第9話

翌朝になり俺が起きようとする前に既に佐藤紫ちゃんは起きて朝飯の支度に出発の準備をして気合は十分だった。これなら多少の道でも頑張って付いてきてくれそうだと安心してみながら起き上がると紫ちゃんが声を掛けてきた。






「おはようございます、先輩。今、ご飯の支度をしておりますのでもう少しだけ待っていて下さい」






そう言われたのでせっかくだから言葉に甘えさせてもらうことにした。それにしても本当に佐藤紫ちゃんは良い子なのにこんな目に遭うのか、俺には分からなかった。俺みたいな悪党が不幸なるのは理解できるが紫ちゃんみたいな善人が不幸なるのはおかしいと俺はそう思うだけどな。






本当に神様はどこから見ているのか知りたいぐらいだよ。ともかく佐藤紫ちゃんの料理の腕はいかがものかなと期待しながら待っていると徐々に危険な香りを出し始めていた。






あれ?もしかしてこの子ってかなり料理が下手だったりすると今更であるけど危険を感じ始めていた。既にリオは危険を察したのか遠くからこちらを見ていたけどあの目は危険生物を観察しているときの目だと感じ取れていた。






そうして佐藤紫ちゃんが料理を終えて持ってきたのは名前の通りに紫色に変色した食べ物に匂いから食べてはいけないと本能が訴えかけてける物でリオは鳴き声を上げて自ら赤い宝石に封印されていった。






おいー!リオ!!お前だけずるいぞ、そんな逃げ方をするな出てこいと言ってもいつもなら当たり前のように出て来てくれるのに今回は何も反応なし。






・・・俺も必死に食べずに済む方法を必死に探した、見つけなければ俺の命はないと本能がそう言ってきている。そしてその結果、俺は起きたばかりだからお腹が空いていないだと説明を始めた。






「紫ちゃんが一生懸命に作ってくれたのに本当に申し訳ないと思っているけどいつもの生活習慣で朝は食べずにいるのだ。紫ちゃんもあの会社に入社したから分かったかもしれないけど朝が早いだよ、あの会社は。だから朝飯を食べる暇なんて全然ないせいで食べなくても・・・いや、食べると生活のリズムが乱れてしまうから本当に気持ちだけ受け取っておく事にするよ。別に君のことを嫌いになったわけではないよ、気持ちはありがたいけど体調を崩したら他の社員に迷惑をかけることになるから・・・ね」






この脳みそがない馬鹿が命の欲しさに思いつく限りの言い訳を伝えて必死に命乞いをしていた。こんなことを言っている内心では死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないと泣きそうになりながらも必死に伝えた。






すると佐藤紫ちゃんは分かりました、この分はお昼にとっておきますねと言われて何とか命の寿命が今からお昼まで伸びたがあれ・・・この世のものではない物体を何とかしないと今日で終わる命のことには変わりはない。






最悪、あの巨大ワームに食べさせて完食した事にさせるか。いや、一瞬であのこの世のものではない物体を食べ終えることなどできるとは思えない。くそ!一体どうすればよいのだと必死に考えたが何も名案は思いつく事もなかった。






そうもしているうちにとうとう目的地に向かって出発してしまったのだ。このままだと俺の終焉の地になってしまう、誰か助けてくださいと心の中で叫んだ。






そんなことをしても何も変わらないのは理解しているけどもしかしたら哀れに思った神様が助けに来てくれるかもしれないと神頼りを始めていた。






そしてここで奇跡が起きたのである、沼地に向かっている途中でこの前ほどの大きさではないが見た目は全く一緒のドラゴンと遭遇したのである。






ここにあのワームの巣みたいなものはないから単純に考えてこの生物を倒せる者はこの場に存在しない、他の生物は勿論のこと、佐藤紫ちゃんも驚いて声も出せないでいた。しかし、俺はちがう考えをしていたのだ。






あのこの世のものではない物体をこのドラゴンに食べさせれば万事解決じゃないか!何という幸運だ俺は生きるチャンスが巡ってきたとまるで待っていましたと言うばかりに俺はバックから先程のこの世のものではない物体を取り出した。そして佐藤紫ちゃんは恐怖で地面に伏せておりこちらを見ていない!まさに好機!!






