第11話
ピンポ~ン
上級ダンジョンで美少女を助け、バーベキューをした日から1日が経ち、今は午前10時前。
今日は日曜日だが、修行をつけてくれと頼んだ3人が来るのですでに準備を終わらせてソファで涼太と愛は寛いでいた。
「来たみたいだな。ちょっと出てくる。」
「お茶の準備しとくね~。」
時間きっかりだな。そら七瀬と流陣がいるし遅刻はしないよな。
「へ~い。」
おれは誰が来たか確認しなくてもわかるのでそのままドアを開けた。
「おはよ~。涼太くん。」
「涼太おはよ。」
「おっは~。」
うわぁお。
似合いすぎだろ。
3人は全員ダンジョンで探索する時に着る服装で来ていたのだが、涼太は何気に初めて3人揃ってこのような服を着ているのを見たのである。昨日七瀬はダンジョン用の服を着ていたが、いろいろあったせいで目で捉えて脳で認識することができなかったのである。
「顔整ってるやつ見るとみんな嫉妬するよね。」
おはよ~。みんな~。
「「「えっ。」」」
「やべ、心の声が。」
「「「…………………………。」」」
何か言いたそうな顔だなぁ。
「まぁとりあえず入ってよ。」
「じゃ、じゃあお邪魔しま~す。」
「邪魔すんなら帰って~。」
「ひどいよぉ。」
「すまんすまんww。一度言ってみたかったんだよ。」
「とりあえず邪、入らせてもらうぞ。」
「お邪魔しま~す。」
「邪魔すんなら帰って~。」
「ひどいよぉ。」
「瑠色、真似しないでよ。」
今日も仲がいいなぁ。
玄関に入った七瀬たちはきちんと靴をそろえてリビングへと向かってきた。えらいなぁ。
「荷物はソファにでも置いて、授業は……
リビングでするか。」
「お兄ちゃ~ん。わたしはお昼ごはん作っておくよ。」
「おっけ~お願~い。」
「愛ちゃんわざわざごめんね。」
「大丈夫だよ由奈さん!それにお兄ちゃんの授業に耳を傾けながらお昼ごはんの用意しておくから。」
「!!おまえダンジョンに挑戦したいのか?」
「いやそういうわけじゃないよ。お兄ちゃんの授業ちょっと楽しみだし。」
「そ、そうか。ならすこし大きな声で話すよ。」
「?ハングリーどうしたの?」
「別になにもないよ。」
あぶねぇ。こいつらがいる前でさすがにあの話もするわけにはいかんし、心配もさせたくないしな。涼太は若干の冷や汗をかきながらも、他の4人に悟らせることなくポーカーフェイスを貫き通した。
「んじゃぁ席につけ。授業を始めよう。」
「お前ってほんと形から入るタイプだよな。」
「さて、まずは何から話し始めたらいいかな?」
「決まってないなら質問がある。」
「どうした渡辺。」
「ちょっと、涼太くん名前。」
「あーはいはい。コホン、それでどうしたんだ瑠色?」
「えっとね、配信見てて思ったんだけどあのミノタウロス?の大斧による攻撃ってどうやって防いだの?」
「そういえば素手でこいつ大斧を受け止めてたな。確かに気になるな。」
「いい質問だが、あれはお前らにはできないぞ。」
「えっなんでよハングリー!不公平だよ!!」
「そう言われてもなぁ。ならあの攻撃の構造を解説してやるよ。まず七瀬「こほん!!」由奈。お前攻撃されるとき大斧が降りてきておれが防いだときのこと覚えてるか?」
「ごめんなさい。あの時目をつむっていたからわからなくて。」
「それなら目を開けたときに大斧がおれの手で防がれていたことに対して違和感が何かなかったか?」
「え、えっとぉ、そ、そういえば涼太くんが受け止めたときなんかすっごい違和感があったんだよ。」
「配信の方じゃ少しわかりにくかったな。どんな違和感だったんだ?」
「う~んなんというか最初から動いていなかったというか、元々斧が置いてあったというか。」
「何言ってんのお前。」
「いや流陣、由奈のその言い方はある意味正解にかなり近い。」
「こんなわけのわからない言い回しがか!?」
「あぁ。さっき言ったようにあの受け止める技はお前たちにはできない。
その理由は単純明快。あれは魔力技術だけではなく、おれしかないとある力をブレンドしたんだ。何かわかるか?」
「おれしかないとある力?……!!まさか、固有異能!!」
「正解だ。おれは固有異能力をもっているんだ。」
「ハングリー固有異能持ってたの!?」
「おいちょっと待て。固有異能ってあれか。S級探索者しか持っていないっていう。」
「それは違うよ。固有異能はS級探索者だけの特権じゃない。それはなぜか知らんが色んなデマが合わさってそんな噂になっただけのただのハリボテの情報だ。」
こいつらが勘違いするのも仕方ないか。そもそもS級探索者で配信してるのはよりにもよってあいつだけだし、A級探索者の配信を見てみたがそいつらも勘違いをしていたことからとても広い範囲で広まっているようだな。なぜこの程度の情報が出回るのかが本当に理解できん。
「そ、それで、涼太くんはいったいどんな固有異能をもってるの?」
「おれの固有異能は
『調和による運動エネルギーの支配』と呼んでいるものだ。」
「か、かっけぇ。なんかかっけぇ。」
「確かに名前はすごくかっこいい。だけどその名前からして能力の内容は大体予想がつく。だけどそれっておかしくない?」
「相変わらずバカそうなのに頭の回転が早いな。その通りだ。たしかにこの固有異能だけではミノタウロスの攻撃をあのような形で受け止めることができない。なぜだかわかるか?」
「涼太くんの固有異能って運動エネルギーを操って、つまり相手からの攻撃をゼロにしたり逆に自分の攻撃をはね上げさせたりとかできるんだよね。そうだとしたら確かに矛盾が発生してくるね。」
「あそっか。確かにおかしいわ。その場合ミノタウロス?の運動エネルギーをゼロにして衝撃をゼロにしたとしても、あの特殊個体のミノタウロス?は魔力で身体能力を上げてるから普通は破裂とか体が爆発したりして涼太や由奈が巻き込まれていないとおかしいもんな。」
ニヤァ。
「完璧だ。お前ら。」
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