第31話

あれから俺はみんなに説得して何とか収まってくれたけど逆に言えばみんなが優しいからここまで怒ってくれたと思うと少しばかり嬉しくなった。こんなに周りから愛されて、親からは確かに恵まれたとは言えなかったけどそれ以外からは恵まれたかもしれないと思うのだった。






それから男の子の名前も落ち着いてから尋ねると名前はないと言われてしまった、真面目にこの子の親には顔面を殴りつけたいところであるけど今はこの子の名前を考えることにした。






そうして考えた名前は凪なぎと言う名前に決まった、すると気にってくれたのか嬉しそうだった。さて、俺も寝ているばかりでは悪いから何か手伝うよと伝えると皆から病み上がりなんだから少しは寝ていてと言われてしまった。






大分、状態は良くなったと思うだけどなと考えていると皆で作業を分けてやるという話を聞こえてきた。みんながそう頑張るなら俺もゆっくりと休むことにしようかな、別に大変なことになど滅多なことがなければないからと考えた次の瞬間に恐ろしい事実を聞いてしまった。






「なら料理はこの紫に任せてください!先輩から天に昇る味だねと言われるぐらいの腕ですから安心して下さい。それでは私は早速、食材を集めに行きますから期待して待っていて下さい」






大変だぁぁぁぁぁぁ!!!滅多にないことが起きてしまったぁぁぁぁぁぁ!!しかも変に紫ちゃんが解釈してしまっていたぁぁぁぁぁぁ!!このままだと数時間後には地獄の光景が広がってしまう、誰もが紫ちゃんの料理の腕を知らないから騙されている。






確かに天に昇る味だけど・・・真面目に帰ってこれなくなってしまうから死んでしまうからと俺は止めようとしたけどすぐに解散してしまって止めることができなかった。






最悪な未来を想像してしまって真っ青になりながら俺はどうすればと思っていると蛟ちゃんがどうかしましたと心配そうにして声を掛けてきたので俺はすぐにその理由を話した。






「蛟ちゃん、君の力が必要だ!このままだとみんなが確実に天に召させれしまう。みんなを助ける為に力を貸してほしい」






慌てて話すとそれはどんな事になってしまうのですかと尋ねられて俺はかつて紫ちゃんの料理が如何にヤバいものであるかを説明した。前に東側の沼地で起きた出来事を一から分かりやすく話した。






すると蛟ちゃんが真っ青になりながら、ドラゴンが死んでしまう食べ物を作り出す佐藤紫さんは何者なのですかと聞かれたけど安心して下さい、俺も知りたいぐらいですからと返した。






ともかくなんとしても食い止めないと俺たちの未来は消えてしまうと伝えたけど既に遠くに行ってしまったのでそれら難しいと言われた。だからここはそれに対抗するための薬を作りましょうとなった。






あそこまでヤバい料理に対抗できる薬など作れるのかと考えたけどここは蛟ちゃんは神様でもあるので信じることにしてみた。すると早速、材料の薬草を集めるために俺たちは近くの山の中に入ってきていた。






凪くんもついて行きたいと言っていたので離れたら駄目だからねと約束させて一緒に来ていた。やはり山の中は空気が良いなと思いながら薬草を探していた。蛟ちゃんから貸してもらった本の絵を見て集めていた。






それにしても良くここまで調べているなと感心をしていた。余程に努力をしていたのはこの本から見ても理解できていた。






その努力が報われるように祈りながら探していると凪くんが俺の服を引っ張ってきたので何かなと思って下を見てみると凪くんが小さなリスを捕まえて嬉しそうにこちらを見せてきていた。






俺は凄いと言って頭を撫でてあげると嬉しそうにしていた。その時に木の上に捕まえたリスの親らしきものが姿を現してこちらを見てきた。






心配そうにしてみていた、その様子を見て凪くんは手を離して上げて親の元に返してあげたのだった。それを見て俺は本当に偉いと優しく撫でていてうんと言って元気そうに返した。






