第29話

いつからだろう、私が私として自我を持つようになったのは忘れるほどに遠い昔だった気がしたけど正確な時期は忘れてしまった。






そうして生きているうちに私は神様として崇められるようになった。私もみんながそうして慕ってきているので出来る限りのことはしたいと考えて私は薬草など調合して人々の病など治したり、食べられる食物なども教えた。






そうしているうちに信仰してくれている人々も増えてきて大きくなった。私もそれだけ必死に頑張り、信仰してくれているみんなの期待に答えようとしていた。






しかし、みんなの要求はどんどんエスカレートしていきそれでも私は頑張ってそれに応えようとしていたけど私にも限界が来てしまって何とかしようと思っても出来ずにいるとみんなの想いが負の感情が一気に私に向かって流れ込んできたのである。






それを受けるたびに痛い、辛いと感じて私は私自身に必死に鼓舞をしながら頑張っていた。それでも結果に繋がることはなく次第にみんなの信仰心は怨み、憎しみに変わり私に入ってきていた。






私はそれを受ける度に痛みながら暮らしていたある日に私は恐ろしい事を考えるようになったのだ。この者たちを殺せば私は楽になれると考えるようになったのだ。






それを考えるようになった私は私、自身に恐怖を覚えた。もしかしたら間違って本気で殺してしまうかもしれないと震えてしまった。だから私は知らない場所に逃げるように隠れた。






ここで落ち着いてからまた人々の前に現れようと私は静かにして回復を努めようとした。しかし、人々の怨みは遥か遠くにでも伝わり苦しんでいた。






そんなある日に近くにいた人々が助けを求めてきた時に私は間違って毒性がある草を間違って調合素材に使ってしまった。






そうして間違って薬と与えてしまって服用した人々が苦しんで死んでしまったけど私はその光景を見て笑みを浮かべてしまった。そう、私はもう取り返しがつかない場所まで来ていたのにいまさら気がついたのである。






その後はみるみるに堕ちる所まで堕ちていき、そうして私は堕神とも祟り神として知れ渡るようになった。そんな堕神となった私と仲良くしようとしてきたのは同じ堕神とも祟り神とも言われている夜刀神ぐらいだけだった。その後も勢力を広げて拡大をしていたけどとある日に上級神様に目をつけられた。






その神は八咫烏とヤマタノオロチの2柱に私は討伐をされてしまい、私は迎え撃ったけど2柱は私の想像を超えるほどに強く逃げ出す事しかできなかった。






そうしてここまでくればあの二人も追ってこない場所まで逃げてこれたがあまりにも傷を追ってしまったので数十年は安静するしかなくなった。






傷が癒えたら真っ先に殺しに行ってやると決めながら安静をしていたある日に私を討伐しようと愚かな妖狐が挑んできたので返り討ちした上に私は二度と逆らうという気持ちを起こさない為にもいつかは私の手駒として使うためにも彼女に呪いを掛けて逃してやった。






それで再びに安静していてだいぶ回復したなと思っていたらあの愚かな妖狐が今度は仲間を引き連れて私に挑んできた。






本当に愚か過ぎて笑いも出てきそうだったけどまずは愚かな妖狐、椛を私の手駒にさせた。その後にその愚かな妖狐を慕っていた他の妖狐も支配下に入れた。他は人間だけであったがその人間から神通力を感じ取れたのである。






それも私と相性も良く、私の器として相応しいと感じてあの愚かな妖狐も少しは役に立つではないかと思いながら捕まえようとしたが意外と粘り逃げようとしたが何とかして捕まえることができた。






その後は私が完全に支配するために必死に洗脳などしてみたが全然、効果がなく困ったけどあの愚かな妖狐、椛が魅了など使い私は儀式で遂に実体を手に入れた。






そしてこの男が恋を抱いていた女も洗脳させて従わせて遂にあの神たちに復讐する時が来たと思って笑い始めた瞬間に私の中に封印していたはずの男が急に強大な力を出して私を追い出したのである。






なんて力と精神力だと私はそう感じたけど、それだけではこの大軍からはと思っていると神通力を開放して完全な現人神に変わった。いつの間にそこまでの強さを身に着けたのかと驚きを隠せないでいたがなら数で押すのみと一斉攻撃を命じた。






すると先程と同じ人物とは思えないほどの実力を見せつけて次から次へとこちらの者達を倒していった。不味いと感じて私は遠距離で攻撃しようとしたら向こうが炎のリングみたいなものを作り出したと思ったらこちらに対して投げ飛ばしてきたのである。






それが全体的にこちらに対して攻撃をしてきて一気に数を減らされた上にこちらが仕掛けた攻撃は全て先程の炎のリングによって消え去った。あの男、こんな秘策を隠し持っていたとは・・・そう最初は思ったがあの男が格好良いと嬉しそうにしている様子を見てもしかしてこの場で作り出したというのかと思った。






