第15話 デート2

「どっちがいいと思う?」


目の前によく違いが分からない服が

出される。

微妙に服の模様が違うが

ほとんど変わらない。


「どっちでも良い」


「はー1番つまんない解答だ

 お前絶対モテないな」


「悪かったな

 服なんて着れればなんでもいいだろ」


「うっわ 引くわーまじで引くわー

 まじでそんな考えの人がいるんだね

 この時代に」


正直服はよく分からない

ファッションセンスが絶望的と前に

幼馴染に言われたことがあるが

その通りだと思う


「服に興味が無いとモテないよー

 デートで会った瞬間に振られるよー

 なんか想像したら笑えるわ笑」


「はいはい 俺はモテませんし

 デートだって誘わないし、誘われないから

 大丈夫だよ」


「まじ陰キャでウケル笑」


うーん…

幼馴染の悪口は聞き流せるが、こいつの

悪口はいちいち心にくるものがあるな


「それで?もう1時間以上いるが買うのか?」


「うん?この店では買わないー」


「買わないのかよ! ていうか

 この店って?他の店にも行くのか?」


「当たり前じゃん 何言ってるの?

 あと3店舗はまわるんだよ?」


「地獄かよ まじで…」


結局次の店では1時間

その次の店では2時間、

3つ目の店だと1時間半も待つことになった


「かっ買いすぎじゃね?」


「だって荷物持ちがいるからねー

 そりゃいっぱい買うでしょ」


既に両手に大きな袋を4枚ほど

持ちながら階段を登っていた。


重すぎる…

冗談じゃないが本当に死にかねない


「きゅっ休憩したいが良いか?」


「男子のくせにまじでひ弱ー笑

 ひょろひょろじゃん笑

 まあ良いよ 私も座りたいし笑」


ということで近くにあるベンチで休むことに

なった。


ふーやっと休憩できる

……ずっと荷物持ちながら

街中を歩くのは本当に辛い

ベンチが少し狭いが座ることを優先した。


(あいつと清田の間隔狭くないか!

 肩あたってるぞ!)


(こっこれは…良くないですね…)


(ちょっとなんか言ってこようかな?)


(やめてください!

 後々面倒になります!

 せめて会話が聞こえるぐらいに

 近づく程度にしてください!)

 

「さて…買い物もこれで終わりか」


「そうだね」

 

そこからずっと静かな空気が続いた。

風と木の音が揺れる音。

その音楽を聞いていると清田が喋った。


「…なんで私の喋り方が違うか

 聞かないの?」


「…お前だって否定してただろ」


「まあそうだけど…一応言っておくと

 今日の喋り方がいつもの喋り方ね」


「じゃあなんであの時は

 あんな喋り方だったんだ?」


「それはねー私の好きな人がいたからかな?」


!?今なんて言った?

好きって言ったか??


(おい? 今の言葉は?

 告白か? そうなのか?)


(えっえええ!そうですね!!

 ええ! 告白ですね!)


(……私帰るわ…)


(なんでですか!? 

 何故このタイミングで!?)


(ちょっとこれ以上は無理そう…)


(桜井先輩!? 大丈夫ですか!?

 走って行かないでください!)


「えっ?えっ?

 どういうこと? そういうこと?

 いや待って…今? いやだが…

 これは…」


「何勘違いしてるの?

 私が好きって言ってるのは桜井さんの

 事だよ?」


「あっあぁ そっちか…びっくりした…」


「何?私があんたに告白すると思った?

 自信過剰でキモイよ?」


「うるさいな あの文脈はやめろって

 それで? 桜井が好きって?」


清田は目を輝かせて、元気よく喋り出した。


「もちろん好きってのは推しとしてね!

 桜井さん可愛いじゃない?それにみんなから

 人気者で、生徒会所属! 

 ずっと前からお近づきになりたかったけど

 勇気が出ないから喋れてなかったんだよね!」


「あぁだからあいつの前で

 あんな喋り方になっちゃったのか」


「桜井さんをあいつ呼ばわりするな殺すぞ

 でね! 

 本当に桜井さんのことが好きなの!

 でもね!なんか最近桜井さんが

 悩んでるっていうか…

 たまに恋する乙女見たいな目を

 してることがあってね!

 あれは桜井さん好きな人いるね!絶対!」


「あい…いや桜井にそんな奴いるのか?」


正直あいつに乙女要素を感じないから

想像できない


「あ、そうだこれ聞きたかったんだ!

 あんたを買い物に誘ったのは、

 もう一つ理由があるんだよね」


「理由?」


「あの暴力事件、

 あんたが庇って殴られたって

 あれ本当? 本当は嘘なんじゃないの?」


「本当だよ 俺は守ろうとして殴られた、

 ……勘違いだったけど…」


「?どゆこと?」


「いや……なんでも…」


「言え」


「いや……でもこれは…」


「………」


 ………

 無言と眼力に押されて

 結局全部話してしまった。


「あはははははは笑笑

 まじで言ってんの?笑笑

 不良に襲われてると思ったらその子は

 妹!笑 

 彼氏って言ってしまって殴られてた笑笑

 まじでうけるわー笑笑」


 …出来れば話したく無かったのに…

 結局清田は5分ぐらい笑い続けて、

 しばらくして落ち着いてから話し始めた。


「そんなこと本当にあるのね

 びっくりだわ!!」


「うるさいな!全く…

 ……そういや

 桜井の喋り方なんだが…」


「あれ良いわよね!

 なんかギャップ萌えというか…

 近づきやすい感じがして私は好きよ!」


「あっそうなのか、それはよかった…」


あいつの喋り方意外と好印象なのか?

まあとりあえず不安や聞きたかったことは

全部聞くことができた


「桜井さんまじでファンだわー!

 って日も暮れてきたから私そろそろ帰るわ」


「あぁ もう結構な時間だしな

 じゃあな 借りは無しな」


「もちろん分かってるよ

 それにしても桜井さんの

 好きな人気になるけど……

 誰なんだろう……

 ………………なんか違和感が…

 ……うん?待てよ?あの時の視線の先…

 あの喋り方の相手……幼馴染……

 うん?もしかして好きな人って…

 は!?まじで!?」


「おい!? どうしたんだ?

 大きい声出して?」


「あばばばば まっまじで…?

 嘘でしょ? …それは……

 あんたまたクラスで私に話しかけろ!

 そして桜井さんについて話せ!」


「はっ?なんでだよ!」


「いいから!それにしても気づかないのか!?

 この鈍感め!! 裏切り者め!

 絶対にお前なんかに渡さないからな!」


「?どういうことだ?」


「死ね! バカ!」


そう言って荷物を奪って

清田は走り去っていった。


……最後のはなんだったんだ?

なんか涙目だったけど…

俺なんかしたか?

まあいいや暗くなってきたし早く家に帰ろう

午前10時から今の時間は6時…

8時間か…長いなぁ とんだ休日だった

また清田とクラスで話すの嫌だな…

本当にどういうことだったんだろ?


「あの幼馴染に好きな人なんていない

 気がするけどな 陽介もいっていたけど

 あれは嘘だろうし…」


とりあえず早く帰ろう

 


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