それからは薬草を探しながら歩いて集め終える頃には凪くんは疲れて寝てしまっていた。俺は抱っこして帰ろうとした時に蛟ちゃんが私に乗ってと言うと蛟ちゃんが大きな大蛇に姿を変えて背中に乗ってと言われた。






せっかくだから言葉に甘えさせてもらう事にした。大蛇の上は意外と温かく乗りやすいなと感じて山を降りて神社に戻るとその一角で薬の調合を始めていた、せっかくだから作り方なども教えてもらっていた。






普通なら教えてくれないだろうと思っていたけど蛟ちゃんが命の恩人でもあるから構いませんよと言って教えてもらっていた。いつか、必ず役に立つと思っているからと考えていた。






そうしてこれでもかと言うほどに多くの薬を作りあの紫ちゃんの料理を迎え撃つ準備を終えて俺と蛟ちゃんは決戦場(食卓)に向かうことにした。






迎え撃ってやると意気込んで向かった俺達だが紫ちゃんの料理はそれらがまるで無駄な行為だと言うばかりの品物を出してきた。






もはや、食べなくても分かるぐらいに匂いが臭いですけど食べなくても匂いを嗅いでいるだけでも胃から吐きそうになった。円城寺信胤さんは顔色を真っ青にして料理を見て狐菊は臭すぎて既に目が逝ってしまいそうになっていた。






椛さんは諦めた顔をしてなるほど、確かに天に昇ることになりそうじゃと全てを悟ったようにしていた。蛟ちゃんはもしかして佐藤紫さんは私を毒殺をするために作り出した料理なのでしょうか、なら私が一人で食べますからと何か覚悟を決めていた。






普通なら食事ぐらいで覚悟を決めるなとツッコミをするところであるけど今はそれぐらいの覚悟が必要な光景だなと納得してしまっていた。






それと薬は作ってきたけど薬では無理があるよねと思ってみていた。だって紫色のスープって毒以外に考えられないですけど紫ちゃんはしっかりと味見をしたのと聞くと紫ちゃんははい、味見もして美味しくできましたと言ってきて俺はこの子は味音痴なのかと呆れながら聞いていた。






でも、でもだよ!もしかしたら俺たちが嫌がっているだけで実際は美味しいかもしれないからな、食わず嫌いは駄目だから子供もいるから余計にそんな事はしたくないと思いで俺たちは食べてみることにした。






すると先に食べた者たちが異常な苦しみを感じている表情なり最後は顔にチーンとご臨終みたいになっていた。俺はこれらを食べる前に死亡フラグみたいな発言をして逆に生存フラグにしてやると決めて言葉を出した。






「紫ちゃん、食べるには食べるが、別に全てを食べてしまっても構わんだろ」






すると紫ちゃんは勿論ですと笑みを浮かべて話してきたので俺は食べる前に最後の言葉を出すのだった。






「竜輝!逝きますーーー!!!」






結果的に生死を彷徨うことになったけど何とか作っていた薬のおかげで三途の川を渡らずに戻ってこれた。他の者たちも同様であったけど。






これを作った紫ちゃんは百歩譲って分かるけど凪くん!?あのような危険な食べ物と読んでよいのかわからないものを平気で食べているですけど、君たちの胃袋はどうなっているのと思いながら俺たちは意識を失った。






後日、次からは絶対に紫ちゃんに料理をさせないようにと俺、椛、円城寺信胤さん、狐菊そして蛟ちゃん、5人は誓いあった、今後は紫ちゃんに料理をさせないことをそれが破られた時は命が終わる時だと俺たちは結束するのだった。








本日の成果


拾ってきた子供の名前が凪に決まった!


蛟ちゃんから薬草の知識や調合などを教えてもらった!


紫ちゃんの料理の前に俺たちは敗北してしまった!


凪くんは意外過ぎるほど紫ちゃんの料理を気に入った!

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