7.生まれた意味
「WEB小説の魅力とは?」
書き手としても読み手としても、WEB小説の一ファンとして気になったので、千恵ちゃんに尋ねてみる。
「それはやっぱり〝面白い〟の一言に尽きるからじゃん?」
WEB小説は本当に面白い。
そして、スマートフォンでどこでも気軽に読めるのもいい。
わたしは一応書き手であるが、しかし、正直なところ、読み手としてのWEB小説ファンであると言ってもいい。
大好きな憧れの作家先生は数え切れないくらいいる。
いつか自分の小説にも〝大好き〟と言ってくれる人が出来たら――。
『生まれた意味を教えてくれてありがとう』を言いたい。
そんな思いを抱きつつ、わたしはもうだいぶ長いこと小説を書いている。
「なーんか難しいこと考えてない?」
千恵ちゃんがわたしの鼻先に指を押しつける。
「――あたし、鶴の小説悪くないと思うよ」
「それはつまり良くもないってこと?」
「そうじゃなくて、刺さる人には刺さるってこと」
「刺さるって……」
「もう! 面倒くさいなぁ! いちいち言わなきゃ分からないわけ!?」
「ご、ごめん!」
「鶴の小説、あたしは〝大好き〟ってことだよ」
『まったく! 言わせんな!』と、千恵ちゃんはふいっとそっぽを向いた。
「……ありがとう」
千恵ちゃんはわたしに〝生まれた意味〟を教えてくれたよ。
「――あっ、でも」
「な、何?」
「何度も言うようだけど、〝
『あれで全てが台無し』と言って、千恵ちゃんは深いため息をついた。
「め、目立ちたかったんだよ……」
にっこりと花が咲いたように笑う千恵ちゃんだったが、それは明らかに心から軽蔑しているという意味合いだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます