第26話

俺は先手必勝で勝つしか道は残されていないと考えていた。数が無効のほうが多いので長期戦になってしまったら確実に俺は負けてしまう。






それに今は円城寺信胤さんが食い止めてくれているがそれもいつまで持つのか分からないのでそう考えると不利なのは承知だけど真正面から戦って活路を見出すしかないと結論して突撃をしていた。






不幸中の幸いはリオまで魅了されていない事で俺には攻撃手段が多く残されていることだ。それだけは良かったと感じていた。






リオに乗り空に飛んでから再び呪文を唱えて攻撃を開始した。炎波を俺は発動してリオは口から炎が吐き出し一斉に炎で焼き倒すつもりで攻撃したら蛟と椛さんもなにか呪文を唱え始めて何をするつもりだと思っていると俺とリオが出した炎が蛟と椛さんの目の前に水が現れて炎をかき消された。






そうして激突した場所からかなり濃い霧が発生して辺りの視界を奪い去った。不味いと感じた俺はリオに急降下するように指示をして、俺達は一気に急降下して持っていた薙刀で先程までその場にいた蛟を斬りかかったが何かに防がれたのである。それも鈍い音を立てて人の肌ではないことは理解した。誰が何をして防いだと考え始めた。もしこれが蛟ならすぐに第二派の攻撃をする予定でそれ以外ならと考えていた。






霧が少し晴れて目の前にいたのは扇でありそれを持っているのは・・・やばいと感じてリオにまた空高く飛んで口に出して抜け出した。






霧が晴れて確認するとやはりと思っていた、扇を持っていたのは椛さんだった。以前に見せてくれた事があり覚えておいてよかったとそこは良かったが不意打ちも無理、そして正当方法でも傷つける事ができない。






どうすれば良いと考えていた。それにリオもずっと飛んでいられるわけでもない、地面に降りたら数の暴力で押されてしまうのは目に見えている。






こうなれば空から浄化術をやってみるしかないと考えて浄化術の準備を始めた。するとこちらがやりたいことが理解したらしくすぐにあの男を撃ち落として魅了しなさいと蛟がそう発言した。






やはりそこまで行動するという事はそれだけこの技は有効な手段だったなと改めてそう感じた。問題は発動まで耐えられるか、そして一発でそれが上手く行くのかと問題は多いけどそんな事でくよくよと考えている場合ではないと覚悟を決めて準備していた。






リオにはその間は飛んでもらって攻撃を避けるようにお願いをした。リオもそれを理解したのだろう攻撃をやめて避けることに専念を始めていた。






でも向こうの攻撃も激しさを増してきて少しでも早くと思って準備をしていたのにここで円城寺信胤さんがとうとう敵の一部が突破してきてこちらに現れ始めたのである。






円城寺信胤さんもやられた・・・いや、敵の一部しかいないからまだ頑張ってくれている!こちらもなら苦しいけど頑張ってその努力に報いてやらないと男ではないと感じて更に精神を集中させていた。






そして遂に浄化術を発動させることができるようになったのでそのまま突撃して一気に蛟達のもとに接近して発動をさせた。






発動させた瞬間に口から血を出してしまった。以前にこれは人の身としては巨大な術式だからむやみに発動させないように言われていたから今まで発動させずに生きてきて今日、初めて使ったがあの言葉を理解した。






これを乱用すれば間違いなく死んでしまうことは体を通じて思い知った。しかし、ここまでやれば向こうも何とかなったかなと考えていると俺の希望を打ち砕く光景が目の前に現れた。






「本当にびっくりしたよ、それに中々に強い技で痛かったけどあと一歩足りなかったね。もし、仲間がいたら勝っていたかもしれないのに・・・でもね、今のおかげで分かったことがあるの」






いやいや、怪我はしているけど元気そうじゃないですか。不味いですけど今ので切り札を使ってしまったのでこれ以上はと思ってみているとこちらを見て話をしてきた。






「先程の攻撃で理解したけど貴方は理解しているのか分からないけど神通力を持っているのね。それも私と波長が合う、神通力を・・・だからね、貴方の体もそして貴方自身も私のものにしてあげる」






「はあ!?こんな体が価値があるのですか、この体はあれですからね、魔法使いになる前の体ですよ。普通に考えたら価値なんてあったものではないですから」






すると本当に貴方は面白い人と嬉しそうにしてこちらを見ていた。余裕そうにしているから不意打ちをしたいけどこれでは不意打ちすらも出来ないかと厳しい顔をして俺は考えていたら向こうが信じられない提案をしてきたのである。






