第7話 ヨト族(または失われた巨人)
ヨト族は1860年代、ロシア西部のウラル山脈で見つかった少数部族。
発見当時、ヨト族は既に二人になっており、内一人は発見後ほどなくして死亡している。
ヨト族は身長3メートルを超える種族。
彼らは自分たちの種族の名前を持たなかったため、北欧神話のヨトゥン(霜の巨人)から名前を拝借してヨト族と命名された。
最後の一人は外見から40歳程度と推測されたが、本人とのやりとりによってまだ22歳であったことが判明している。仮の名前として「ダニイル」と名付けられ、以降その名前が採用されている。
母親とみられる女性も4メートル程度と推測されており、こちらも年齢は60~70歳とみられていたが、やりとりでわかった内容からすると享年37歳であった。
これらの老化したような外見は、彼らの過酷な生活環境からなのか、それとも元々老けやすい種族であるのかはわかっていない。ダニイルは痩身であったものの、3メートルを越す巨体を維持するためか体格や肩幅などはがっしりとしており、人間というよりも類人猿などに近い骨格をしていたと思われる。また、やりとりによって彼らの種族は衰退するにつれて低身長化しており、ダニイルはいちばん小さくなったと言われている。
実際、残っている資料によると彼らの住処となっていた場所はかなり天井が広い洞窟で、少なくとも5メートルほどの身長があったと思われる。
衰退した理由はダニイルからは聞き取りできなかったものの、おそらくはその巨体を維持するための栄養不足ではないかと言われている。また、元来の寿命も40年か50年程度であり、ダニイルの母もそれほど短命というわけではなさそうだった。
なお三度目の調査を待たず、ダニイルの母は死亡しており、近くに埋葬されていたことから埋葬の文化があったことも発覚した。
これらの事実にはほぼ推測などが入るが、それというのも、ダニイルたちヨト族の資料がほとんど残されていないことにある。実際、当時のロシア政府はヨト族の保護・研究を名目として何度も調査隊を派遣している。五度目の調査を終えたのち、埋葬されたダニイルの母の体を掘り起こし、ダニイルとともに研究機関に送ろうとした。しかしその途中で調査隊はなんらかの事情により遭難。巨大な雪崩に巻き込まれたとも考えられているが、そのときにダニイルの母の遺体およびダニイル本人ともはぐれたか、紛失したかしたようである。
現在でもこの調査隊および最後のヨト族であるダニイルの死体さえ見つかっておらず、ヨト族は「失われた巨人」と言われている。
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