第18話 魔力垂れ流し生活

魔眼。それは一種の特殊体質。


第一条件として圧倒的な魔力量。


具体的には全魔力をぶっ放せば町一つ吹き飛ばせてしまうぐらいの魔力量が要る。


ただ、いくら魔力量があろうが出力が肝心なのだ。


体力と瞬発力のようなものだ。


体力がいくらあろうと瞬発力がなければ戦闘ではただのサンドバッグだ。


そして、俺の魔力出力は


「憶人は魔力出力が少し弱いね。」


とのことだ。ただ、


「けどよかったね。魔力量はそう簡単には伸びないけど


魔力出力は死ぬ気で何度もやれば限界を伸ばせる。」


だったら、死ぬ気ではなく実際に死にながらならどうなるだろうか?


「ぶべら」


デコピンにしてはとんでもない威力のそれを受け脳が揺れる。


「今、死にながらならなんて考えたでしょ。


死ななくていいようにするために強くなるのに本末転倒でしょ。」


多分、下手したら今のデコピンで十分死ねるぞ。


「とにかく、少しずつでいいからさ。


まずは、常に魔力を垂れ流す。空っぽになるまで。


魔力が満タンになったら空っぽにするまでのタイムの短縮を目指す。」


というわけで、今日から常に魔力の放出を行いながら生活をおくることになった。


魔力にも筋肉痛みたいなもんがあった。


本当に死ぬ気でなんだなと実感した今日この頃だ。



魔力垂れ流し生活3日目。最初は空っぽにするのに三時間はかかっていたが


最近では30分で空っぽにできるようになり、さらに


「なぁ、魔力の回復速度が前よりも早くなってんだけどどうしてか知ってる?」


「あぁ、魔力回復速度はね、消費速度に追いつこうとするの。


だから、魔力は使えば使うだけいいんだよ。」


というらしい。つまり、単純に一日に使える魔力量が増えたということだ。


「そのまま続けて、空っぽにするのに一分、全快するのに一分まで短縮出来たら次の修行してあげる。」


なので、俺はしばらくはこのままだ、


「手持無沙汰だな~。」


「憶人君、丁度いいところに、お手合わせ願えますか?」


鏡子さんからの頼みとあれば断れないね。


いつも魔夜の魔の手から助けてもらっているし。


「良いですよ。僕も能力での立ち回りを鍛えないといけないと思っていたので。」


最近は戦闘という戦闘をまったくしていなかったから体がなまらないか心配だったのだ。


「では、憶人君が勝てたら今晩のおかずを一品増やしてあげましょう。」


「(おかずもバトルも)望むところだ。」


こうして鏡子さんとの能力訓練が始まる。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る