第21話


俺は背水の陣で仕事に取り組んでいるうちにとうとう体を壊してしまった。その上に上からかなりの仕事をした上に二日ほど休みを返上していた事もあり一週間の休みを与えてくれた。






普段ならかなり嬉しいのに嬉しくないと思っていたら代わりに佐藤紫ちゃんが上司の補佐のために会社で寝泊まりするかもしれないけど頑張ってくれと言っていた。






・・・これってもしかしてかなりのチャンスと感じた。この上司は美しい女性に声を必要以上に声をかける上に留まらせようとすることでも知られており、会社の中でも知れ渡っている。だからこそ俺は最高の展開だと瞬時に理解した。






俺は上司に感謝の言葉を伝えた、いつもは変態おじさんだなと思っていましたけどこの時、この瞬間だけは心から感謝をいたします。これで怖いものがなくなったのでうきうきで家に帰りながら異世界に行くための品物を買い始めていた。






お金は異世界で発掘したあの宝石が信じられないぐらいにお金がついて売ったのでお金が有り余っていたので遠慮などしないで買い物をしていた。






特に栗饅頭とレトルトカレーを中心に買い物をして当分の間、異世界から帰ってこなくても良いようにいろんな品物を揃えてたくさんのバックに入れ込んだ。






複数回、異世界と現代を往復しないといけないけど構わないと思いながら一回目を始めて近くに荷物を置こうとして扉を開けるとそこには扉の前で狐川椛さんと狐田狐菊が正座して待ち構えていた。そして明らかに椛さんは栗饅頭、狐菊はレトルトカレーに視線を向けていた。






俺はその様子を見たので静かに扉を締めてから冷静に考え直した。いくらなんでもあの妖狐の二人が栗饅頭とレトルトカレーの為に正座をしてスタンバイしていることなんてあり得ないからきっと俺が会社であまりにも疲労で見間違えただけだからと思いながら再び、扉を開けると先程よりも距離を詰めてこちらを見てきていたので何も言わずに扉をしてようとすると外から扉を閉めようとするのじゃーと声ともに妖狐の力を出して閉めるのを防いだ。






いやーー!怖いですから完全に獲物を狙っている目になっていましたから完全に俺は捕食者として見られていた目をしていましたから逃がしてください。落ち着いたら戻ってきますからと言っても外から栗饅頭栗饅頭栗饅頭栗饅頭とレトルトカレーレトルトカレーレトルトカレーと何を求めているのか、丸わかりで隠すつもりは全く皆無でおねだりをしながら扉をこじ開けようとしていた。






このままだと扉が壊れてしまうと感じたので素直に渡しますから落ち着いて下さいとお願いをすると素直に引いてくれたので俺は開けてから二人が欲しがっていた品物を渡すともの凄い勢いで受け取り喜んでいた。






狐菊はともかく椛さんは目が見えていないのに正確に取るってどんだけ欲しいのですか、栗饅頭をと思って見ていた。そこは置いといて俺は向こうでかなり長い間の休みが取れたので一ヶ月間ぐらいは滞在できると伝えると椛さんは嬉しそうにして喜んでいたけど狐菊は少し残念そうにしていた。






まあ、よそ者だから気に入らないのは仕方がないかもしれないけどと思っていた。それで今後の予定を話すことにした。






まず一つにやりたいのは陰陽術の炎波を完全に習得したいと事にリオは乗る乗馬・・・いや、ここは乗竜技術を身に着けたいと考えていることにそして未だに探索していない地域に探索したい思いを二人に伝えた。






するとそれは良い事だが危険な生物も生息している可能性もあるので修行をしてから向かったほうが良いと言われた。それは間違いないと俺もそう感じている、この世界に来てからまともに戦いと言える戦いをしていない。






ドラゴンを倒したこともあるけどそれは紫ちゃんの料理を食べたから死んだ訳で俺自身の力ではないので俺自身もそのような生物に対抗できる力を身に着けないといけないと考えていた。






俺が習得できそうなのが炎波ぐらいしか今はないから少し残念であるけど逆に言えばそれ一点に集中できるとも言えたのでそこは良かったかもしれない。






でも今日は会社での疲労もあるので一日、休んでから修行をしたいとお願いした。すると狐菊からまたそんな事で根を上げていたら修行などできないぞと言われたので一応、俺の身に起きたことを伝えるのだった。






「ただの言い訳になってしまうかもしれないけど言わせてほしい。こう見えて俺は労働時間がここ最近は20時間超えでそれ以外の時間はほぼ寝ているだけでそれ以外はやらずに仕事をしていた。それも半月ぐらい続けていたので元気が残っていないのです。なので一日だけで良いので休みをください」






そう伝えると狐菊はもちろんの事、椛ちゃんも顔色を真っ青にして聞いてくれたけどすると狐菊がまあ、そこそこの根性があるのだなと先程のことを撤回してくれていた。一方、椛さんはそんな環境でも半月耐えられるならこれから行う修行が別に大したことを感じなくなるかもしれないのじゃと言っていた。






まあ、それなりに無茶をしたからねと伝えながらそれで普段はどれぐらいなのじゃと言われたので普段の生活を教えてあげる事にした。






「そうですね、普段の生活は労働時間が14時間ほどでここ最近の仕事に比べたら楽ですよ。毎日が10時間ほど余裕がありましたので本当に良かったですけどね」






「それ、普通にヤバイのじゃ。冷静に考えてもあり得ない境遇なのじゃ、お主はなんでそのような環境を耐えられるのじゃ」






まあ、一言で言えばこれ以上の地獄を味わってきたのでこれぐらいならと耐えられるようになってしまいましたと笑いながら二人に話すと二人、揃ってどんな地獄を見たらそんな風に耐えられるようになるのだと言われてしまった。






確かに普通は違うかもしれないけど俺はあの地獄を比べたら他のやつなど苦痛に入らないぐらいな地獄を味わった、それこそその時は自殺も考えていたほどに追い詰められていたからそれを知ってしまうというより耐えてしまったら他の事でそこまで苦痛とは思えなくなってしまった。






まあ、その出来事だけは未だに克服できずに思い出すと吐き気や口から出血などもしてしまうけど。そんなことは滅多に起きないから安心してほしいと言いたいだけどここ最近はそれが引き起こす存在がいるので全然無事ではなくなってしまいましたけど。






無茶な仕事量もその原因から逃げたかったから必死にやっていただけであるから、でも幸運なことに俺はこの世界に避難することができた。その上にやりたいこともできるのでこれ以上もない場所となっている。






それはともかく修行するのに御礼は当たり前だけどそれが栗饅頭とレトルトカレーで良いのかと思ってしまうのだけど本人たちがそれで良いというので俺は気にせずにお願いをするのだった。






そして二人が栗饅頭とレトルトカレーに夢中になっている間に俺はこの近くにある温泉でゆっくりとする事にした。椛さんからは良い匂いがするのじゃと言われたけど俺って会社で半月ぐらいいたので全然、お風呂に入っていないです。






そんな恥ずかしいことは言えずに今は体をきれいにして明日からの修行に備えておこうとして温泉に入ってゆったりとしているのだった。






本日の成果


上手く紫ちゃんに遭遇せずに異世界に向かうことに成功した!


異世界で椛さんと狐菊がスタンバイモードになって待ち構えていた!


修行のお礼が栗饅頭とレトルトカレー!


修行内容は椛さんからは陰陽術、炎波と狐菊からは乗竜技術を学ぶことになった!

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