第20.5話 入浴中の五十嵐楓子

「はぁ~」

 お風呂に浸かると体中の疲れが和らいでいくのを感じる。


 上を見上げると、千秋がいるんだなぁと変に感じてしまう。

 私今日変だよな……。テンションが上がってるのは自分でも分かってるけど、やんちゃし過ぎたよなぁ、どう考えても。怒ってないかな?嫌われてないかな?

 はぁー、ちょっと不安だ。



 女が好きってバレちゃったし、でも別に気持ち悪がられたりしてないから良かった。

 勝手に物色しやがって!

 ……

 あいつ1人だからってまた物色してんじゃねえだろうな!?


 勢いよく浴槽が上がって、お風呂から出ようとする。


『臭いです!』


「あぁもう!」


 最初に洗っておけば良かったと、今後悔する。

 なるべる早く、でも丁寧に頭や体を洗う。それでも5分以上は掛かった。

 これで臭くないはず、臭いなんて言わせない。


 脱衣所に戻ってバスタオルを引き出しから出すと、千秋が使ったバスタオルが目に入る。

 触ると濡れて、冷たい。


「いやいや、そこまで変態じゃねぇし」


 ……


「――!だから後から入れろって言っただろ!!」

 私は乱暴にバスタオルを洗濯機に投げ入れた。

 雑に濡れた体を拭き、ゆるいシャツとゆるい短パンを履く。所々拭き切れてないからか、肌に張り付く。

 それがまた私をイライラさせる。


 ああもう!

 あいつ変な事してないだろうな!?


 ドタバタと走って部屋に向かう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る