第25話

俺達は円城寺信胤さんの活躍で道中にいた怨霊たちに発見されることもなく廃村を抜け出す事に成功した。廃村で円城寺信胤さんが戦っている戦の音が聞こえてきた。






待って下さい、円城寺信胤さん。怨霊が相手でも戦えるのですか。それとも戦国武将ならできて当たり前と言うのですかと思いながら俺と椛さん、狐菊は共に廃村を抜けると神社に繋がる階段らしい物を発見した。






恐らく、ここから例の廃神社に向かう事ができるのだろうと自然となんとなく理解した。俺達は何が来ても良いように準備をしてから階段を上り始めた。古い階段であるために手入れなどされておらずなかなか歩きにくい状態になっていた。






でもこんな場所でも昔は通って参拝していたのだなと思うとなんか寂しさを感じていた。ここの神様も昔は真っ当な神様だっただろうにどうしてそうなってしまったのかと考えながら歩いていると椛さんが話を始めた。






「この感じ、十数年前のことを思い出すのじゃ。余も町の皆のために恐れていた堕神を討伐しようと来たことを鮮明に思い出したのじゃが。あれはかなり無謀だったかもしれないのじゃな」






そう言って昔はあの廃村の怨霊たちも無理やりに突破して堕神と戦ったと言うのだ。それは流石に体力が持ちませんからと俺は伝えるとまあ、あれは流石に余も無計画だったと反省しているのじゃと言っていた。






しかし、今回はここまで無傷で到達してなおかつ前にいなかった仲間たちもいる。目が見えていない点だけは前よりも厳しくなったけど全体的に考慮すれば前よりも明らかに勝率が上がっているのじゃと嬉しそうに言っていたけど辞めてくれませんか、明らかなフラグ建築は。






そんな事を言ってしまうと絶対に予想外の事が起きるお約束になるって相場は決まっているですよ。もちろんの事はなろうのお約束みたいな感じですけど今のこの状況がなろうみたいなので危ないからそんな発言は控えてくれませんかと言いたかったけど言ってしまった以上は仕方がないから俺は何が起きても良いように備えておくだけだった。






まあ、そんな予想が外れてくれるのが一番良い展開なのだけどそんな都合がいいことなど起きるはずがないよなとその辺は諦めながら向かってそうしている内に目的の場所まで辿り着くことに成功した。






辿り着いた場所は壊れかけの神社があり他にも神社にあるような物があった形跡らしいものが残っているのを見て廃墟になってからかなりの月日が場所で流れているのを理解するには簡単だった。






それよりも先程から負のオーラを纏っている存在に見られていることは理解していたがこの場所に来てからそれがさらに強くなりもう、急に現れてもおかしくない状況になっていたので俺は二人に声をかけた。






「二人共・・・狐菊は理解していないかも知れないけど近くに明らかに負のオーラを纏っている神らしい存在を感じるから不要に離れないようにして辺りを警戒してください」






「全く、そのような事を言われなくても既に警戒しているのじゃ・・・狐菊も出来る限りに警戒をするのじゃ」






「勿論です、椛様!ところでどのように私は警戒をすればよろしいのでしょうか」






もしかしてこの子を連れてきたのは間違いだったかなと思うぐらいに役に立ちそうもない。どうしよう妖狐が二人もいれば援護するぐらいで俺は大丈夫かなと考えていたけどこれは俺も前線で戦ったほうが良いなと思っていたその時に風と共に声が聞こえてきたのである。






しかし、その声は俺や椛さんたちや声ではなく別の存在からの声だった。その声を聞いてすぐに武器を構えてどこからの奇襲が来ても良いように椛さんたちと背中を合わせていたら再び、声が風と共に聞こえた。






「ほう・・・久しいな私に挑んだ、愚かな妖狐よ。今度は目だけではなく命も失うつもりか、それとも仲間を引き連れたら私に勝てると思っているのかな」






「堕ちた神よ・・・いや、蛟!貴様の命運も今宵までじゃ!こちらは前みたいに疲れなどない上に味方もいるのじゃ、お主に負ける道理はないのじゃ」






すると全く、未だに状況が理解できていないらしいな、椛と言って廃神社の前に現れたのは幼さが顔に残っている、一人の少女が現れたのである。






黒髪のロングヘアーに髪の毛や肌に赤い紋章みたいなものが浮かび上がって異質な存在をよりそのように引き立てていた。スタイルはなかなか良くて少なくても狐菊よりはと思って狐菊の方を見てみると何を考えていたかこれが終わったら聞くから覚悟しておけよと言われた。






