第33話 決戦前の会談

「治安維持隊はこちらでよろしいでしょうか?」


ついに来てしまった革命軍のリーダー。


「あぁ、私が隊長の北上 白夜だ。」


「私は紅 愛羅と申します。藍華は無事ですか?」


まだ、藍華という少年は目を覚まさない。


「あの~、お・・・僕がその藍華さんと戦った憶人ですが。」


そう言うと、愛羅さんは俺に近づいてきて


「本当にそっくりね。あなたもしかして藍華のお兄さん?」


もしかしたらそうなのかもしれないが


「僕は能力開花事変の時の孤児なので生みの親も知りません。


僕の家族は僕を拾ってくれた、魔夜だけです。」


そう言い切る。


「おくとー、大好きー。」


いつの間にか降りてきてたようでむぎゅうーと俺に抱き着いてきた魔夜。


「あら、この女の子は誰かしら?」


「魔夜本人ですがなにか?(#^ω^)」


「えええ!!」



「落ち着きましたか?」


あの後、鏡子さんが注いで来てくれたお茶を飲み一息つく愛羅さん。


藍華も起きてきて。


「愛羅さん、すいませんお手数おかけして。」


「まったくよ。」


そこから説教が開始しどんどんと肩身が狭く、


猫背になっていく藍華。


戦闘中はあんなにも強かったのが嘘のようで、


見ていてかわいそうというのと


話を本題に戻してさっさと帰ってもらおうという打算から


「とりあえず、本題に入りませんか?


宣戦布告して準備に忙しいのに、わざわざこうやって残ってるんですから


当然話があってのことですよね?」


そう話を切り込む。


「そうね、私たちも忙しいから手短にお話しさせてもら愛ましょうかね。」


そうして、彼女らの目的と動機を聞いた。


政府、というより政府の暗部の人物を抹殺することが目的。


藍華ともう一人いるそうだが、愛羅さんのお兄さんが拾ってきたところ、


それが政府の人体実験の産物でそれを知ってしまったが故に殺されてしまった。


革命は二の次で、復讐したいだけ、


個人の感情に一般人を巻き込みたくなかったから宣戦布告をしたという。


その表情からは危うさを感じるほどの殺意が読み取れた。


そうして二人は帰った。


その背中を見送る白夜さんはとても悲しそうで、


「白夜さんはあの二人と何かご関係が?」


「あいつらの兄は一時期面倒を見ていたことがあるんだ。」


そう言う白夜さんの瞳はどこかここじゃないどこかを見つめていた。

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