第35話

それから数日間は夜の行いを除いて特に変化はなく平和に過ごしていたけど明後日で元の世界に帰らなければならないと伝えると椛さんはショックで真っ白になってそれはどうしても戻らないと駄目なことなのじゃと悲しそうな声で聞いてきたので返答をした。






「まあ、気持ちは分かるけど仕事をしないとこちらの世界に来れなくなってしまうし栗饅頭とかレトルトカレーなども買ってこれなくなってしまうからそちらとしても嫌でしょう」






すると落ち込みながら確かにそうじゃがと悲しそうにしていると紫ちゃんが勝ち誇ったように私は一緒の職場だからいつでも居られるし一緒に帰れると嬉しそうにして話していると俺は紫ちゃんにある現実を突きつけた。






俺はこの休みの後はかなりの仕事があるから普通に残業する可能性が高いから一緒に帰れない上に紫ちゃんは普通に絶世の美女だと思うから職場の社員たちが飲みに行こうと誘われるから難しいと思うよと言うと今度は紫ちゃんが真っ白になり灰になって風に飛ばされた。






紫ちゃんは毎回、思うけど人間業ではない事を普通にしてくるだけどどこでそんな技を覚えてきたのか知りたいぐらいだったけど今はなので当分は無理かもしれないと伝えた。






実のところ、この仕事はある意味助かる事かもしれない。最近は夜が激しくて体力と言うかゆっくりと寝られる日がないのでこの仕事はある意味、良かったことかもしれないと考えていた。






そんな時に俺を早く帰すにはどうすればと言われたけど仕方がないじゃん、仕事が終わらないだからさと思っていたらとんでもない提案を出されたのである。






それは椛さんたちも共に俺が住んでいる世界に来て仕事を手伝いをすると言うのだ。確かに会社はいつも人材不足しているから有り難いけど仕事なんて出来るの?いや、そもそも面接とか履歴書とかどうするつもりなのと思いで言うとそこは蛟ちゃんの洗脳でなんとか誤魔化すと言うのだ。






それは人として駄目でしょうと言おうとしたけど俺が会社に上の人からされてきたことを思い出してからこれは天罰だなと言うのをやめた。






大変な事になるかもしれないけど普段の行いが招いた結果だと思って見捨てる事にした。どんな風に洗脳されてしまうか理解は出来ないけど頑張ってくださいねと思いながら見ることにした。






それで上手く会社に入っても仕事はと言うとこう見えて仕事は意外と出来るというのだ。大丈夫かな、うちの会社は平気で労働基準法を破っているけど耐えられるかなと今度はそちらで心配になった。






疲れ過ぎて倒れてしまわないか気になるけど本人がやる気があるうちは好きなようにしてあげよう。近いうちに根を上げてしまうのが何となく予測できてしまうけど。






そんな事を話し合っていると外にこの神社に参拝客が見えたので言葉を交わそうとして出てみるとその参拝客は滅茶苦茶なイケメンで超が3つほどついてもおかしくないほどでこんなのはアニメしか見たことがないと思えるほどであったがそのためにあの町に暮らしている者ではないと理解できた。更に言えば妖狐でもないので俺は少しばかり警戒をしながら話し掛けてみた。






「あの・・・どちら様でしょうか?この辺りに住んでいる人ではないとお見受けられますけど・・・」






「・・・これは返事が遅れました、確かに今はこの辺りに住んではいませんよ。昔はこの辺りに住んでいましたので懐かしい景色と共に参拝もしてきました」






男は優しそうな声で返してきて怪しい人ではなさそうだから安心したけどこの男は何処かで見た気がすると感じていた。何処なのかは分からないけど確かにこの男らしい人とは出会っているはずなんだよなと必死に思い出そうとしていた。






けれども思い出したくても思い出せずにいると男は恐らく僕と竜輝さんは初めてですから知らないと思いますよと言われた。そうか、俺の勘違いだったのか・・・あれ?なら何で俺の名前を知っているの、まだ自己紹介もしていないよねと思いながら見ていると遠くから女性がこの目の前の男に対して話をしたのだった。






「酒呑童子様!全く、こんな所にいたのですか。皆がどこに行ってしまったのか、心配をしておりますので少しでも早くに戻ってきて下さい」






・・・うん?今、この男のことを酒呑童子と呼ばわなかった。もしかして目の前の男はかなり危険な存在だったりと思っていたらそれを読まれているように酒呑童子は俺が欲しい答えを話し始めた。






「心配しなくても僕は竜輝さんを食べたり、そして竜輝さんが大切な人たちには危害を加えるつもりはありませんから安心して下さい。僕は本当に思い出がある地を巡っているだけですから」






こちらが警戒していることに気がついて説明をしてくれた。確かに優しそうな感じだし鬼とも思えなかった、でも鬼でも優しい鬼もいてもおかしくは無いなと感じた。人間でも色々といるから鬼もそうなんだろうと解釈した。






すると酒呑童子は笑みをしてから頭を下げてそれでは失礼しますと言ってその場から立ち去り始めたけどあの顔はやはり何処かでと思いながら見送るのだった。






何もしないならそれに越したことはないからそれに俺は元の世界に帰るために支度もしないといけないからゆっくりとしている暇はないと考えて俺も神社の中に入り支度を再開させるのだった。








本日の成果


椛さんたちが俺が住んでいる世界に来ることになった!


神社に超超超イケメンの鬼が参拝に来た!


鬼の正体は酒呑童子だった!
















そうして遠くに離れた酒呑童子たちは話をしていた。






「全く酒呑童子様はいくら貴方様とはいえここは酒呑童子様にとって過去の世界ですから下手に歴史など変えないでくださいね。変わってしまったら今の私達は消えてしまいますから」






「ごめん、次からは気をつけるよ。それにしてもやはり竜輝さんは優しかったな、改めてそう思うよ。君はどう感じた?」






「そうですね正直な感想を言いますと流石、酒呑童子様・・・凪様を育て親と思いました。改めて凪様の優しさはあの人から受け継いだものだと理解をしました」






するとそう言ってくれるとこちらとしても嬉しいかなと言いながら一度、神社の方に振り返りお義父さん、昔の僕の事を頼みますと頭を下げてお願いをしてから何処かに立ち去るのだった。その足取りは誰にも分からなかった。

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