そこは後で何とかするとしてこの子が椛さんを目を見えなくさせた原因らしいけど俺にはどうも何となくであるけどこの子はそんな残酷な性格をしているようには見えなかった。






どちらかと言うと大切な存在に裏切られて何もかも憎いから周りにその怒りを出しているような気がしていた。そう思うのはこの子はかつての俺と何となくだけど重なる所があり他人とは思えなかった。






何も知らないし本当の名前も知らないだけど何となくしか言えないけどこの子とは分かり会えるような気がしていたので話をしても宜しいでしょうかと俺は椛さんと蛟と呼ばれている堕ちた神の話に割り込んだ。






最初は怒られるかなと思っていたが蛟がこちらに対して興味があるみたいで許可をすると言われたので素直に話し始めた。






「ありがとうございます、それでは話を始める前に自己紹介を致します。俺の名前は里見竜輝と言います、竜輝で構いませんので宜しくお願いします。それでは聞きたいことを言います・・・蛟さんって昔に誰かに裏切られたという過去がもしかして合ったりしましたか」






それを言うとほう、興味深いからどうしてそう考えたのか説明しろと言われたのですぐに説明を始めた。






その理由として俺の過去にも今の蛟さんみたいに敵対心丸出しの時代があり、そう考えて俺の過去は親に裏切られたと思いでそうなったのでもしかして蛟さんもと感じた事にもう一つはなんで椛さんが最初に挑んだ時に殺さなかったのか。






それは根はとても優しい人だからと俺は感じてしまったからきっと心の何処かでは他者の事を想いやれる存在なのではないかと俺はそう感じましたと素直に全て話した。






聞き終えるとそうかそうかお主はかなり変わった人間だな、面白いと言われた。確かに普通ではない事は俺自身がよく知っておりますからと思って聞きていた。






するとなら普通に戦うつもりだったが気が変わったと言って何かを唱えた、すると急に椛さんが苦しそうにして俺は何をしたのですかと強気で尋ねてみると、蛟はこれはこれから行う余興の支度だと言ってきた。






余興?と、思っていると落ち着いてきたのか椛さんが大人しくなり良かったと思っていたら蛟が急に椛さんに対してこちらに来て共に戦えとまるで命令みたいに言葉を出したけどあのなと思っていたら静かに椛さんは歩いて蛟の隣に止まった。






うん?なに??どうなっているのと俺は全然状況が理解できないので理解していそうな狐菊に聞けばワカルハと思ってそちらを振り返ってみると狐菊はまるで宇宙猫みたいに凄い顔をしてみていたので間違いなく理解できていないと理解してしまった。






別に何もない日常であれば絶対に笑ってしまう顔でもこの状況では笑うことも出来そうもないなと思いながら俺は蛟に椛さんに何をしたのですかと尋ねた。






「何をしたと言うより既にしたと言うほうが正しいかな。実はこの椛には昔に私に対して勝負してきた時に私が勝ったから戦いで傷ついた椛の魂に私の力を注ぎ込んだ。すぐに効果は出ないものだったがそれが時間を経てば魂が全体に染み込みこの様に支配することも可能と言うことかな」






おいおい、それはつまり洗脳と言うわけですか!やばい、想像していた以上に危険な状態になってきたと感じていると狐菊は信じられない顔をして蛟を見て話をした。






「それはつまり、椛様は今は完全に貴女の支配下に置かれてしまったというわけですか」






それに答えるようにその通りよ、貴女が尊敬している妖狐も私の手に掛かればこの通りよ。それで貴女はどうするつもりなのかしらと狐菊に尋ね返されてそしてそれに返した言葉は俺の想像を超えてしまった内容だった。






俺は普通に考えて尊敬している主があのような事になって怒り心頭でもしていると思っていたのに次の瞬間に凍りつくようなことになった。






「蛟様ー!その椛様を洗脳させた方法を私にも伝授させて下さい。そうすれば椛様のピーーーとかピーーーも出来たり、そして椛様が私の事をピーーーとかもさせる様に命令が出来るって最高じゃないですか。蛟様ー!お供えなどしっかりとしますので教えて下さいー」








俺もそうだし余りにも考えもよらない言葉を出されて蛟ですら困惑して苦笑いをしていた。誰だよ、こんな変態を戦力として見ていた愚か者は・・・はい、俺です。






いやいや、確かに行き過ぎた行為も時々見られたけど、多少は変態でも大丈夫だからと言いたかったのにこれでは言えるかーー!!変態過ぎるだろうが!






