第27話

俺は何も見えない何も聞こえない場所に落ちてからどれぐらいの時間が過ぎたのであろうか、どうすることも出来ずにただ考えていた。






何をどうすればみんなを助ける事ができるのかと必死になって考えていると遠くから鈴の音が聞こえてきたのである。それとこの独特の鈴の音には聞き覚えがあってもしかしてと思いながら音がする方に見てみると闇の中から現れたのは昔に助けられた蝮さんがそこにいた。






俺は信じられない、この状況で普通に考えたら現れることは不可能なはずなのにと考えていたら向こうから話かけてきた。






「久しいな、竜輝君。元気にやってそうだなと言いたかっただけど確実に元気そうとは言えない状況になっているな」






「はい、蝮さん!この通りに元気ですと俺も言いたかったですけど・・・それよりもどうしてこのような場所に辿り着くことができたのですか」






すると簡単だよ、竜輝君とは昔に波長を合わせて助けた事もあるから今回もそれの応用して現れることができたというのだ。それとこの場に来れたのもかつて、教えた浄化術を使ったおかげである程度の状況は理解もしたからねと言っていたけど相変わらず、この人は人間離れしているでしょうと思ってみていた。






それで状況はどうなっていますかと尋ねるとなかなかにやばい展開になっているよと言われてしまってこの人がやばいと言うからには相当に危険な状態になっているではないですかと思いながらもそれを何とかする方法はありますかと聞いてみた。






蝮さんは無論、それを教えるために現れたのだからと言ってからその内容を教えてくれた。それは己の闇を倒せば憑依されている状態を無理やりに解除出来るようになると言われたけど己の闇ってと聞くと蝮さんはまあ、説明するよりも見たほうが理解するから着いてきてと俺の手を掴んで歩き出した。






そうすると闇の中から現れ始めた景色がありそれを見て唖然としていた。そこは俺が住んでいる世界、つまり元の世界と全く一緒の風景で違うのは人気が全くないことだけであった。俺はここはと聞くと蝮さんは話し始めた。






「ここがお前の闇の中にある存在が待ち構えている場所だ。お前自身にそしてトラウマになっているものも存在している。無論、それらをすべて打倒さないとこの闇から抜け出すことはできない」






それを聞いた俺はマジですかと頭を抱えて悩み始めた。俺自身と戦うのは仕方がないとしてあのトラウマまで来るなんてと思っていたら蝮さんがお前が助けてあげたかったという気持ちはその程度のものだったのかと言われた。






言われた俺はそんなことがあるわけないと強く否定すると向こうは笑みを浮かべながら、それで良いと言いながら俺の闇が待ち構えている場所に案内をさせてもらった。そこは俺にとって見れば思い出が深い場所であり小さい頃はいつもこの辺りにいたなと思い出しながら進んでいくと俺が大好きだった桜の木の下にそこにいた。






姿もそっくりで見た目もあの周りにある黒いもやもやが無ければ完全に瓜二つであった。そしてあちらも俺の存在に気がついてこちらに振り返って話を始めてきた。






「ほう、未だに意識が残っているのか。流石、俺と言うべきところかな。それにしてもここまでしても意識が残るのは少しばかり手間がかかるものだけど・・・うん?貴方は蝮さんですか!」






こいつ、今まで俺の隣に蝮さんがいたのに気がつけなかったのかよと思いながら聞いているとどうして蝮さんがそちら方にいるのですかと言ってきていたけど蝮さんはそうだなと言って答え始めた。






「そうだね、このような事は基本的に勝負して決めるのが道理と思わない。一方的に決めるのは良くないなと己はそう思うだよね。もちろんの事でこれは己の意見だから嫌なら反発してもよろしいからね」






すると向こうの俺は今ここで貴方に反発しても敵が増えてしまうだけですから俺からは何も言いませんよと言ってきた。蝮さんは心配しなくても己は今回は審判をするつもりで現れただけだからどちらかの味方と言うわけではないかなと伝えてきた。






まあ、一人で戦わないといけないからそこは仕方がないかと諦めていた。そう言うと向こうの俺がそれで良いのですか、そうなると勝つのは俺になりますけどと戦ってもいないのに勝ったように言ってきていくら相手が俺でも油断しすぎと考えていた。






しかし、次の瞬間に向こうの俺はなにか気合を入れたと思っていると急に体から赤い紋章が現れて髪の毛も黒から白に変わり、そして人なのかと思いたくなるほどのオーラを感じていた。






