第24話 ポップ・ステップ・バンプ

結局、憶人はその日目を覚ますことはなかった。


心配で魔夜さんに訊いてみたが


「回復魔法、再生魔法、保護魔法。


かけれるものはすべてかけてるわ。


命に別状はないはずよ。


・・・はずよね。」


落ち込んでるしアワアワしてるしで、


頼りになりそうにない。


「じっちゃんに訊いてみるか。」


じっちゃんの書斎兼隊長室へ向かう



「能力が進化しようとして体がそれに備えてるだけじゃろう。」


じっちゃんの返答は驚きのものだった。


「能力って進化するの!!」


ってことは


「気づいたようじゃの。


そう、能力が進化して体はそれに耐えるように最適な状態に固定される。


ワシが若い理由じゃ。」


ってことはつまり、憶人はこれ以上身長が伸びない。


そしてオレはあいつよりも高身長に。


「ふっふっふっ。」


思わず笑みがこぼれる。


それに気づいたじっちゃん


「そうかそうか、朱兎もまだ強くなれるのが嬉しいのか。」


違うんだ、じっちゃん。


「任せておけ、お前の能力はワシが鍛えてやる。」


やめてくれ、いや、少しでいいから待ってくれ。


「そうと決まれば今日からは今までよりもまごころこめて鍛えよう。」


こもるのは拳にだろ。


「お前がワシを最強の男にしてやろう。


早速行くぞ、朱兎。」


さよなら、オレの身長。オレがんばるよ死なないように。



「着いたぞ。」


ただ「行くぞ」とだけ言うから秘密の訓練場が!?


と思ったら着いた先は軍部だった。


まぁ、訓練なら落ち着いてやれる環境の方が適している。。


それにここは地下深く、音漏れも気にしなくていい。


「じっちゃん、鍛錬の内容は?」


「今日から朱兎、能力の発動を解禁する。


その条件なら朱兎はワシに勝てるじゃろ?」


確かに今までは純粋な身体能力とリソースの量、強化術がモノをいう


じっちゃんが得意なステゴロだった。


「いいのか、じっちゃん。じっちゃんも言ってただろ。


『単純な能力の性能ならワシと同等じゃ』って言ってたじゃないか。」


「だから一つ条件を課す。強化術は使うな。


純粋な能力だけで勝負しろ。」


っは!?オレの能力は触れたものにしか作用しない。


強化術を使ってないとそもそも触れれないじゃないか。


それにじっちゃんは木刀を手に持っている。本気だ。


下手すると死ぬかもしれない。


「じっちゃん、手加減してくれよ。」


「断る。」


そう聞こえたと同時にオレは吹き飛ばされていた。


反射だったが両腕を交差して攻撃を防いでいた。


腕がいってえ。


じっちゃんの踏み込みで割れた地面。


両腕に横一線に残る痣。


って悠長に考えている暇はない。


もうすぐ柱に衝突するだろう。


っと目の前にある。


殴られて上体がのけぞる勢いそのままに足を柱に向ける。


大舞踏壊ブレーキングダウンダンスホール


何本も柱を踏み抜いて、やっと停止する。


「じっちゃん、これどうするよ。」


「魔夜にでも頼もう。これぐらいすぐだろう。」


「違いねえ。」


Shall we Dance?

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