15.ロリコン

「わたしってさ、生きててもいいと思う?」


 千恵ちゃんは少し考えた素振りを見せると、真面目な顔をしてこう言った。


「……それはロリコンがって意味? 別にいいでしょ。犯罪さえ犯さなければ」

「良かった! 千恵ちゃんなら、そう言ってくれると思ったよ!」

「……でも」

「えっ、まだ何かあるの……?」

「ロリコンってすぐ犯罪を犯そうとするよね」

「それはちょっと暴論だと思うな、わたし……」

「……だって、目の前にそのまんま当てはまる人がいるし」


 ジトっ。

 いつもの如く軽蔑の眼差しを向けられ、わたしは『ナンノコトデスカー』と大きく視線を逸らした。


「そんなんだから信用されないんじゃん……」


 わたしはピューピューと口笛を吹く。


「素直になれば手を繋ぐくらいしてあげるのに」

「えっ?」

「……鶴ってさ、すぐ本気に捉えるよね」

「わたし、この歳でもピュアガールだから」


 千恵ちゃんは呆れた様子で、スマートフォンを弄り始めた。


 ――今日もわたしたちの日常は平和そのものだ。

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