あれ?なにか想像していたのと全然、違うですけどと思ってみていると蝮さんがあの状態はどのようになっているか説明をしてくれた。






「あの状態を見たことがなさそうな顔をしているから説明してあげるけど、あれは神通力を体、全体に纏い神に近い存在になっていると言えるかな。現人神とも呼ばれている、無論のこと普通の人間はもちろん中級クラスの妖怪もあっという間に倒せるほどに強くなるからそこを忘れないでね」






いやいや、明らかにヤバいですよね!知らない間に向こうの俺が滅茶苦茶に強くなっているですけど本来の俺よりも絶対に強くなっていて勝ち目なんてあるとは思えないですけどと思っていると蝮さんがしかし、あれはまだ完全体ではないから勝つ見込みはあると言うのだ。






俺はその勝つ方法はと尋ねると諦めない心と信念があれば勝てると言われたので俺は分かりましたと伝えてから俺は薙刀を持ち前に出た。それに応えるかのように向こうの俺も前に出てきて俺と同じように薙刀を構え始めた。






それを見届けた蝮さんは静かに手を上げてから手を降ろしながら勝負開始!と叫んだ。その瞬間に向こうの俺が一気に突撃してきた。俺はすぐに持っていた御札を取り出して唱えた。






「暁より舞い上がり、邪気を焼払え、炎波!」






そう言って発動して向こうの俺を炎が包み込んだが倒せた気が全くしないと感じてすぐに後退して武器を構えていると炎の中から向こうの俺が多少の火傷はあるけど殆ど聞いていないと感じて迎え撃った。






鍔迫り合い状態になり先程よりも弱っていることは間違いないので一気に押し倒してやると考えている時に目の前で衝撃な光景が現れたのである。なんと先程まで火傷していた場所があり得ない早さで傷が治ってきておりそのまま完治してしまった。






いくらなんでもあり得ないでしょうと考えていてもこれが現人神と言うのかと思っていると向こうの俺がこれが今の俺が持っている力だと言って素直に諦めて俺と一つになれと言ってきた。






別にお前が完全に消えることはない、俺の一部となり残り続ける。お前の意思も思いも全てを引き付いてやるから素直に一つになれと言いながら鍔迫り合い状態で先程まで押していたが完治したこともあり徐々に押され始めていた。






ヤバいこのままだと抑えきれないと感じて体、全体を全ての体重を乗せて無理やり前にやりながら俺は足で向こうの俺に攻撃をした。しかし、それを見抜いていたのか避けられて俺は勢い良く前に行き過ぎて地面に体をぶつけてしまった。






しまった!と俺はヤバいと感じてすぐに止めを刺そうとしてくる向こうの俺の攻撃を歯車のように回りながら避けて持っている御札を取り出して回りながら唱えた。






突如に反撃に出た事で向こうの俺も驚いて少しばかり引いたのでそのスキに体制を整えた。危なかった、もう少しで完全に殺されてしまうところだったと思いながら相手が次の行動をするのを待ちながら息を整えていた。






すると向こうの俺からなんでそこまで頑張ると言われた。このまま蛟に素直に受け入れたら好きな様に生きられるようになるのにどうして辛いと理解をしているのに蛟に対して戦おうとすると聞かれた。確かに普通に諦めて受け入れたらそれは楽かもしれない、好きなことができるかも知れない。






けれどもそれではあの子は救えない、もしかしたらあの子みたいな子が増えてしまうかもしれない。そうなったら辛いと言うことよりも後悔が残る。後悔が残るぐらいなら辛くても痛くても俺はこの道を信じて進またいと伝えた。






そうすると俺にはもう消えてしまった感情だなと話した。他のものなどどうでも良い、俺が良かったら他はどうでも良いと言っていたが俺はすぐに返答した。






「確かにお前にはもうそのような感情は消えてしまったかもしれない。でもお前が無くした感情、想いは・・・みんなを助けたいという気持ちは信念はここにある!!!」






俺は己の親指で己を指してここにあると宣言した、すると驚いた顔をしながらなるほどなと言ってなら証明してみろと言った瞬間に再び攻勢を始めた。






こちらも覚悟を決めて攻勢に転じ始めた、向こうも強い攻勢をしてきて苦戦をしていたけどこちらも負ける訳にはいかないと必死になりながら攻防戦を繰り広げていた。






辛いし敵も強いけどここで諦めたら後悔するからと想いながら攻防戦をしていた。本来なら倒れてもおかしくなかったが今の俺は倒れる訳にはと必死になり何度倒れても相手が強くても立ち上がり戦い続けた。