「そうだ、私が貴方の伴侶になってあげようかな。椛と狐菊が守ってくれるから暇だから貴方の記憶を覗いていたけど・・・中々、大変な人生を歩んで来たのね、そしてね・・・かなり私好みの性格をしていて欲しくなってきちゃったのね。今からでも私のものにならない」






「本当にこんな美少女から熱い告白を受けて俺はなんて幸せ者だろう・・・けどそれでは完全に君を救う事はできないから断らせてもらう」






「そう・・・でもこんな姿をしてもそう言ってくれるのね。普通なら不気味とか気持ち悪いと言うのに・・・ますます、欲しくなってきちゃったかもしれない」






まさかね、戦っている相手から求愛を受けるなんてしかも美少女だから余計に嬉しいけど俺はどうしたらと考えて行動に移そうとした時に既に攻撃を避け続けてきたリオにはもう動く体力はなくなっておりリオは遂に地面に座り込んでからまた封印されてしまった。






リオ、済まない。お前がここまで必死に頑張ったのに勝てないかもしれないなんてと万策ほどはなかったかもしれないけどすべての策が無くなってしまった。






いや、まだ残っている!諦めないと言う策が残っている。それがあれば次の作戦にも繋がるから俺は絶対に諦めてたまるかと考えてまずは森の中に後退しようとした。






しかし、向こうもそれに気がついてすぐに追ってきたので俺は持っていた煙幕弾を投げ飛ばして視界を封じてその場から後退に成功した。万が一にと思って持ってきたものが役に立つなんて。しかも椛さんたちに説明をしていなかったので対策もされずに逃げ切れたがどうする、ここは円城寺信胤さんと合流してから作戦を練り直そうと気持ちの整理が終えて廃村に向かい始めた。






もちろんの事で蛟たちは追ってきていたので隠れながら行動をしていた。昔にかくれんぼや隠れ鬼などの遊びを思い出すな・・・最も今回はリアルかくれんぼや隠れ鬼であるけど。






俺はひたすらに円城寺信胤さんが無事である事を祈っていた、戦国武将だからきっと何とかしてくれていると信じて歩き出していると円城寺信胤さんの人影が見えたのである。






向こうも戦い続けて疲れ果ててしまったのだろう、森の中に隠れて休んでいた。俺はそこに静かにして声をかけた。すると向こうもこちらに気がついて静かにして対応をしてくれた。






「某はできる限りは尽くしたでござるがここら辺が限界でござった。竜輝殿はどうなったでござるか」






俺は隠しても仕方がないので正直に全てを話した、作戦通りに出来ずに妖術みたいなもので椛さんと狐菊が敵になってしまったことにそして俺の秘策も効果はあったけど決定的なことにはならず、逃げ出して来たことを間違いなく答えた。






するとそうだったでござるかと納得する声で話したと思うと俺に対してなら後はオヌシダケデゴザルナと不気味な声に変わりすぐに離れて戦闘態勢をして構えた。すると戦いで疲れてしまっていたせいで気がつくのが遅れてしまっていたが今の円城寺信胤さんは悪霊に取り憑かれている。






つまりは敵と言う訳か、四面楚歌とか例えるほどの敵の多さだなとこの状況を悔やんでいると遠くから生気がある声で俺の名前を叫んでいた。






しかし、その声はこの場にいるはずもない人の声であったがこのままだと終わってしまうことには変わりはないので俺はその声がした方向に逃げ出したのである。すると逃ガスカと叫んでこちらを捕まえようとしてきたが声がする方向から弓矢が現れて円城寺信胤の足に刺さり、足を止めたのである。






助かったと思いながらも俺はその声の主と対峙することに躊躇いがあった。確かに助けてもらったのでお礼を言うのは当たり前だけどこの人物だけはと考えながらそこに向かうと俺の苦手としていた佐藤紫ちゃんがそこにいた。






何で仕事をしていたのじゃないのかと思っていると実は荷物に隠れて付いてきていたというのだ。嘘でしょう、俺は全然、気が付かなかっただけどいつの間にと言うか仕事場が大変なってしまうような気がするけど今は俺達の命が危ない状況に置かれていることを思い出し今はひとまず退却してから出直そうと言って逃げようとした時に周りから声が聞こえてきたのである。






