第23話 初めてのテイム成功!

 私とライムスはしばらくは普通のプールで遊んで、そのあとは流水プールやウォータースライダーを楽しんだよ。


 ライムスの一番のお気に入りは流水プールみたいだね。

 

 ぷかぷかと浮かびながらゆっくりと流されていくのが気持ち良いみたい。


 そうやって流されていると、二人の男の子が水鉄砲をして遊んでいるのが見えた。


 するとライムスは二人を真似して、口からぴゅーっ! と水鉄砲を繰り出した。


「うわっ! ビックリしたぁ~。ライムス、水鉄砲なんて覚えたんだね!」

『ぴきゅきゅっ!』


 ライムスは一生懸命に水鉄砲を繰り出して、私が褒めてあげると、少しずつ上手になっていったよ。


 最終的には1mくらい水鉄砲を飛ばしていて、周りの人からも褒められていて、すごく嬉しそうだった。


 ライムスの意外な才能が見られて私も鼻が高いよ。

 やっぱり家族が褒められると嬉しいよね!


 プールで遊んだあとはシャワーを浴びて、フードコートにやってきたよ。


「私は温かい蕎麦でしょ。ライムスは?」


 私がメニューを指差していくと、ライムスは揚げパンのところで鳴いたよ。


「揚げパンだね?」

『ぴきゅっ!』

「うん、分かったよ」




「いただきまぁ~す!」

『きゅぴーっ!!』


 今日は試練があってお昼ご飯を食べてこなかったから、大盛りの蕎麦を頼んだよ。


 ライムスのお昼もお預けだったから、揚げパンも二人前。


 ライムスは揚げパンを頬張ると、ぷるぷると弾んで喜んでいた。


 両頬が揺れていて、本当にほっぺが落ちちゃうんじゃないか心配になるくらいだったよ。


「どーお? 美味しい?」

『きゅぴぃ~!』

「はい、蕎麦も一口食べていいよ! あ~~ん」

『きゅりぅ~~っ!』


 あ~んしてあげると、ライムスは美味しそうに蕎麦を食べてぷるぷると揺れる。


 やっぱり一人で食べるより、こうやって家族と食べるのが一番美味しいよね。


 食事を終えると、時刻は16時を回っていた。

 私とライムスはご馳走様をして、市営プールを後にした。


#


 帰宅してすぐに、私のスマホがぴこん! と通知を受け取った。


 見てみると、伊賀さんからだったよ。



 ――――――――――――――――――――

 伊賀

 <よぉ嬢ちゃん! リボンちゃんにも連絡したんだが、明日にでも合格祝いしないか? せっかくなら早いうちがいいと思ってな。いろいろと調べてみたら良さげな店も見つけたし、どうだい?


 モナカ

 <明日ですね、分かりました。あとでお店の住所送ってください!


 伊賀

 <オッケー、分かったぜ! それと明日なんだが、俺もリボンちゃんもペットのモンスターを連れて行こうと思うんだ。というのもな、なんと俺たち、初めてのテイムに成功したんだよ! やっぱり魔物使いになった効果が出てるのかもしれないな!


 モナカ

 <テイムに成功したんですか!? おめでとうございます! そういうことなら、私もペットのモンスター連れていきますね! 皆さんに会えるのを楽しみに待っています!


 伊賀

 <おうよっ! 俺も楽しみにしているぞっ!

 ――――――――――――――――――――



 連絡が終わったあと、私はライムスをじぃ~っと見つめた。


『ぴきゅう?』


 ライムスは頭上にクエスチョンマークを浮かべながら、私のことを見上げていた。


「そういえば、まだテイムを試してなかったよね」


 テイム――それは、モンスターとの絆を深めるために必須とされているよ。


 モンスターに向けて手をかざして「テイム!」と詠唱する。


 そうすることで、モンスターをテイムできる。

 

 テイムの成功率は魔物使いとモンスターとの力量差に依存すると言われていて、つまり、魔物使いが強ければ強いほどテイムは成功しやすくなるっていうことだね。


「ライムス、ちょっとそこを動かないでおいてね?」

『きゅい?』


 私はライムスに向けて手を翳すと。


「テイムっ!」

『きゅっ、きゅいぃ??』


 私が詠唱すると、ライムスの全身がほわぁ~~と青白く光り輝いた。


 ぽわぁぁあああ……。


 そして青白い光は少しずつ強くなっていき――。


『ぴっ! ぴきゅぅ、ぴきゅいぃっ!!』

「わわっ、ライムス? どうしちゃったの!?」

『ぴきーーっ!!』


 するといきなり、ライムスが大騒ぎを始めたよ。

 なんだろう?

 

 一生懸命にぽよんぽよんと飛び跳ねているのは可愛いけれど……。


 もしかして痛かったのかな?

 テイムのときにモンスターに痛みが出るなんてことは聞いたことがないけれど。


 それとも青白い光が嫌なのかな?

 確かにちょっと眩しいもんね。

 

 そんなふうに考えていると、ライムスが嬉しそうな声で鳴いてきたよ。


『ぷゆーっ!』

「ん、抱っこしてほしいの?」

『ぷゆゆいっ!!』

「うん、分かったよ」


 要望に応えて腕を広げてあげると、嬉しそうにライムスが飛び込んできた。


 そしてその時になって私は気付いた。


「アレ、これって……?」


 ライムスの背中に、見覚えのある紋様が刻まれている。


 小さくて注視しなきゃ分かりにくいけど……うん、間違いないね。これはテイム紋だよ!


 つまりテイムが成功したってことだね!


「やった……。やったよライムス! テイムが成功してるよっ!」

『ぷゆゆーーっ!!』

「そっか。ライムスは紋様を見て欲しかったんだね? ふふっ、やったねえライムス。これで私たちもっともーっと仲良くなれるんだよ?」

『ぴきゅぅっ!』


 私はライムスを優しく抱きしめた。

 ぷるぷるで、ひやっとしてて、丸くてカワイイライムス。


 私の大事な大事な家族。


「ライムス、これからもよろしくね!」


 私の言葉に、ライムスは元気いっぱいの返事をくれた。

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