第16話 看病と勘違い

月曜日

クラスに入ってみると、女子達が騒いでいた。

なんで騒いでるか気になるが俺に

女子に話しかける度胸はない。

よって不本意だが龍太に聞くことにした、


「おい龍太、なんでこんなに

 騒がしいんだ?」


「あぁ なんでも桜井さんが今日欠席らしい

 風邪だそうだ」

 

あの幼馴染が欠席? 珍しいな

超健康体な幼馴染が風邪とは…

何かあったのか?


「なるほどそれでみんな騒いでいるのか」


「桜井さんお見舞いに行こうの会が結成

 しようとしたらしいぞ 

 だけどみんな桜井さんの家を知らないから

 すぐに解散したが」


俺と幼馴染の家は他の生徒が帰る道の反対側。

同じ方向に帰る生徒はほとんどいない。


幼馴染の家は俺の家の途中だし、

お見舞いいってやるか…


いつも通りの授業が始まり、休みがあり、

ご飯を食べる。

しかし俺に話しかけてくる奴はほとんどいない。

想像以上に寂しい。

いつも話しかけてくる幼馴染は今日は欠席。

結局学校で誰かと喋ったのは帰宅する時に

柊と会った時だけだった。


「良一先輩、

 桜井先輩のお見舞いに行くんですか?」


「あぁ行くつもりだ 柊も来るか?」


柊は首を横に振る。


「私は…行きたいですが

 お邪魔になってしまうので…

 桜井先輩の病気の原因は私と良一先輩なので

 私は元気になったらお詫びしにいきます」


「えっ 原因知ってるの?

 俺と柊が原因なの? なんかあったっけ…」


「多分良一先輩はわからないと思いますよ

 びっくりするほど鈍感すぎますから」


「おいおい 俺は察しのいい方なんだが…」


「それは絶対にありえません」


やけに強く否定してきた。

察しは昔から良い方だと思っていたが

他から見たらそんなことないのかもな


「まあ お見舞い行ってくるわ

 じゃあまた明日」


「はい、また明日、

 桜井先輩にも言ってあげてくださいね」



途中、コンビニで色々と買ってから

幼馴染の家に着いた。


「すみません、桜井さんのお見舞いに

 来たんですけど…」


ドアを叩いてみるが反応がない。

家の人は今いないのか?

そういや幼馴染の両親は

いつも夜に帰ってくるんだったな

だが確か美咲?昔で名前はうろ覚えだが

妹もいたはずだが…


困っていると後ろから声がする。


「なんの用ですか!

 玄関の前でずっと立って!

 まさか泥棒ですか!」


後ろには幼馴染の面影のある、幼馴染と

同じくらい大きさの女の子が立っていた。


「ちっ違うよ…泥棒じゃない…

 桜井のお見舞いきただけ…」


「お姉ちゃんのお見舞いですか?

 …なんか怪しいですね

 お姉ちゃんにアポは取ってますか?」


そういやアポは取っていなかったな。


「いや…取っては無いけど…」


「分かりました!

 お姉ちゃんに片想いをしていて、

 お見舞いとか言って風邪のお姉ちゃんを

 襲おうとした魂胆だったんでしょ!」


「そっそんな非人道的な事はしない!

 ていうか桜井は幼馴染だ!」


「幼馴染…? あぁなんだ良一さんですか

 早く言ってください

 お姉ちゃんからよく話を聞いています

 私はお姉ちゃんの妹の桜井美咲です」


よく分からないが納得したみたいだ。

名前は合っていたみたいだ

久しぶりに会った。今は中学生ぐらいか?

美咲ちゃんは俺の体を押しのけると

玄関を開けた。


「入ってください」


「あぁ そうするよ」


家の中に入り、幼馴染の部屋へ行く。

幼馴染の部屋には数年ぶりのため、記憶と

色々違うが幼馴染の部屋感はあった。

幼馴染はぐっすり寝ている様子だった。


「そういやなんで俺が良一って名前だと

 分かったんだ?」


「お姉ちゃん度々貴方の話をしているので。

 まあ陰キャとは思いませんでしたが」


「何丁寧なふりして悪口言ってんだ」


「そういや前に家に来てましたね

 あの時お姉ちゃんが看病していた相手が

 貴方ですか」


「さらっと流された…」

 桜井は結局なんなんだ?」


「桜井だとお姉ちゃんか私かわからないので

 下の名前でお願いします」


えぇ…下の名前で呼ぶのは

かなり久しぶりなんだが


「えー…じゃあ今、結衣はどうなんだ?」


「どうなんだとは?」


「病気の件以外ないだろ」


「ただの風邪ですよ

 お姉ちゃんが風邪を引くのは

 久しぶりです」


「あぁそうだよな いつも元気な奴だしな

 病気とはかけ離れていると

 思っていたが…」


「…お姉ちゃんは最近元気ないですよ…

 特に週末に元気が無かったです。

 病気は気からと言いますし

 悩み事が原因でしょう」


「悩み事なんてあるのか?

 こいつに…」


「お姉ちゃんをこいつ呼びは

 やめてください」


「あー悪かった」


「お見舞いなら

 お見舞いらしいことしてください

 私は家事があるので。

 ……病気のお姉ちゃんに変な事

 しないでくださいね」


美咲ちゃんは不安の様な目をして出て行った。


「幼馴染にそんなことしねぇよ

 おい、起きろ、色々買ってきてやったぞ」


「うーん…

 あ、おはよう…」


「起きたか? 熱はあるのか?」


「うーんとねぇ? ある?ない? わかんない

 熱測って〜」


「…お前キャラどうした?」


幼馴染のキャラがいつもと全然違う。


「そんなことないよ〜熱測って〜」


「おまえ風邪でキャラが変化したな

 お前はキャラ作りがうまいからな

 熱測れば良いのか?」


「うんー そこに体温計あるから…」


「でもこれ脇に挟むやつだぞ?

 お前じゃ無いと無理だ、」


「うんー 

 自分で測るのに上の服が邪魔だから

 上の服脱がしてー」


「…お前冗談か?」


「私今動けないからー お願いー」


上の服だとしても絵面が…

それに色々とまずい気が…


「流石にそれは無理だ…

 ちょっと美咲ちゃんを呼んで…」


「行かないで! ここにいて!」


「おっお前……

 流石に俺がお前の服脱がすのは

 やばいから美咲ちゃんの方がいいだろ!

 それにお前だってそれは嫌だろ!」


「別にー? 良一だったら良いよー?」


思考が一瞬停止した。

こいつ風邪だから無敵だ。

多分恥とかの感情が無い。

やばばばばい…


「はー…上の服だけだからな!

 脱がすために腕上げてくれ」


「うん! お願いー」


俺は立ち上がると、幼馴染の服を

脱がそうと服を引っ張ろうとすると、


「うん? あれ私何を…? 

 あ、お前お見舞いに来たのか。

 えっと……何してるんだ?」


まさか…最悪のタイミングで

幼馴染の意識がはっきりしたみたいだ。

そして…


「…何してるんですか?」


最悪のタイミングで美咲ちゃんが入ってきた。

















 

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