第16話
上級ダンジョンで流陣、由奈、瑠色に修行をさせてから1日、今日は快晴の月曜日。
天気が良いからおれの気分もとてもよい。
サンサンときらめく太陽の下でスキップをしながら高校への道を進んでいた。
「天気がいっいな~~。」
ふんふんふふ~ん。
なんか忘れてる気がしなくもなくもなくもないけど。
授業はともかくあのクラスの空気はとても穏やかな気持ちにさせてくれる。だから学校は割りと楽しみでほとんど休まずに涼太は登校をしていた。
「おっと~!あれは流陣くんではないか~?
お~い!流陣~!おっはよ~!」
もうすぐで学校が見えるという場所まで来ていた涼太は同じように学校へ登校していた流陣に声をかけた。
「あ゛ーー?涼太か…。おはよ。」
およよ~?なんか元気がないなぁ?
流陣は少し猫背になっており声もあまり覇気がないものだった。
「どうした流陣?具合悪いのか?」
「いや…、そういうわけじゃないんだが…、たぶん昨日のが影響してるかは知らんが朝痛みで目覚めて、なんか調子もわるいんだよ。おまえなんか知らない?」
あ~~。
はいはいはい、なるほど。道理で今日来る時間が早かったわけだ。いつもの来る時間帯じゃないもんなこいつ。
それにしても痛み?具合がわるくなる?そんなの俺がやったときはなんとも……いや待てよ。そういえばあのバカにやったときは翌日すっげぇ調子悪そうだったな。
ふむ。
知らない振りをしておくか。
「知らないなぁ。」
「そうか?だったらなんなんだよこれ…。
朝からテンション下がるぜ。」
こいつには悪いが原因は知らないままでいてもらおう。別に知らなくてもデメリットはないし。
「ていうか涼太、今日学校来ても大丈夫だったのか?結構まずそうだけど。」
「??なに言ってんの?」
「えっ……おまえまさか忘れたのか?」
???
なんの話だ?
こいつたまにこういうところあるからな。
親友として優しく、温かく見守ってやらないとな。
「うん。知ってる。知ってるよ流陣。だから安心して、君は一人じゃないよ。」
「もういいわ。知らんからな。」
暖かい目暖かい目
学校について教室にはいった俺たち2人(俺一人)クラスメイトに取り囲まれていた。
「神咲くん!あの放送事故の配信見たよ!すごいすごい!A級探索者なんてすごいよ!」
「神咲おまえぇ!七瀬さんを助けるなんてうらやましいシチュエーションをぉ!!助けてくれてありがとう!!!!!」
「神咲くん!君はわが校の誇りだ!言ってくれれば良かったのに!」
「ハングリー様!あなた様はA級探索者だったのですね!ますます信者が増えてきてますよ!」
カオスだ。
クラス全員が俺の周りにいる。
カオスだ。
先生までもがここにいる。廊下の方には2年生の生徒も1年生の生徒も、挙げ句の果てには3年生の生徒もいてまるで渋谷のハロウィンのような光景であった。
床抜けない?そんなに同じような場所にいたら床が耐えられないような気がするんだが。
しょうがない。学校が壊れるのは俺としても忍びない。切り札を使おう。
「すいませ~ん!トイレにいかせてください!!大きい方!!」
……………………
あれ?
もしかしてミスった?
「俺はおまえの事を尊敬するよ。よくあんなに人がいるところであんなことを言えたな。」
とりあえず騒ぎは俺の一喝で治まり、その後は好奇の視線を向けられながらも昼休みまで来ることができていた。
「自分でもミスった自覚はある……。
は~~~~~~。俺の評価下がりまくる気がするんだけど。」
「そんなことはない。おまえは元々良い意味でも悪い意味でも有名だったからな。
あの発言ではそんなことにはならない。むしろおまえはなにも変わっていないのだと認識するだろ。」
そうかなぁ~。
だいぶ失敗した気がするけど。
自分で作ったお弁当を校舎裏で食べる俺と流陣。
いつもは教室でいっしょに食べているが、今日は視線が気になったのでこっちに来ていた。
「ふと気になったんだが…、お前ってたまにというかまぁまぁな頻度で学校休むことあったよな?それってなんか理由があるのか?」
おっと、それを聞いてくるか。
何度か近くで迷宮暴発とかが起きたりしてたからそれの救援に行ってたことだよな。
休んだ理由は……言わない方がいいか。
「いやなに、学校がたまにめんどくさくなってさぼってたんだよ。最悪学校やめても生きていけるし。」
「すっげぇ強者発言。でもA級探索者だもんなぁ。そりゃぁ稼げるよ。」
俺は若干の罪悪感を感じたが、あれを言うよりかはましかと思い感情を押し殺すのであった。
今日は用事があるからと流陣と由奈、瑠色と帰るのを断った俺。
意外とまじで大事な用事のためさぼるにさぼれないのである。
ていうかそもそもあれは俺のせいじゃないし。あれは偶然の事故だろ。
というかうまくごまかせた俺を誉めてほしいんだが。
そんなことを考えながら電車に揺られること20分。おれの通う高校と家は、東京都の方だと少し都会という場所であり、それなりに栄えている場所だった。
そんな地元からほど良い距離にある探索者協会本部、くっそでかいビル。
そんなビルに俺は堂々とした立ち振舞いでエントランスをくぐる。
警備員とは顔見知りのため用件もきかれずに挨拶をして素通り。
エレベーターに乗り込んだ俺は持ってきた駄菓子(一番大きい袋5袋分)の中のヤッ○ーメン
を開けて口に入れる。やはり駄菓子は神が作り出した逸品だ。何歳になっても飽きない。
駄菓子を味わっていると時間は早く経つもので、もう着いてしまった。
まぁ会議中に食えばいいか。
そしてエレベーターから出た俺は一直線に一番荘厳とした扉へと向かう。
その扉を開けた俺を待っていたのは、
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