第15話
「なぁやっぱり習得は別の日に…。」
「無理で~す。はいペタリ~。」
おれが流陣の体に振れた瞬間、
「ギャああああああぁ!!!」
流陣が叫んだ。あまりの絶叫に集中して『魔力静寂』を習得しようとしていた二人がこちらを見る。ダンジョン内の床で転がりまくる流陣。
あまりの悲惨な光景におれは、
「ぎゃっはははははははwww待ってww流陣痛いのはわかるが大袈裟すぎぃぃぃぃwwwはっははははははwww。」
片方は床であまりの痛みに転げ回り、もう片方がその様子を大爆笑しながら笑い転げ回る。
この光景を見た2人の女の子はあまりにもバカみたいな光景に転げ回る2人を冷めた目で見つめる。
後日、上級ダンジョン中層あたりで謎の叫び声と笑い声が聞こえ新種のモンスターかと狭い界隈で話題になるのだった。
10分後
「はぁはぁはぁはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……。」
「流陣おまえ漫才の才能あるよ。うんホントおもしろかった。久しぶりに大爆笑しちゃったよ。」
痛みが落ち着いた流陣は盛大なため息をつき、俺の方を睨んできた。
なんだよその目は。せっかく教えてやったのに教えられる立場というものがわかっていないなwww。まじでおもしろかった。
「こんなデメリットがあるなら先に言え。痛みが来た瞬間死んだと思ったぞ。」
「言うほどの痛みじゃねぇだろ。この程度の痛みで根をあげるならA級を越えることができないぞ~。」
いやまぁS級のやつもあれは人生の最後を覚悟したとか言っていたけど……。
……………気にしないようにするか。
「流陣くん、大の男の子があんなバカみたいな動きをするのはやめたほうがいいよ。あまりにもバカな光景に言葉を失ったから。」
「ほんとにそう。君イケメンなんだからあんな風なことしない方がいい。」
イラッ
もう一回してやろうかな。
「うるせぇなお前ら。あれを体験してから言ってくれ。まじで痛い。というかなんであんなことをしたんだよ。しっかりと説明しやがれ。」
「まぁ一応今の行為を説明するとだな、お前ら魔力量ってなんなのか知ってるか?」
「あぁ~~なんか本で読んだことあるなぁ。確かもともと魔力量っていうのは体外にある魔力をどれだけためることができ疲労しないかみたいなので人間の体で作るとかじゃないんだよね。」
「そのとおりだ。魔力としての格を上げたり下げたりするっていうのは体外から取り入れた魔力を体のなかで密度、強度を上げ下げしたりするっていうことなんだよ。つまりさっきのはその強度とかを上げ下げするための身体機能(魔力神経)を刺激して操れるようにするために、過剰な魔力や密度の高い魔力を流して鍛えるといったものだったんだ。魔力神経を無理やり広げるみたいなもんだからあんな痛みがあるんだよ。」
「…………ハングリーってさ、前から思っていたけど賢すぎない?いや、賢いっていうか全部の知識があるというか、もしかしてハングリーって魔力技術のほとんどを使えたりしない?」
……………やっぱり頭の回転がいいな。バカそうなのに。
「んなわけないだろ。おれがほとんど使えるなんてあるわけがない。
そういう寝言は寝てから言え。」
若干納得のいかなそうな顔をしたが一応気にしないようにしたようだ。
「んじゃ流陣はそんまま下層の方まで降りて戦ってこい。ほらいけ。」
流陣の背中を押すように(足裏で蹴って)下層の方まで行くよう命令する。
「おい待て。なんで下層な「いいからさっさと行け。」待ってって。ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
グズグズする流陣の首根っこをつかみ転移用魔方陣のところまで投げる。
「じゃぁ頑張ってなぁぁwww。」
「鬼すぎでしょ。」
「君はすこしひどいよ。」
なんか後ろで言っているが無視しよう。
「もう一度『魔力静寂』の魔力に合わせるからやってみろ。」
「おっかえり~~。」
家に帰ってきたおれたち(流陣以外)は3時間遅れて帰ってきた流陣を夜ご飯を食べながら迎える。
今は20時前。スマホで30分前にもう帰ってきても良いと伝えた流陣がやっと帰ってきた。
「おまえら……人を気遣う心というものがないのか。」
「つってもおまえほとんど疲労してないじゃん。成長した証拠だ。おまえみたいなタイプは荒療治が一番早く成長するんだよ。」
流陣はどこも怪我をした様子もなく平然と帰ってきていた。
どっかでシャワーでも浴びてきたんだろう。身綺麗でイケメンだ。ムカつく。
「とりあえず、……またカルボナーラか?」
「愛はカルボナーラしか作れないんだよ。だけど絶品だろ。」
「まぁ確かに美味しい。んでおれはおまえに聞きたいことがあるんだ。」
おれのとなりに座った流陣は質問を出す。
「なんか魔力量増えたようなきがするんだが。それだけじゃなく魔力の出力が確実に増えたぞ。」
「当たり前だ。おれが無理やり魔力神経を拡張したんだから強くなるのも当たり前だ。お前たぶんすでにA級探索者程度の実力はあるぞ。」
おれの発した言葉にカルボナーラを食べていた女子二人が驚いた顔をする。
「ねぇ涼太くん!わたしもしてよそれ!」
「私も私も!!」
「待て待て待て。お前らは『魔力静寂』とか一通りの技術を覚えた後だ。今回あの荒療治を行ったのは流陣は化け物の素質があったからで、本来はもっとゆっくりとしたペースで進めないと行けないんだ。だからお前らがするのはまだ先になる。」
おれの言葉を聞き二人揃って頬を大きく膨らませる。
ぶーーぶーー
いやかわいすぎな。
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