普通なら無計画なやつだなとあざ笑う所であるけどこの土壇場にあのような技を作り出せてしまう力と発想力にその技術力を私は恐れた。長引けば私に勝機が生まれてくると思っていたのだけどそれは違う。






戦いが長引けばあの男の勝機が増すだけだと感じて私は己が隠している奥義で倒すことにした。普通ならいくら現人神の状態になっているとはいえこのような技を繰り出すことはなかった。それだけにあの男が異常な素質などが私にこの技を出させたのだ。






恨むならここまで追い込んだ、貴方自身を恨みなさいと伝えたけど向こうはそれはやってみないと分からないと返事をしてきたけど炎属性しか使えないやつに私の水を防ぎれるかと思いで発動させた。






その名も深淵水、水が増すだけ光はなくなり深淵のようになることで私が名付けた奥義、これを受けてまともに無事だったのはあの八咫烏とヤマタノオロチのみだと思いで見ていた。






そして私の深淵水を食らって終わったと思った次の瞬間に前から炎の刃が現れて私の深淵水を突破してきたのである。私は殺されると恐怖に怯えきった、すると男は優しそうな表情をして持っていた薙刀を地面に刺してこちらにゆっくりと向かってきた。






私はそれを見てすぐに来るなと何度も叫びながら攻撃したけど向こうは攻撃を当たっているにも関わらず私に向かってきていた。






なんでと何度も思いながら攻撃したけど男は何も言わずに向かって来てそしてとうとう私の目の前にたどり着いたら男は優しく私を抱きしめてきた。






私はこの気持ちは昔にみんなから慕われていた時に感じていたやつと同じ・・・いや、それ以上に暖かいものを感じた。嫌だ、私を惑わすなと必死になり抵抗しようとしたけど男は俺は信じてほしいと優しく言われた。






そうして抱きしめられているうちに私は男の神通力を受けるとそれはまるで心に直接、太陽があたっているように暖かいものだった。あまりにも暖かいものだったので私は次第に抵抗をやめて受け入れるようになった。






そして私の中にあった怨念が消えて痛み、憎しみが消えてゆき私は昔のことを思い出していた。私は誰かの役に立ちたかっただけだったのに今はこうしている事に後悔ともし機会をくれるなら私はまたみんなに慕われる神に戻りたいと願った。






そうしているうちに私の中に入り込んでいた負の怨念は完全に消え去った。そして意識がなくなる前に目の前の男性、竜輝さんに感謝をしながら眠りについた。






どれぐらい寝てしまったのであろう、私は目を覚ました。綺麗な朝日が登り、気持ちもこんな清やかな想いは久しぶりとも感じて私は助けてくれた竜輝さんに感謝と謝罪を伝えるために探し始めた。






竜輝さん、どちらに居ますかと声を出して探していると私は地面に残っている血痕を見つけてしまった。この血は私が寝ていた場所の近くから続いていて私は嫌な予感をしながらその血痕を辿ってみることにした。






そして血痕の先には血まみれの竜輝さんが倒れている様に柱を背にして意識を失っていた。私は血の気を失ったように走って竜輝さんの様子を確認すると息はしているけどかなり衰弱しているこのままだと死んでしまうと私は昔に作っていた薬を調合していた。






竜輝さんを救いたいとその一心で私は薬を作っては竜輝さんに服用させて足りなかったらすぐに薬草を取ってきて調合していた。






そんな時に背後から刃が現れた、そして声も聞こえてきたのである。






「お主にはさんざん世話になったのじゃ、ここで殺してやるのじゃ。それにこれ以上余の伴侶となる者に何をするつもりなのじゃ」






氷のような冷たい声で私に向かって言われたけど今の私には後ろを振り向いて話す時間も惜しいので薬を調合しながら返答をした。






「私は助けてくれた、こんな私にもう一度、光をくれた竜輝さんを助けたいだけなんです。助けてから私を殺しても文句は言いません。ですからもう少しだけ待っていて下さい、竜輝さんが助かるまで」






必死に私の思いを伝えながら薬を作っては竜輝さんに服用させて回復させようとして薬草を取りに向かおうとすると私に対して何が足りないのじゃ、さっさと教えるのじゃと言われたので私は持っていた薬の素材を記載している本を渡してこれらを集めて来てくださいとお願いした。






すると余は伴侶の為にやる事でお主のためではないのじゃと言われながらも外に出て薬の素材を探しに出かけた。






椛さん・・・感謝しますと思いながら私は作れる薬を必死に作りながら彼の回復してくれるように祈るのであった。








本日の成果


私は魂に取り憑いている怨念が竜輝さんのおかげで消え去った!


竜輝にお礼をしようとしたら生死を彷徨っているほどに衰弱していた!


助けるために持っている力、知識を使って助けていると椛さんも目を覚まして私を殺そうとしたけど待ってほしいとお願いをすると承諾された上に薬草の採取も手伝ってくれた!

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