第12話、とある妖狐視点


退屈じゃ、もう目が見えなくなってどれほどの月日が流れてしまったじゃろう、もう死ぬまで・・・いや、死んだ後もこの永遠の闇を見続けるのみで光など・・・あの綺麗な光景も見れないままと今日も生きているだけで今日も終えようとしていた。






そんな時に人の気配を感じた、近くに巨大な生命体から逃げているようでワイバーンを式神にしているのか飛んでいるように感じ取れていた。






久しぶりの訪問者なので話し相手になってもらおうと巨大な生命体に対して威圧を放ち、素直に住んでいる場所に帰ってもらった。






さてさて、どんな人物が現れるのか楽しみなのじゃ、大抵はこの姿を見て驚いて逃げようとするので魅了して話し相手に最悪なってもらうつもりじゃがと考えているとついに階段から上がってきたのを感じてどんな反応するのかのうと思っていると向こうは信じられない言葉を口にしたのだった。






「お、おお俺と付き合って下さい、貴女に一目惚れしました」






・・・うん?余は耳まで可笑しくなってしまったかのう、余に対して求愛をしてくるとは本当に変わった人の子が現れたのじゃ、ついでに余は怖くはないのかと尋ねてみると信じられないぐらいのべた褒めが始まり聞いているこちらが恥ずかしくなってしまったのじゃ。






それも本心から出ていることは理解できているから余計に質が悪いと考えていた。全く、この人の子はと思いながらも悪い気分ではなかった。目が見えなくなってからというもの多くの同胞が余を差別したり見下したりして居場所などなかった。






こうして辺境地に逃げてたまたまこの辺りにいた同胞には差別などされずに済んでいたがそれでも迷惑をかけると再び、差別をされてしまうのではないかと考えて余はこの神社でかがある場所に一人で住んでいた。






たまたま、同胞が心配で様子を見に来てくれるだけであとは誰も来ずに過ごす日々を送っていた。時々、人の子が迷い込んでは話し相手になってもらった後に帰しているが・・・この人の子は今まで出会ったことももないタイプで気になったので今宵は泊まっていくが良いと伝えると向こうは信じられないぐらいに慌ててきた。






「待て待て待て、待って下さい!!俺は男ですよ、下手にすれば間違いを起こしてしまうかも知れないですよ。だから俺は外にテントを張ってそこで寝ますから」






そう言ってきたので良いのかと言うとやはりお願いしますと言ってきたのでせっかくだからここで自己紹介をする事にした。






お互いに自己紹介も終えてから人の子・・・竜輝が料理を作ってくれると言うのだ。しかし、男の料理だからそこまで最初こそは期待していなかったが匂いからして想像以上に上手いということが理解できた。なるほど自分から料理を作るというだけに少しは出来るだなと考えていると作り終えたと聞いて余は竜輝にお願いをするのだった。






見えないから食べさせてほしいのじゃと伝えると明らかに動揺した声で応じて対応してきたけどこの竜輝は明らかにこちらのあそこを見ておるなと思いながらも食べさせてもらっている上に料理も作ってくれたことも考えて褒美として好きなように見させてあげることにした。






何かと声も上げて反応してくる竜輝をからかうのが楽しくなってきたので今度は温泉に入りたいとお願いをしてみた。勿論のことその気になれば一人でも向かえるけどそれをもちろん教えないでお願いしてみると案の定に面白すぎる反応を見せてくれたのじゃ。






余がどうしてもお願いしてみるとわかりましたと言って手を繋いで歩き出したが本当に初心過ぎて握っているだけでも向こうはドキドキとしているのが感じ取れていた。






そして久しぶりに温泉に入ることもあり匂いなどそう言えばどうじゃたと尋ねると竜輝は別に嫌いではなかったです、むしろ好きな匂いでしたが何かと匂いにも気を使っているのですかと逆に尋ねられたが余の体臭など言えるはずもなく、とりあえず誤魔化してから温泉に入り始めたがあの竜輝は離れた場所に待機すると言って何処かに立ち去ってしまった。






うん〜、これで混浴の時の反応が見れないから困ったのじゃと思って考えた末に迎えに来た瞬間を狙って布一枚になりどんな反応するか試してみようとしてゆっくりと温泉に入っていたが意外と向こうも粘っているなと思ったその時にこちらに向かってくる竜輝の気配を感じ取りすぐに先程の作戦を実行した。






そうして現れただろう竜輝の反応は想像を超える反応を見せてくれたのであった。我が生涯一片の悔いなしと言って盛大に倒れてから足元に何か温かい液体が流れてきたので尻尾で触り、それを嗅いでみると血であった。






しまった、いくら何でもやり過ぎてしまったのじゃと慌てながら竜輝の元により生きているか確かめていると生きているみたいでホッとしたがどうしたものかと考えた末に服に着替えて後に膝で竜輝を寝かせてあげることにしたのじゃ、本当に今宵は楽しい思い出をくれたのでそのおれいじゃと思いながら彼が起きるのを待つのだった。






しばらくすると意識を取り戻した竜輝を見てお主、元気なのかと尋ねてみると竜輝は起きたばかりでまだ周りを見えていなかったのか起きてから時間が経過につれて状況が理解してきてうわーー!!と言いながら起き上がり近くの木に向って己の頭を打ち続けて錯乱してしまっていた。






余はどうしたのじゃと尋ねてみるとすぐに里見竜輝は別に何もありませんから気にしないでくださいと優しい声で言われたが明らかに動揺もしていた上に息も乱れているので本当にお主は大丈夫なのじゃと思う余であった。






全く、ここまで楽しくなってしまうと・・・お主が欲しくなってきたのじゃ。






本日の思い


久しぶりに人の子が迷い込んできたのじゃ!


迷い込んできた人の子に一目惚れしたと言われて求愛されたのじゃ!


意外に料理もできて反応も面白い人の子なのじゃ!


人の子の名前は里見竜輝と言うのじゃ!

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