「おやおや、もう帰ってしまうのか?せっかくここまでやったのだから最後まで楽しまないと損だよ」






そう、蛟の声が聞こえたと思ったら周りに怨霊に狐菊、円城寺信胤さん、椛さんに蛟、本人も来て完全に包囲されていた。しかも向こうは戦えるだけの力は残っている。






一方、俺達は佐藤紫ちゃんが想像以上に戦えたことには驚いたけどこの数ではそれも無意味になってしまう。そして俺自身は満身創痍で戦える力は残されていなかった。






そこからは必死に佐藤紫ちゃんが応戦したけど一人ではこの大軍に叶うはずもなく捕まって俺も捕まえられて廃神社に戻らされていた。






そこに辿り着いて俺はここで俺を殺すつもりなのかと尋ねると蛟が楽しそうにしながら答えた。






「先程も言っていたかもしれないけど私は貴方を殺すつもりはない。貴方をとても気に入ったの、だから貴方を私の色に染め上げてあげる。別に大した変化はないわ、私に対して絶対的な好意に絶対的な服従ぐらいしか変わりはないから」






かなり変わってしまうじゃないかとツッコミを入れるとさあ、そろそろ儀式を始めようと言って椛さんがこたらを見てきたので最後の賭けだと思うばかりに声を掛けた。






「椛さん!貴女は蛟に服従しても良いのですか、貴女は蛟という存在は宿敵な存在だったはずなのにこうして服従しても何も悔しくはないのですか」






俺は残っている力を振り絞って必死に叫んで訴えかけたが椛さんは笑みを浮かべながら返事をしてきたのであった。






「そうね、余はもっと早くに蛟様に臣従しておけば良かったのじゃとその後悔ならあるのじゃが余がそれ以外の後悔はないのじゃ。そしてこんな愚かな妖狐にも蛟様はお慈悲をかけてくれたのじゃ・・・目が見えるようになったのじゃ」






そうなの?それは本当に良かったねとこの状況ではなかったら言いたかったのにこれでは言えるはずもなくもはや椛さんには蛟に逆らうと意思は欠片も残されていなかった。






その後に誰でも良いから必死に声を出しても狐菊、円城寺信胤さんも変化はなかったのである。既に完全に支配下に置かれており蛟に逆らうという意志は消えていた。






この場に俺の声で反応してくれているのが佐藤紫ちゃんのみだけだった。そしてその紫ちゃんも捕まってしまっている為に役に立てることは出来ずに儀式が続いていた。






そうして続いていく内に変な感覚に襲われたのである、そしてそれに飲み込まれたら最後だと言うことも本能が訴えかけていた。






必死に抵抗してなんとかこの場から生き延びようとしていたがここで止めかのように椛さんがこちらと視線があってしまった。






すると急に先程まで苦しかったはずなのに苦しみが消えてむしろ喜びすら覚え始めていた。駄目だと必死に思ってもそれ以上に喜び、気持ちいいと気持ちに押しつぶされて次第に抵抗をやめてきていた。






そこに蛟が徐々に黒い影となり俺の中に吸い込まれるように入っていった。すると意識が誰かに掴まれてしまったような感覚になり一瞬は恐怖感が出てきて必死になったが椛さんの魅了でそれらもすぐに消えてしまった。






もう、先程のことも怖くなくなり、俺は・・・俺はと思い続けていると背後から目をふせがれたような感覚になり普通なら怖くてたまらないはずなのに何故か安心できてしまっていた所に優しい声で呟かれた。






「お休みなさい、竜輝。次に目を覚ましたらみんなで仲良くやりましょう」






そうして俺の意識は深く、底なしの深淵に落ちるように闇の中に入り込んでいくのだった。










その頃、佐藤紫は必死に竜輝の名前を叫んでいた。負けないでと必死になり声を出していた。そして竜輝が動き出すとすぐに大丈夫でしたか、先輩と声をかけると竜輝は振り返りながら紫に返答してあげた。






「紫ちゃん、安心して欲しい。俺(私)はしっかりとしているよ。だから心配をかけて済まなかったな」






「いいえ、お前は先輩ではない・・・先輩の中に入り込んだのかこの化け物!先輩を返せ!!蛟!!!」






それを聞くと竜輝?は笑みを出して流石にこの男が好きなだけに誤魔化しは出来そうもないなと不気味に笑みを浮かべながらどの様に調理をしてあげましょうかと姿は竜輝であるが目が蛟と全く同じになり体から紋章も浮かび上がり、それはまるで先程までそこにいた蛟のようになっていた。








本日の成果


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