第25話 転異夢縫

オレの能力_大舞踏壊ブレーキングダウンダンスホールはどんなものでも踏み抜く。


だけどこれは、単に破壊してるわけじゃない。


物質を原子に原子レベルまで分解おひらきしているわけだ。


そして、その結合エネルギーはどこに行く?


消えてなくなるわけじゃない。


オレに還元される。


純粋なエネルギーとして。


そしてこれは強化術とは別だ。


「「バゴッ!!」」


オレの地面を踏み抜いてじっちゃんとの距離、


およそ100mを一瞬にして詰め。


「はあっ!!」


勢いそのままに前蹴りを放つ。


もちろん能力を込めて。


じっちゃんは木刀でしっかりと防いだ。


当たり前だ。英雄だからな。


「う~む。どうしたものかのー。」


武器が破壊され、悩むじっちゃん。


「よし、ワシも能力を使おう。強化術は使わんからとんとんじゃな。」


キランっ…じゃねえよ!!


見た目はともかくじっちゃんは若くねえかんな。


ただ、オレはじっちゃんが能力を使ってるところを見たことがない。


まずいな。初見殺しなものだと勝ち目がない。


オレの能力は機動力と破壊力が高いだけで生存能力はオレ自身の技量で決まる。


「いいぜ、来いよじっちゃん。」


まずは様子見だ。


当たりに散乱する瓦礫に能力を使用。


じっちゃんに向けて放つ。


さあ、どう対処する。


瞳を閉じ深呼吸。


木刀は柄しかないのに居合の構えをとるじっちゃん。


「ふん!!」


そのまま振り抜かれる腕。


刃はない。だというのに危機感。


とりあえず空中に。


そう飛び上がった次の瞬間。


薄い刃が下をすり抜けていって柱を通過する。


ピシッと音がした。


じっちゃんの方を見る。瓦礫は粉々になっていた。


それよりも気になるのが


「まだ目をあけないのか?」


まさか、音だけで位置を特定しているのか!?


なら、音速を越えればいい。


柱の隙間を縫うように飛び回り背後に回る。


そうして、柱一本に能力を使用。


質量に裏打ちされたエネルギーが流れ込んでくる。


いける。柱を全力で踏み抜いて


「くーらえーーー!!」


あと少し、あと少し


「「バゴン。」」


爆発で視界はふさがれ、あたりに轟音が鳴り響く。




確かに当たった。手ごたえもあった。


否、ありすぎた。硬い。まるで効いた気がしない。


「あれを喰らって無事って…じっちゃん、人間かよ。」


じっちゃんどころか服にも一切のダメージが見られない。


「軽減したうえでこれ程の破壊力。


やはり朱兎、お前は強い。」


じっちゃんは無傷の癖にそう言う。


「なら多少、苦しそうに言えよ。説得力ないぜ。」


「それも仕方あるまい。ワシの能力は転異夢縫バット・ノンフィクション


効果は■■の生成と×××××の変換、供給。


お前のと似てるとは思わんか?」


「ははっ。」


乾いた笑いしか出てこない。


「何が、能力はワシと同等だよ。」


「なんだ、怖気づいたか。


それでも敵は待っちゃくれない。」


何ビビってんだよ、オレの脚。


ガクついてるんじゃねえ。


「構えろ!朱兎!!」


チッ。やってやんよ。


負けっぱなしオレじゃねえ。覚悟しろ。


「じっちゃん、オレはあんたを越えるぜ。


その度肝、踏み抜いてやるぜ。」


地面を踏み抜いて、じっちゃんに迫る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る