでございます。お嬢様」


「そう言ってくれると思っていたわ。実は私、『空間収納』スキルを持っているの。今日採集する薬草を中に入れておけば、ずっとそのままでいるの」


「分かりましたお嬢様。その秘密は必ず守るとお約束いたします。それに、素晴らしいスキルをお持ちになりましたね。セリーナは心からお嬢様を応援しております」


 セリーナの言葉は本当にうれしかった。秘密を共有すると仲間意識が高くなるというけれど、本当にセリーナとの距離が縮まり、仲間になった感じがした。ただ、私の秘密はいくつもあるので、話すのは少しずつにする事にした。


 薬草採取を始めたら、薬草のある場所が私の頭の中に見えることが分かった。薬草をイメージしてそれを探したいと強く願っていると、頭の中に地図が浮かんで薬草のあるところに青い点が現れるのだ。これは『探知』のスキルに違いない。女神さまの加護のおかげだ。


 セリーナと協力して薬草採取をしたら、すぐに私の空間収納へ入れるようにする。ヒール草を集めたけれど、私の頭にはマナ草も探す事が出来たので、中級回復薬のために採取しておくことにする。


「セリーナ、そろそろ一度休みましょうか」


「かしこまりました。お嬢様」


 セリーナが、冷たくなった紅茶とクッキーを出してくれた。


「冷たい紅茶もいいけれど、熱いお湯を持って来れば、ここで紅茶をいれられるわね」


「そうですね。お嬢様。今度は何かおいしい物や暖かい物も持ってきましょう」


 そんな話をしていたら、茂みがガサゴソと音がして、ツノのあるウサギが鼻をヒクヒクさせて現れた。


「ツノウサギかしら。冒険者ギルドの資料室で見た気がする」


「ツノウサギに間違いないでしょう。どうしますか?」


「初めて見る魔物だから、セリーナに任せていいかしら」


「お任せください、お嬢様」


 セリーナはバッっと駆け出すと、スカートの中にある短剣を取り出して、一閃する。バッっと血しぶきが飛んで、首が落ちた。


 それから、解体ナイフで、心臓の近くを切り開いて、黄色い魔石を取り出しツノも切り落とした。ナイフはクリーンできれいにしてからスカートの中にしまい、魔石とツノもクリーンできれいにしてから戻ってきた。


 初めて見る戦闘シーンと血しぶきにちょっと驚いた。けれど、解剖もずいぶん経験している私にはそんなにダメージはない。


「ありがとうセリーナ。すごかった。慣れているようね」


「お任せください、お嬢様」


 そんな話をしていると、ツノウサギのところに、青いゼリーのような生き物が近づいていた。


「お嬢様、死体を掃除してくれるブルースライムです。魔石が取れます」


「今度は、私が戦ってみるわ」


 そう言って、精神を集中して『身体強化』を自分にかける。スライムまで一気に近づいて少しだけ力をいれて殴る。グシャンという音がして水がはじけ飛んび、青い魔石がころがった。クリーンを自分の身体と魔石にかけてから、魔石は、空間収納に入れた。


 それから、ツノウサギの所には次々と、スライムがやって来た。どうやらスライム祭りらしいなんてバカな事を考えていたら、うじゃうじゃと20匹以上集まっていた。これはラッキーと、どんどんやっつけることにする。


「スライムを二人で片づけましょう」


「お任せください、お嬢様」


 私はこぶしでセリーナは短剣で、つぎつぎとやって来るスライムを片づけていたら、魔石が30個ほど集まってしまった。


「これなら、くず魔石を買うことが無くてよかったわ」


「そうですね。お嬢様」


 スライムがたくさん現れた場所は、森の茂みから少し外れた日陰だったから、水に近いか湿っている場所が好きなように感じた。今度スライムの魔石を集めるにはいい事を知ったと思った。

 

「最後にヒール草を10株とマナ草を10株、根っこから薬草を取って帰りたいんだけど」


「お任せください。お嬢様」


 そう言って、セリーナはササっとヒール草とマナ草を採取して私に渡してくれる。私は、それを空間収納に入れて持ち帰った。


 馬車が停めてあるところに戻り、のんびり待っていてくれた御者さんに声を掛けて家に帰った。


 ふと、ツノウサギのツノがいくらになるのか気になって、冒険者ギルドへ寄ってもらうことにする。


「セリーナ。ツノウサギのツノがいくらで売れるか興味があるので、冒険者ギルドに寄ってもいいかしら」


「大丈夫です。お嬢様。まだ時間がありますので、そうしましょう。私も興味があります」


 セリーナも笑顔でうなずいてくれたので、冒険者ギルドに向かう。


 王都の冒険者ギルドに着いたら、まさかの大騒ぎだった。


 ――――――――――――

 名前:サリー・グレアム

 スキル:基礎魔法

 スキル:聖魔法Lv99(身体強化、バインド、バリア)

 スキル:格闘術Lv30(上昇)

 スキル:調合Lv99(初級回復薬)

 スキル:科学魔法Lv99(未)

 スキル:探知Lv99

 ギフト:女神フリーディアの加護(空間収納、科学魔法創造、スキル習得率大幅増加)

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