そうすると向こうの一瞬のスキが生まれて俺はその好機を逃さずに一気に勝負を決めたのである。しかし、激闘の末だったので俺は地面に転がるように倒れて息を荒くしていた。






すると向こうの俺がお前の勝ちだ、討ち殺すが良いと向こうの俺は覚悟を決めて待っていたけど俺は討ち殺さないと伝えてからその理由も話した。






「討ち殺しはしないよ、だって俺なんだから。みんなも必ず助け出しそして俺自身も必ず、幸せになってみせるから。殺すなんてしない」






そう思いを伝えると向こうの俺は笑い出して来たのでそんなにおかしい事かと言うと向こうの俺はおかしい子だよと言ってから俺よりも欲深く、そして俺よりも良い未来だなと言ってから向こうの俺が笑いを浮かべながら光に変わり、そのまま俺の中に入ってきた。






中に入ってくると向こうの俺が考えていた事やその気持ちが入ってきて、そうか向こうの俺はそのようなことを考えていたのだなと思っていたら急に力が溢れるようになり疲れ切っていた体が何事もなかったように元気になった。






そして自然と分からないけど今なら何となくできる気がしてその方法も自然とまるで最初から理解していたかの様に発動した。






「顕現せよ、我が力は闇を照らす、焔なり!!」






すると俺の体から赤い紋章が現れて髪の毛も向こうの俺みたいに白くなった。そうか、これが現人神と言うのかと納得していた。






俺は見届けてありがとうございますと蝮さんに伝えようと振り返ると蝮さんから明らかに危険なオーラ、それも今、対峙をしていた蛟よりも危険な力を秘めているオーラを感じ取ってしまった。






敵ではないはずだと思いながらも少しばかり警戒をしながら俺は蝮さんに俺の考えを伝えるのだった。






「蝮さん・・・貴方は人ではないのですね。どのような種族なのか理解は出来ておりませんが危険な種族だけは理解しました。間違っていましたら申し訳ありませんが・・・」






「竜輝くん、安心して君の考えは間違っていないから。でもね、己のことに関して詳しく調べない方が身のためになると思うだよな、それに竜輝くんは今はみんなを助ける事が最優先だと思うだけど違うかな」






確かにそうだなと思いながら俺は蝮さん、貴方は俺達の敵なのですかと尋ねると蝮さんはそうだねと言ってから敵になるかもしれないし味方になるかもしれない存在と覚えてくれたら嬉しいかな。






少なくても今は敵対心は無いと見るべきかなと感じながら俺はこの意識を支配している蛟を追い出すために一気に俺自身が持っている神通力を一気に放出する為に溜め始めた。






それを見届けた、蝮さんはそれでは遠くから君の武運を祈ってあげるから頑張ってね、ついでに元の場所に戻れたら己からの贈り物を与えるから楽しみにしていてねと言ってから消えてしまった。






何もして来なかったということはひとまず何もしてこないことは確定したので俺はまずは椛さんに蛟を助けるべくこの場所から出るためにまたしても先はどの技を前よりも勢い良く放出した。






すると目の前が一気に明るくなり眩しく手前が見えなくなったけど落ち着いてくると先程までいた廃神社に戻ってきていた。とりあえず、スタートラインには立つことができたと喜んでいると無理やりに解除された蛟が驚きと怒りを表して俺に対して話してきた。






「貴様!あの状況からどうやって抜け出す事ができた、貴様の力では己の闇に勝つことなど不可能なはずだ」






「確かに普通に考えてみれば、不可能なことだけど椛さんや君を助けたいと想いがこうして奇跡を起こした。だから、俺は最後の最後まで諦めない」






そう叫び覚悟を決めてボロボロになった薙刀を構えていると空から見たこともない薙刀が空から落ちてきたのである。赤いオーラに包まれており普通の薙刀ではないことはひと目だけ見ただけでも理解できた。赤い鱗などもありドラゴンからの素材も使い、金属も恐らく俺が見た事もないやつであろうと感じていた。






何故と思っていたけどこの薙刀から僅かに先程の蝮さんから感じられていた危険なオーラの名残りを感じ取り俺は素直に蝮さんに感謝をしてその薙刀を受け取った。






受け取った薙刀は想像以上に使いやすく風車のように回転もできる上にもの凄く軽い、普通の薙刀よりも軽いと感じてしまう程であったが威力は間違いなく普通の薙刀よりもあると確信を持てた。






俺はそれを構えて蛟たちに対して発言をするのだった。






「さあ、蛟さん。第二ランドを始めましょうか!お互いに恨みっこなしで参りますよ」






そう言って俺は再び、蛟たちに対して攻勢を開始したのであった。






本日の成果


精神の世界で昔の恩人である蝮さんと再会した!


精神の世界でもう一人の俺と対決した!


神通力を使いこなせるようになり現人神化が可能になった!


蝮さんが人間ではないかが判明したが種族は不明のまま!


蛟から体の主導権を奪い返し、蝮さんから特別の薙刀をもらった!

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