でもやばい、当初の作戦は3対1で蛟を倒すはずだったのに既に椛さんは洗脳されて向こうに行ってしまったのに残された仲間がこの変態しかいないって悲しくないですか。






そんな悲しいことを考えていたら向こうがもしかしたら上手く行くかもしれないなと嫌なことを思いついたのか椛さんになにか命令させて椛さんが狐菊の方に向かって歩きながら話を始めた。






「狐菊よ、余と共にこの男を倒すのじゃ。余のお願いを聞いてほしいのじゃ」






それを見た狐菊は盛大に鼻血を出して何を魅せられているのかと思っていたら狐菊が笑みをしながら答えた。






「はい、喜んでお受け致します。ですので椛様の胸を揉んでもよろしいでしょうか・・・ハァハァ」






おいー、この変態妖狐ー!平気で寝返るな、どんだけ変態なんだよ。しかも目がハートになっている・・・多分、これも一種の洗脳なんだろう!きっと妖狐だからチャームとか魅了とかの仕様なんだろうと思うことにした。






すると蛟がその様子を見て本当に魅了が通じてしまったなと言っていた。それを俺は安心してしまっていた。良かった、これでただの変態ではなかったと証明されて良かったな・・・・って、そんなことを考えている場合ではない事に気がついた。






すると蛟があの男も魅了して来いと椛さんに命令させて俺の目を見てきた。目を合わせてはだめだと必死に目をそらして防ごうとした。






そんな事をしていたのに椛さんが無理やり目を合わせて魅了させようと尻尾を使い俺を拘束させたのである。不味い、想像以上に力が強いと感じていると椛さんが近づいてきたので絶対に目を見てはいけないと目を閉ざしてからこの状況を整理した。






拘束されて身動きは出来なくて目を開けたら魅了されて全滅するこの状況を打開するにはどうすれば良いと考えていたら耳元で椛さんが囁いてきたのである。






「竜輝、早く目を開けて余と一緒に蛟様に仕えるのじゃ。大丈夫じゃ、きっと蛟様は余とお主の結婚も認めてくれるのじゃ、早く余はお主と早く楽になりたいのじゃ。余のお願いを聞いてほしいのじゃ」






見てはいけない、見てはいけないと必死に己に何度も聞かせて打開するために持っていた御札を取り出して発動させた。






無論、飛ばさないと俺自身にも被害が出るがそれは覚悟の上で呪文を発動させた。






「暁より舞い上がり、邪気を焼払え、炎波!!」






そう発動すると手に持っているせいで熱くなり離しそうになったが離すことはせずにいると椛さんはこのままだと危険と判断して拘束を解いて後退した。






それを見ていた蛟がお主はどうして受け入れぬのだと言われた。受け入れるだけでお主が好きだった椛は手に入る、なのにどうしてなのと聞かれたので俺ははっきりとした声でその場にいる者たちに言ってやった。






「確かに蛟さんの言う通りに楽になれば椛さんを手に入るかもしれない。けど、それは俺が望んだやり方ではない。そして俺がやりたい事が出来なくなってしまうから俺は戦う、椛さんたちの為にも・・・そして蛟さん、貴女の為にも俺は負けられないだ。本当の幸せを手にしてほしいからこんな所で負けたら欲に負けて椛さんを手に入れても一生後悔するだけそれで死んでも・・・死んでも、死にきれるかーーー!!」






俺は覚悟を決めて目を開けて持っていた薙刀を持ち始めたらその覚悟がリオまで伝わってきたのか急に現れて乗れと言うばかりの行動をしてきたので俺はリオの背中に乗り蛟に向かって突撃を始めるのだった。








本日の成果


堕ちた神は蛟という名前の神様だったことが判明!


蛟の洗脳で椛さんが敵側になってしまった!


椛さんの魅了で狐菊が魅了されてしまい敵側に!


当初の作戦が完全に崩壊して敵が3、味方が1になってしまった!


椛さん、狐菊、そして蛟さんを助けるために覚悟を決めて戦いを始めた!

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