第21話 バグからチートへ

仮人ヒトデナシ・・


ギリギリの発動だった。危なかったな。


「ん??」


今まではこんなことなかったぞ。


「なんで俺が目の前にいるんだ?」


それにまだ体が裂けていない。


そして、俺の体は透けている。



俺の能力_仮人迫命ヒトデナシバグというのを現実にする。


安っぽい言い方をするなら現実改変。


だけど、実際はかなり使い勝手が悪い。


悪かったんだ。


現実にできるのはせいぜい5秒前からできる動作。


瞬間移動の代わりに使うにしても5秒で移動できる範囲まで。


しかも、能力を発動した次の瞬間には俺はことになる。


イメージとしては平行世界ならぬ平行自己があって


レールの上を転がっている感じだ。


俺の能力はその上の玉_俺自身を弾き飛ばして別のレールに乗せる。


実体があるというのはレールの上にあるということだ。


ただ、俺が干渉できるのは自分だけだ。


相手を攻撃していたことにはできないのだ。


出来なかったのだ、今までは。


だが、今はどうだ?


俺は今、実体を持つ前の俺に入っている。


もしも、今再び能力を使用して、実体化を早めたらどうなる?


仮人迫命ヒトデナシバグ


目の前の俺は消え、俺は実体を持った。



今の一連の流れで理解した。


今まで俺は時間軸的に平行な自分にしか飛べなかった。


だが、覚醒といってもいいだろう。


これからは、時間が多少ズレている自分にまで飛べる。


今はまだ、能力発動した1秒前までだが十分だ。


これでやっと戦える。



実体を持った俺は鏡子さんとの距離を詰めた。


鏡子さんは上段に構えた木刀を振り下ろす。


その隙は大きい。


俺は拳を握りしめ渾身の一撃を鏡子さんの右わき腹めがけて放つ。


「ビシャッ」


鮮血が舞う。


その出所は


「なんで拳の方が重症なんだよ=!!」


俺の握り拳だった。


「いってー。」


肉が裂け骨が見えた。


気持ち悪かったので能力を使用しこの傷はなかったことにした。



俺の悲鳴が余程大きかったのか


「だいじょーぶー!!」


二階の窓から魔夜が飛んできた。(あれ、あの位置は俺の部屋では?)


「傷は。」


そういって魔夜が小さな手で俺の手を握り。


俺たちは淡い光に包まれた。


「あれ、もう痛くない。」


「えっへん。魔法使いですから。」


誇らしげに胸を突き出す魔夜。


「ありがと。」


「もう急に素直にならないでよ。」


トンと魔夜は押したつもりなんだろう。


悪気がないのもわかってる。


だって、ホントに一瞬で飛んできて俺の痛みを取ってくれたから。


音はドン、威力はt、俺はめり込むコンクリに。


身体強化魔法の解除し忘れには気を付けよう。


ぐふぉっ。意識が・・・。

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