第34話 作戦開始は狼煙とともに

 赤の革命軍の二人との顔合わせをして一週間。


その間、俺は先輩と組手をしながら、魔力、魔術、存在偽造カバー・イグジステンス・ストーリーのストックを増やしていった。


そして約束の日


再び電波はジャックされ


「宣言通り、我々はこれより首都へ侵攻する。」


愛羅さんの横には藍華が控えており、


後ろには画面に収まりきらない隊列があった。


その中には見知った顔。


初任務の時に軍部で出会った隊員たちもいた。


「これに正義はない。


正義を語るつもりはない。


ただ、この国の癌を取り除く。」


そういった次の瞬間。


バン。隊列の上空で爆発が起きた。


おそらく政府による攻撃だろう。


しかし、前回エプロンを着てカレーを振舞てくれたマッチョメンが腕を横に薙ぎ爆発をかき消した。


「総員、出撃!!」


「「「「うおおおおおおお!!!!」」」」


その号令を合図に政府対革命軍の戦いが始まった。



治安維持隊は全員招集されていた。


白夜さんが口を開き、


「憶人、朱兎、お前たち二人は最前線に立ち、巻き込まれた一般人の救援。」


「「了解。」」


「魔夜、君は空からの偵察。


電波妨害も予想されるから伝達魔術を常時展開。


緊急時はフォローに入ってくれ。」


「わかったわ 。」


「鏡子、お前にはこの基地で留守番を頼む。


もしかしたら、政府の奴らが攻め込んでくるかもしれないから気を抜くなよ。」


「おじい様、任せておいてください。


この家で私に勝てる人なんてそうそういないから。」


各自に指示を飛ばす。


「うむ、皆頼りにしているぞ。」


ここ最近、ずっと難しい顔をしていた白夜さんの表情に少し余裕が戻る。


「治安維持隊、作戦開始。


民間人を誰一人死なせるな。


そして、誰一人死ぬな。いいな!」


「「「「了解」」」」


こうして治安維持隊の戦いは始まった。



「先輩、俺らはどうしましょうか?」


最後の会議を終え朱兎先輩に話しかける。


「そりゃ、衝突してるところに向かうだけだが。」


そりゃあ一番過激なのは最前線だが


「万が一、政府が治安維持隊と革命軍が協力関係にあると勘付き、


この町を襲撃したらどうするんですか。


この前の件もあったでしょう。」


どっちか一人は残っていた方がいいのではないか。


そういう意図を含んだ質問だったが、


「安心しろ。首都とこの町はすぐ隣だ。


魔夜さんが上空で見張ってくれている。


それに憶人はじっちゃんの能力を知ってるだろ?


いざというときはじっちゃんに前線を任せてオレが飛んでってやるよ。」


だから、何も問題ないとでも言いたげな朱兎先輩。


「わかりました。それじゃ早速現場に向かいましょうか。」


そうして、俺と先輩は急行する。戦争のど真ん中へ。

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