第24話

そうもしながら俺達は旅をして色々と話し合っていた。特に円城寺信胤さんの話はこちらとしてもかなり興味深い話をしてくれていた。






やはり当時を知っているからこそに聞ける話など聞けて大満足だった。それと妖狐に出会ってもなんで驚きをしなかったのですかと尋ねると円城寺信胤さんは既に信じられないことが起きているのだから物の怪ぐらい現れても驚きはしないでござると言っていた。






まあ、俺も異世界だから人間以外の種族が出てくるだろうと思っていた事だしそれと同じかと思うのだった。そして某は後世ではどの様に伝えられているでござるかと聞かれた。






俺は知っている限りの事に持ってきていた携帯ゲーム機の電源をつけて有名なあの信○の野○を起動させて見せてあげた。






するとこれはと驚いた顔をしてみていた、でも普通に考えて当たり前なんだよなと思いながら見ていると他の大名たちも気になったのか見ていると急に円城寺信胤さんが俺の方を見てもしかして竜輝殿は里見家の一門でござるかと聞かれた。






それを聞かれたので千葉・・・いや、上総、安房の国を中心に勢力を持っていた里見氏の子孫ですよと答えた。確かにその一族の血を引いておりますけど今は普通の社会人ですからと答えたけど円城寺信胤さんはいやいや、今でも立派でござるよと言われた。






それを聞くと椛さんも良いことを聞いたと顔をしてこちらを見てきた。妖狐であるために以外にも長生きしているのでもしかしてご先祖様を見た事があるのですかと尋ねると昔に異なる世界で世話になった男がいるのだけどその男がこの信○の野○に出でくる里見氏の当主らしいと言うのだ。






マジでと思いで椛さんを見つめていた。椛さんって以外にも歳がと思っていると椛さんが何かを察知して答えてくれた。






椛さんは昔の事を知っているけどそんな歳をとっていないというのだ。と言うのも異なる世界に話を聞くと俺が元々いた世界以外、つまりこの世界と俺が生きている世界とはまた違う世界に飛ばされたことがあり何とかして帰ってきた時には周りが変わり果てていたというのだ。






それで調べると俺が行ったこともない異世界に四年半の月日を過ごしていたが俺の世界に戻ってきた時には450年間の月日が流れてしまっていたと言うのだ。それなのに椛さんがあるこの世界に戻ってきた時にはもう身内はもちろんのこと知り合いたちは既に他界してしまっていたと言うのだ。






そこに残っていたのは見知らぬ同胞のみで一人になってしまったと言うのだ。無理もない妖狐は基本的に寿命が500〜700らしいのでこの世界で考えると450×6で2700年!?とんでもない月日ではないですか、それだといくら妖狐でも知り合いは生きているはずもなく椛さんが知っているはずの世界で誰も知らない人しか残っていないなんて考えたら辛いとかそんなところでは済まされないかもしれない。






それでも椛さんは生きていくと決めたというのだ。こちらもこちらでたくましいと感じてしまったそう考えていると椛さんは意外な事を教えてくれたのである。






実は言うと知り合いが誰もいなくなってむしろ喜んだと言うのだ。理由は昔に嫌っていた男性の妖狐から求愛されていたけど椛さんは当たり前のように断ったけどその妖狐がその当時で一番偉い妖狐だっただけに村八分状態にされてしまったらしい。






それからは一人で生きていくために色々として生きてきたので一人で生きていくほうが気が楽になり、無視を貫き通していると今度は迫害を受けるようになり逃げ出し、気がつくと全く知らない場所に逃げてそこが俺が元々いる世界だったと言うのだ。






なるほど確かに椛さんはとても綺麗だから求愛されても当たり前だけどなんでそんなに見た目が悪かったのと聞いてみると、いやかなりのイケメンだったらしいが性格がねじ曲がっているやつで気が合わないのは付き合ってもいないが理解してしまったらしいので断固に嫌がったと言うのだ。






ついでにそれは俺にも含まれますかと恐る恐る、聞いてみるとお主はそうでもないから安心するのじゃと言われた。何が判断基準になっているのですかと気になったので尋ねてみるとその基準は親に愛されて育ったか育っていないかと言う意外な基準だった。






椛さんは親から虐待されながら育った事もあり結婚相手を慎重に選んでいる。自分と同じ境遇で育った相手でなければ自分の気持ちなど理解してくれないと感じており昔に同じ男性の妖狐から伴侶になってくれないかと言う話を断った。






なるほどでも俺が嘘をついている可能性もありますよねと聞くともし嘘をついているのであればお主は千両役者じゃなと言われてしまった。






なぜならお主の行動は親から愛されていないからこそ出てくる行動が余には共感するからなのじゃ、お主も辛い思いをしたのじゃな。






・・・いやー、何も言っていないのに行動とか言葉で分かってしまったのですか。それと椛さんも俺と同じように虐待を受けたという話は本当なのですかと何も言えずに見つめていた。






