第8話

佐藤紫ちゃんは持ち物を取ってくると言って一度、俺の家の前まで来て場所を確認してから佐藤紫ちゃんは家に一度帰って行った。俺はすぐに歓迎会をする為に近くのスーパーに立ち寄り甘い物など調達して準備をしつつ部屋の片付けを必死にしていた。






男が一人で暮らしていたので部屋はお世辞にも綺麗とは言えない状態ですぐに掃除をしていた。彼女がどれぐらい時間がかかるか分からないけどすぐに来てもと思った次の瞬間にインターホンが鳴り響いた。






早!!想像以上に早く来てしまったけど家に入れるしかないと決めて玄関を開けるとそこには服と少しの物しか持ってきておらずほかはと尋ねると私の私物はこれしかありませんからと言って本当なら向こうが泣くべきはずなのにこちらが泣いてしまっていた。






酷すぎる、こんなのってあんまりだ!布団すらもないっていつもはどうやって寝ていたのと聞くと素泊まり状態で過ごしていると言うのだ。もう、汚いかもしれないけど俺の布団を使って俺は男だから素泊まりでも平気だから紫ちゃんは遠慮などしないで使ってくれと話した。






だけど流石に悪いですから私はいつも通りにするだけですから気にしないで下さいと言われたけど余計に俺は頼むから布団で寝てくれとお願いをすると佐藤紫ちゃんがなら一緒に布団で寝ませんかと提案を出してきたのである。






いやいや、年頃の女性と一緒に寝るのはいくら何でもだめでしょうと断ろうとしたけど向こうが断らないでと上目状態して俺はあえなく撃沈して佐藤紫ちゃんの提案どおりに一緒になる事にした。いやいや、この俺の人生で女性と一緒の布団で寝たことなんて一度もないですけどどうすれば宜しいのですかと誰かに聞きたかった。






・・・いや、正当な回避する方法があるじゃないか。俺は異世界で眠れば寝袋を使うしかないのでこの寝袋でやり過ごせば良いではないか。全く、こんな使い道をするとは買った時には想像もしていなかった。でも寝袋は意外と高かったけどその見返りが来たので結果的にオーライとなった。






良し!なら行動早めの方が良いだろうから一段落したら行動しようと決めるのだったが佐藤紫ちゃんがせっかくですから一人では寂しいと言うので俺はそうだなと言って考えた。






もう、二人で異世界に向かったほうが早いのではないかと思い始めた。まずは手品という事で少し遊ばせてみることにした。内容はこのトイレからこの扉使って全く消えてしまいますと言う手品を披露すると言うとそれってどんな感じなのですかと聞かれたのでまあ、聞くよりも見たほうが早いと伝えて俺はいつも通りにするのでドアが三回叩かれたら開けてみてくださいと伝えてからいつも通りに異世界に向った。






向こうの方が時間の流れが早いのでこちらは荷物など点検して盗まれていないか確認をしていた。盗むような人はいないと思うけどと思いながら見てみると予想通りに残っており問題はなしと確認してから再び、現代に帰りすぐに扉を開けて佐藤紫ちゃんにどうだったと尋ねると興味津々に一体、どんな手品だったのですかと聞いてきたので俺はならタネ明かしをするから一緒に入ってと伝えてから先程と同じくドアを3回ほど叩いた。






そして扉を開けるといつもの大自然が広がっておりこれがタネ明かしかなと伝えるけど佐藤紫ちゃんは困惑な表情をしてえ!??と言ってあたりを見渡していた。






無理もないよな、俺もこんな感じだっただろうし佐藤紫ちゃんがこうなっても当たり前の反応だからむしろこれでも驚かなかったら何で驚くのとこちらが驚く事になっていたかもしれないけど。






ともかく佐藤紫ちゃんは辺りを見てから俺に話しかけてきた。






「先輩!これはどんな事になっているのでしょうか、私には理解ができません」






「安心してくれ、紫ちゃん。俺も理解は出来ていないからある日、突然として出来るようになっただけだから俺自身も理解が出来ているわけではないから無理に考えなくても良いよ」






