21.小悪魔

 わたしは俗に言うメガネ女子だ。

 子供の頃から視力がとても悪く、ド近眼で、メガネは常に手放せないでいる。


「――ねぇねぇ、前からずっと思っていたんだけど、鶴ってさ、黙っていると、知的なお姉さんって感じがして、ちょっとかっこいいよね」

「え? ほんと?」

「ほんとほんと」


 丸テーブルに頬杖をつきながら、千恵ちゃんがケラケラと笑う。


「もしも、ずっと黙っていたら、あたし、鶴に惚れちゃうかも……」


 じんわりと熱を帯びたような目で、わたしを見つめてくる千恵ちゃん。


(こ、神々しいっ!)


 メガネを付けているのに、そのあまりの可愛さぶりから、千恵ちゃんのことがまるで見えない。

 しかし、


「……多分だけど」

「何?」

「またわたしのことからかってるでしょ……?」


 千恵ちゃんは何も言わず、にっこりとわたしに微笑んだ。


(――この、小悪魔めっ!)


 わたしたちの関係性は、いつまで経っても変わらない。


 だって、


 〝大人と子供〟だからね!

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