すると詳しい話は帰ってからしても良いのじゃと言って歩き出した。椛さん・・・俺は見た目とか性格が明るく楽しいだけと思っていたけど椛さんも親に愛されずに生きてきたのですか・・・余計に椛さんには幸せになって欲しいと感じた。






親から愛されずに育ち多くの者が不幸になるのは可笑しい、悪党みたいに堕ちた俺はともかく他人のために想いやれる椛さんみたいな人まで不幸のままはおかしい!俺はこの身がどうなろうとも椛さんには目を治ってもらって幸せになってほしいと心の底から思うのだった。






そうも考えているうちに明らかに異様な空気が漂ってきたのである。これは間違いなく昔に堕神と対峙した時と同じ感覚でこれから戦うかもしれない堕神の領域に入り込んだ。するとこれまで笑みを見せていた椛さんにも緊張が走ったように真剣な顔をしていた。






そして色んな戦場を渡り歩いてきた円城寺信胤さんも何かを感じているのか気を引き締めていた。流石にこんなやばい感じを出しているのに気がつけない人はいないかと思って狐菊を見てみた。






「あの・・・椛様!円城寺に竜輝も急にどうしたの。敵はいないのに戦場に入ったような顔になっているけど」






・・・いたーーー!!??こんなに危険な雰囲気を出しているのに気がつけていない人がこんな所にいたーー!!余りにも衝撃すぎて椛さんがマジでと顔に書いているぐらいにびっくりしていますよ。ついでに円城寺信胤さんはやはり物の怪でもおなごだから仕方がないでござるなと変に納得していた。








狐菊!お前は妖狐だよな、明らかに人間よりもそのようなことに気が付きやすいよな?なんで分からないだよと思っていたけどもしかして別に妖狐だからといってそうじゃないかも知れない、俺が早とちりしすぎたかもしれないだけと思いたかったのにここで椛さんが狐菊に対して話した。






「狐菊よ、お主は妖狐としての自覚はないのじゃな。普通なら真っ先に気が付かないとおかないといけないのじゃが・・・良いのか、悪いのか分からないのじゃ」






椛さんが呆れた顔をしてため息をついていたので恐らく普通の妖狐は気がつくのであろうなと感じながらも俺達は進み、そしてとうとう廃村が見えてきたのであるが遠くからでも分かってしまったが既に怨霊が廃村で彷徨っている所を見てしまっていた。






あそこまでくっきりと霊を見たのはいつ以来だろうと思うぐらいにはっきりと見えてしまっていた。しかもそれが一つではなくて複数いるのが肉眼で確認出来てしまっていた。






流石にあそこに真正面から向かうのは得策ではないなと考えていると椛さんがいるのじゃな、それも複数体と余も感じ取っているのじゃと言って椛さんは気がついたみたいだった。






そして意外にも円城寺信胤さんも長年の勘らしいけど異質な存在がいるような気がすると言っていて歴史に名前を残す人はやはり何かを持っているなと思っていたら狐菊も私も分かりましたと言って流石にここまでくれば理解できたかと思って聞いていたら。






「はい、何も分からないと言うことが分かりました!」






それを聞いた俺と椛さんに円城寺信胤さんは一斉にズッコケをしてしまった。そんな自信満々に言うはないようではないだろうがと思いながら俺は戦場を多く渡り歩いている円城寺信胤さんにアドバイスをもらう為に今後の動きはどうしたら良いでしょうかと尋ねた。






円城寺信胤さんは考えてここは誰かが囮をやりあそこにいる怨霊たちを引き離して残りの者たちは敵本陣、つまりは廃墟になった神社に突撃をするというもので多少は危険だけどこれが一番、成功率があると思っているでござると言っていた。






なら囮は誰にすればと思っているとここは提案を出した某が囮をやるでござると言ってきたけど危険ですよと伝えると戦場はどこでも危険に変わりはないでござるからと言って円城寺信胤さんは怨霊たちが彷徨っている廃村に先に入ってから名乗り上げた。






「某は龍造寺四天王の一人、円城寺信胤なり!我こそはと言うものがいるのであれば我に挑んで参れ!!」






そう言うと肉眼で見えていた怨霊たちが一斉に円城寺信胤さんに向かって来たのを確認して円城寺信胤さんは俺たちが向かう予定の道とは逆の方に後退して目を逸らし始めた。






俺たちも円城寺信胤さんが必死に作った道を無駄にしない為にも円城寺信胤さんが考えた作戦通りにすすめるのであった。








本日の成果


椛さんの過去が判明した!


円城寺信胤さんが想像以上に有能が発覚!


狐菊が想像以上にポンコツだった事が判明!


円城寺信胤さんの作戦が成功して廃村にいた怨霊と戦わずに突破を成功させた!

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