相変わらず、匂いだけでも吐き気がしてきたけどこれをあのドラゴンに食べさせればと思いで俺はこの世のものではない物体をあのドラゴンの口に投げ飛ばした。投げ飛ばしたこの世のものではない物体はドラゴンの口の中に入り込んだ。






俺はあまりにもうま過ぎて我ながらナイスストライク!とガッツポーズをして喜んだ。ヤッター!あれを食わずに済んだ、俺は生き残ったんだー!と叫びそうな声を必死に抑えていると先程のこの世のものではない物体を食べたドラゴンの様子がおかしくなっていたのだ。






顔色が明らかに悪くなり次第にそれを履き出そうとしたが吐き出すことが出来ずにもがき苦しんでいた。流石に俺たちを襲撃してきたドラゴンとは言えあまりにも悲惨だなと感じながら見ていると次第に動きがなくなりそのまま動きが止まってしまった。






おいおい、まさかと思いで近づいてみると完全に心肺停止状態になってお陀仏になっていた。おいーー!!食べたら死ぬと本能が感じていたけどドラゴンまで死ぬほどまずい料理だったのと焦りを感じながら見ていると佐藤紫ちゃんがもしかして先輩がそのドラゴンを倒したのですかと驚いた顔をして言われた。






いやいや、倒したのは貴方の料理がこのドラゴンを倒したのですよと言えるはずもないので誤魔化すしかないかと考えてそうだよと伝えると先輩!凄いですねと感心して喜んでいたけど・・・本当は君の料理が凄いだよと言いたかった。






その後は何事も問題なく目的の場所に辿り着いた。相変わらず鹿みたいな生物が多く生息しており巨大ワームはこの鹿みたいな生物を餌代わりにして待ち構えているだろうなと考えていた。






すると佐藤紫ちゃんが確かこの沼地の真ん中には先輩が話してくれた巨大ワームが潜んでいるですよねと聞かれたので俺はその通りだと伝えた。さて、今回はここからが大切であの薬草を集めて葉っぱを彼女、佐藤紫ちゃんの顔に包帯を取り今度は葉っぱで顔を隠し始めた。






どこまで効果があるかはわからないができることは仕様としてやり終えると今日はこの辺の何処かで休もうと提案をした。今から元の場所に戻るには時間がなさすぎるのでキャンプ出来そうな場所を探して見つけ出してはそこに向かい休もうと提案をするとそれは良い案ですねと賛同してくれて探し始めた。






ここに来てリオがようやく姿を表し始めたのでお前、一番大変な時は隠れていたくせにそれが終えると普通に出てきやがってと思ってるとリオがこちらに何かあると言うばかりに何か叫び始めていたので何かあるのかと思いでそちらに俺と紫ちゃんは向かう事にした。






そうして向かった先には川が流れておりその上で安全に休めそうな巨木もありかなりの良い場所が見つかったのである。まあ、これで先程のことは許してやるかと考えた、その上に川で何か狩りをするのか川の付近で止まり川に向かって視線を向けて待っていた。






食材までもしかして獲ってくれるのかと期待をしているとその瞬間に動き出して大きな水しぶきを上げルトそこには大きな魚が2匹ほど打ち上げられた。凄い、俺と紫ちゃん二人が食べきれない大きさの魚で二人で一匹が構わないほどでありそれは紫ちゃんも感じていたらしくもう一匹は狩りとったリオに上げることにした。






そうするとリオは喜んで一匹を食べようとして口から炎のブレスをして焼き魚にしていた。なるほど炎のブレスを上手く利用して料理をしているのか、それを見た紫ちゃんも凄いうまいですねと言ってきたのでそうだなと言いながら思うことは唯一であった。






君よりも遥かに上手いから安心してくれと言うかなんであそこまで下手というかヤバいものを生み出せるのかが逆に気になってきたのですけどと思うのだった。その後、俺と紫ちゃんが食べる分もリオに加熱調理をしてもらい焼き魚にして醤油と大根おろし、ご飯に味噌汁で食べるのだった。






本日の成果


リオが意外と加熱調理ができる事が判明!


湿地帯、沼地の北には川が流れていた、おそらく見つけた川と同じだと推測!


佐藤紫ちゃんに料理をさせてはいけない!


佐藤紫ちゃんに料理をさせてはいけない!!(大事な事なので繰り返す)


佐藤紫ちゃんに料理をさせてはいけない!!!(本当に大事な事なので三回伝える)


ドラゴンが佐藤紫ちゃんが作った料理の犠牲者になった・・・(お前は良いやつだったよ)

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