伝えると紫ちゃんは本当に不思議なことですねと言ってきたので俺も全くだと返答した。その後は今現在で知っている異世界の情報を全て教えたけどこちらも知らないことが多いので教えたという表現は間違いかもしれないけど。






とりあえずこれからの予定を話すことにした、それは彼女の顔の火傷に関することで説明をした。もしかしたらの話になるかもしれないけどその火傷が少しは良くなるやつがあるかもしれないと説明した。






するとやはり飛びつくようにその話は本当ですかと聞いてきたのですぐに説明を始めた。まずは持っている赤い宝石を取り出してリオの封印を解いて姿を現したら佐藤紫ちゃんが驚いて声を上げてしまってリオも驚いてしまった。






ともかくリオも紫ちゃんも落ち着いてくれとお願いをしてまたしばらくしてから説明を再開させた。






「色々と余談が挟まりましたけど説明に戻るね、まずなんでリオを取り出して見せたのには理由があるだ。実はこのリオをペットにした時に翼に大きな傷穴があっただけどある植物の使い、あっと言う間に傷穴を治してしまったのだ。それを使えばもしかしたらかもしれないけど可能性はあると考えた訳だ」






すると佐藤紫ちゃんは可能性でも構いませんからその場所を教えてくれませんかと言われたけど今日はもう仕事で疲れている上に暗くなってきたので流石に危ないから明日に向かおうと伝えると分かりました、我儘を言って申し訳ありませんでしたと話した。






気持ちはわかるよ、それは治せないと言われたものが治せるかもしれないだから焦ってしまうのはでも夜の森とかは真面目に危険だから向かってはいけない。






元の世界でも非常に危険なのに異世界なんて言ったら未知が多すぎるので今夜は休んで明日にこの薬草が取れた場所に向かおうと伝えた。でもそうなるとあの巨大ワームをまた見ることになるかもしれないのか、見た目があまりにもグロだから出来る事なら見たくはないだけどなと考えていた。






でも見返りはあるかどうかわからないけど行く価値はあるよな、それにその薬草も多く持ってくればいざというときの為にも使えるかもしれないから採りに行きますかと内心決めたのであった。






とりあえず、腹ごしらえの料理を久々に作り始めたのである。久しぶりで上手く行くか分からなかったが意外となんとかなりそうだった。






メニューは鰯を甘辛く煮込んで煮魚にして野菜はレタスなどを盛り付けてサラダにした上に味噌汁にはわかめに油揚げそして豆腐など入れて白米の普通のご飯になってしまったけど問題はないよねと思いながら出した。






すると佐藤紫ちゃんは泣きそうになりながら久しぶりにこのような食事を出されて嬉しいですと言うので家族からまともな食事を出されていなかった事が聞いているだけでも想像は簡単だった。






ともかくせっかくだから異世界の夜空など見ながらゆっくりと食べようと伝えてから食べ始めた。それにしても我ながら上手くできたなと安心していた、もう一年近くは会社が忙しくて作れていなかったなと振り返っていた。






食べ終えてから二人で夜空を見ながら話し合いをしていた。






「紫ちゃん、何かあれば遠慮などせずに話して良いからね。できることが少ないかもしれないけど、そこは許してね」






「いいえ、本当にその心遣いだけでも嬉しい限りです。色々と我儘を言っているのに必死に答えてくれて感謝をします・・・もし、こんな私でも宜しければ・・・」






「いやいやいや、駄目だから。まだ、佐藤紫ちゃんは二十歳にもなっていないでしょう。高校は卒業したらしいけど俺から見ればまだ子供に近い感じだから困っている人を助けてお礼を求めるのは間違っているから、だから気にしないで素直に助けてあげるから」






全く、本当にここまで追い込まれる人生を歩んでいるなんてマジで他人とは思えないよな。さて、俺も明日は紫ちゃんの為にも頑張るために早めに眠りに付きましょうか。






俺はそう考えて早めに寝袋に入り明日に備えて寝るのだった。






本日の成果


料理の腕は落ちていなかった!


明日の目的が決まった!

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