第10話
それは空も暗くなりセミがミンミンと耳がいたくなるような声をあげていた夜。その時間は19時だった。
いまはちょうどバーベキューが中盤に差し掛かり、お肉をじゃんじゃん焼いていながら彼ら彼女らは雑談に花を咲かせていた。
「へぇ。おれが配信を無理やり切った後にそんなことがあったんだなぁ。知らんかった。」
「ほんとに色んなコメントが来てたんだよ。
最初は急に配信が切れたからまたモンスターに襲われたのかって話になってさぁ。でも配信を見返してみたら涼太くんが配信を切るためにドローンの方に手を伸ばすところが写っていて、その後はほんとに大炎上。やれあの頭のおかしいやつはなんなんだとか、涼太くんを理解してくれるコメントがクラスメイトからしかなくて。」
「大迷惑すぎるだろ。」
「ちょっとは自重しなよ。ハングリー。」
「わたしもまた由奈が襲われたかのかって心配になったんですからね。」
「お兄ちゃんそこら辺の配慮が欠如しているからね。人間性の大事な部分をどこかに置いてきてしまったんだよ。」
そんなに言われないといけないことかなぁ?
その程度で怒るなんて短気な人が多い世の中になっちゃったなぁ。
「潰すよ?」
「なんで!?」
「いま短気って考えたでしょ。」
「…………………………………………。」
「ほんと、いま説教してるんだからね?そこんとこ理解してんの?」
「…………はい。」
なんで心を読まれたんだろう。
「そういや涼太はいつからA級探索者になったんだ?」
「俺はね…………高二に上がった頃だよ。」
実際はもっと前だけど。
探索者には14歳、つまり中学二年生に進級することで探索者のライセンスを発行してもらうことができる。さて、涼太はいつA級になったのだろうか?
「すっご。ハングリーって改めて認識するととんでもないね。なんかこう、前までは珍獣みたいなものだと思っていたけど今回の一件で認識がガランと変わったよ。」
「それは喜んでいいのか?おれは珍獣扱いをされていたことに対して怒ればいいのか、どっちなんだ?」
「まぁ、それはいいとして、どうやって涼太くんはそんなに強くなることができたの?」
「なかなか難しい質問だな。そうだなぁ、
色んな命の危機に瀕したこともそうだけど一番の要因はやっぱり技術の差かな。」
「どゆこと?」
「おれの実力はA級のなかでも最上位に近くてな(大嘘)、魔力による様々な技術を会得することで上級ダンジョンの深層を攻略することができるんだよ。」
おれの場合はそれに固有異能をブレンドすることでさらなる高みに至ることができたがな。
「その技術ってどうやって会得するの?」
瑠色が聞いてきた。
「おれだと知り合いが使える技術を一通り見せてもらってそれを覚えたり、新しく自分で作ったりして魔力技術を磨いてきたんだよ。」
「A級は見て覚えるの?化け物じゃん。」
「いやそれはちがう。おれは物覚えがとても早くてな。教えてくれた人にも覚えるのがとても早いと言ってもらえたんだよ。普通の人は魔力技術をよく知っている人に長い間師事して技術を磨いていくんだよ。」
「「「ふ~~~~~ん」」」
なんか3人で目を合わせてるんだけど。なんか怖いな。
あっ、こそこそ話をしだしたぞ。話を聞いてもいいけどそういうのは失礼だからな。聞かないでおこう。
話が終わったらしい3人がこちらを向いた。
「どうした?3人同時に振り向くってなんか怖いんだけど。」
「いやぁ、いま涼太くんに内緒でお話をしたんだけど、ちょっとお願いがあると言いますかぁ。」
「ゴマすりすり。おれからもお願いがありまして。」
「ハングリー、美味しいパンあげるからお願いがある。」
「……………なんだよ。」
スーーーーーーー
「「「ということでお願いします。修行をつけてもらえませんか?」」」
そうして話しは戻り涼太に修行をつけてもらいたい3人と涼太による話し合いが行われるのだった。なおこの間、愛と由利亜さんはバーベキューの後片付けをしているのである。
「なんでおれなんだよ。べつにおれじゃなくてもいいじゃん。」
「だって元々仲だって良かったし。知り合いのほうが気まずくないでしょ。」
「「そうだそうだ~~。」」
「だというが、おれは自分でいうのもなんだが、教えるのが上手じゃない自信がある。こんなおれでお前たちに教えれるわけがないだろう。」
「大丈夫だ。おれたちはおまえのことをしっかりと理解してやれる。安心して弟子にしてくれ。」
「「そうだそうだ~~。」」
「………………しかし、、」
「なんでもいいから弟子にしてよ~ハングリ~。」
「「そうだそうだ~~。」」
こいつらが発言するたびにイライラが増してくる。
でも今回の件もあるし、由利亜さんもむちゃくちゃ心配したんだろうな。
「………………よし!人はだ脱いでやるよ。」
「「「別に脱がなくてもいい。」」」
ぷちん
まぁなんやかんやあったが結局こいつら3人を弟子にするってことになった。
「じゃあ明日の午前10時にまたおれの家に来いよ。」
「なんで涼太くん家?」
「まずは授業という形のほうが理解しやすいかなと思ってな。」
「何気に面倒見がいいのうざいんだが。」
「うるっせ。とりあえず明日の午後もしかしたらダンジョンに行くかもしれないから武器とかしっかりと持ってくること。あと動きやすい服装で。」
「それくらいわかってるよハングリー。」
「おまえいい加減ハングリーって呼ぶのやめてくんない?むずがゆいんだが。」
「死ぬまでハングリーだよ。よかったね~、かわいい女の子にあだ名で呼んでもらえるなんて。」
「んじゃまた明日。おつかれさま。」
「ねぇ無視しないで?」
「また明日ねぇ~、涼太くん!」
「また明日涼太。」
「本当にありがとうございました。では失礼します。」
そうして4人は玄関から出ていった。
「おれらも寝るか。」
「一緒に寝ようね!お兄ちゃん!」
……………………………まじかぁ。
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