第17話 冤罪

 幼馴染視点


「聞いてくれ!冤罪だ!」


「嘘をつかないでください!

 やっぱり玄関で言ったことと同じでしたね…

 変態!」


「本当に違うって!誤解だって!

 結衣が体温計で熱測りたいから

 脱がしてって言ったんだって!」


「お姉ちゃんがそんなこと言わないですよ!」


「なあ結衣言ったよな!」


「悪いけど熱でボーとしてたみたいで

 覚えてないわ まあ冤罪だったらメンゴ」


「酷いな!ちょっ! やめてくれー!」


そうしてあいつは美咲に連れて行かれた。

部屋の外でも言い争いを続けてるらしく

声が聞こえる。


私は意識がボーとしていたが

今ははっきりしている。


どうやら私の服を脱がそうとしていたらしいが

あいつは私に頼まれたと言っている。

うーん冤罪だったら悪いことしてしまったな。

意識がはっきりしていない時の私なら

頼みかねない。

私は思わず苦笑いをする。


まあ色々あったがあいつがお見舞いに

来てくれたことには違いない。

ベッドの近くの椅子の上に置かれたコンビニの

袋を見て、あいつがわざわざ買ってきたと分かる。

中にあったゼリーを食べながら、体温計を測る。

37.4 少し熱は下がったがまだ安静にしておくか。

だが明日は学校に行けそうだ。

言い争いを未だ続けているあいつと美咲が

戻ってくるのを待つ。


「…ただいまー…」


「全く…!」


良一が美咲に首元を掴まれながら入ってきた。


「でっ?裁判の結果は?」


「有罪判決された…冤罪なのに…!

 再審請求しようかな…」


「お姉ちゃんがそんな事頼むとは思えないですし

 私はお姉ちゃんを狙った犯行と見てます」


「証拠は!証拠が無いぞ!」


「証拠は無いです。

 なので証拠不十分で有罪です、」


「中世でもそんな横暴な裁判

 してなかったと思うぞ!」


「と被告人は供述しており…」


「おい!聞け!」


「とりあえず謝ってください

 有罪であれ、無罪であれ、脱がそうとした

 ことには違いないので」


「結衣に頼まれたのに…とりあえず…

 ごめんなさい」


良一が美咲に促され、平謝りをする。


「ふふっ なんか面白いな

 高校生が中学生に負けてるの笑

 仕方が無いから優しい優しい学年の

 マドンナの結衣さんは許してあげるよ」


「結衣さん、ありがとうございます」


「さっきからずっと思っていたんだが

 下の名前呼び懐かしいな

 かなり小さい頃以来だな」


「だよな 今日数年ぶりに呼んだわ」


「なんか懐かしいな… あっ

 じゃあお詫びとして明日から、学校でも

 下の名前で呼んでくれ それで許す」


「えぇ 絶対に注目されるし

 クラスの男子に絡まれる気がするんだが」


「じゃあ許さない

 明日からじゃあねだな」


「なんかずるいな…

 分かったよ 言えば良いんだろ!言えば!」


「おぉ頑張ってな」


本当に久しぶりだ。

正直、明日の学校が少し楽しみに感じる。


「それで風邪の原因は?

 俺と柊が原因らしいが…」


「未来ちゃんのせいじゃないと

 明日伝える予定だ

 あれは私の問題だ」


「俺が原因ではあるみたいだな」


「そうだな お前が原因だ

 だが私だって理由がよくわからない」


あの時、私でもわからないがかなり

メンタルが限界だった。そして体調不良を

発症して、家に帰ってしばらくしたら熱があった。


「まあ私もよく分からんし

 ただの風邪ってことでいいじゃないか」


「それもそうか

 そういやお前の喋り方意外と好評かもだぞ」


………それは無理だ…私は

怖い。いやだ…思い出したく無い。

これは私の問題だ。良一を巻き込まない。


「面倒だし、印象崩れるから

 この喋り方は昔からの幼馴染のお前にしか

 使わない予定だ」


「それはどうも光栄ですよっと

 じゃそろそろ帰ろっかな」


「そうか じゃあな

 あとゼリーとかもありがと」


「これはお返しな

 じゃまた学校でな、死ぬなよ〜」


「もし私が死んだらお前も一緒に生きたまま

 火葬してもらう予定だ」


「どんな予定だよ笑」


あいつはそう言って部屋から出て、

帰ってしまった。


最近の私は色々とおかしい。

あいつとは幼馴染。

この関係が一番心地が良い。

なのに…何故だろうか…

…一体…これは?






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