ギルドマスターの誤算

「メリルさん!依頼済ませて来ました!」

「ジョウさん!早かったですね!まだ明るいですよ?」

「やだなぁ、何時も何時も夕方じゃ無いですよ、まぁ今日は帰らないと森の奥へ行きそうでしたから、アハ♪」

「もう!駄目ですよ?ジョウさんはソロなんですから、何か有っても誰もいないんです、もっと用心して下さい、そうでないと┅┅」


「ハイ!気をつけます!何時もありがとうございます!メリルさんには気に掛けて貰って本当に嬉しいですよ、そう言うヒトが要るだけで幸せな気分になります、メリルさんは大切なヒトですから!」


「┅┅┅┅ジョウさん┅┅もぅ」

「なに口説いてんの?依頼の品はこれね?ハイハイ、ボ~としてるメリルは退いて、これも口座で良いのね?それとギルマスがお待ちよ、2階の部屋へ行ってね」

「ギルマス?ラディさん?それって?」

「前にも言ったでしょ?ギルマスはアナタに興味有るの、さぁ!行った行った!逃げない方が良いわよ、割りと根に持つタイプだからね、ウフフ♪」


なんか楽しそう?ラディさん?俺を生け贄に?そうなの?ヒャァ!


ジッ~と見て覚めた目で睨まれた、読まれた?

仕方なく肩を落とし階段を上がる、ドアの前に立つと中から怒鳴り声?

ボイスさんの声とこの怒鳴り声?まさか? コンコン┅┅


「入れ!」

「失礼します、F級のジョウですが?なにか┅┅ボイスさん?」

「アハハ、いやなんだ┅ヒデェ所を見られたな┅┅」

「バカヤロー!まだ話しは済んでねぇ!ちゃんと説明しろ、なんで解体しちまったんだ!オークションが近いのは知ってたよな?それを!」


ボイスさんは羽交い締めされ身動きを押さえられてた

ほどこうと足掻くボイスさん?

ギルマスさん?の脚がボイスさんの脚に絡んでこれはもう?


「あのぉ?お邪魔でしたら帰ります┅┅ハイ」

「待て!何を帰ろうとしてる!呼んだのは私だ!そこに座ってろ!」

「なぁ?別に良いじゃねぇか、てぇした獲物じゃ無いだろ?ワイバーンなんて領都のギルドじゃ普通だろうが?」

「ワイバーンじゃねえ!デビルアナコンダなんだよ!あんな珍しいもんを!」

「珍しいかも知れんがなぁ、そこのジョウにしたら普通らしいぞ、それにオークションにはもっと良いのが出せる、そうだろ?ジョウ?」

「それは本当か?」


2人して俺を見る?なんでだよ!


「何を言ってるのかな?ボイスさん?そんな事を言うならボイスさんが大好きなGを袋ごと用意しますよぉ?」

「バカヤロー!あれは駄目だ!ヤメロー!」

「ほぉ┅?ボイスはGが大好きなんだな?良いことを聞いた」

「このぉ!ジョウ!覚えてやがれ!チクショウ!」



リビラ町ギルドマスター

【カミエラ・ヨハンネス】ダーク

エルフ種 年齢 ?公38歳?

(本当は195歳) 元S級冒険者


オークションは領都で毎月1回行われ、地方のギルドから競う様に出品される、魔道具、魔物、奴隷等の高額だと思われる品が出され競りによって売買される祭り

王都からも欲しい品が有れば来るとか、かなり大規模で盛大に行われる


「ふぅ~ボイス!まぁ良い、そこに座れ、それで?お前がジョウだな?聞いた通りの娘だな?」


ニヤリと笑って品沙汰眼?頭の天辺から爪先迄ジックリ見られる

この感じ┅┅ヘビがカエルを狙うみたい?


「┅┅┅はぁ、ジョウです┅どう言ったご用件でしょうか?」

「プッ!アハハハ!ご用件と来たか!まぁ噂が飛び交ってるからな?私が最初に聞いたのは凄い綺麗な子が来た、女の子なのに背が高くて言葉使いがお貴族様みたいだと、何処かの子女なら気をつけないと駄目だからな

それから1日でF級に昇格してガーデンではサルの群とウィルボアを倒した、そうそう!町のドブを綺麗にして唯一のG級冒険者の仕事を奪ったとも聞いた、それと、なんだ、ガイスが売ってる小盾だ、あれを考えホーンラビット狩りを日常的に狩れる様にしたんだよな?

まぁ他にも色々と耳に届く、それでだ!私はまだ会った事も見た事も無いってのはどうなんだろうねぇ?仮にもギルマスなんだよ?」


「そりゃここで腐ってるからだろうが?」

「なんだって?」

「いや!なんでもねぇ┅┅」

「なあジョウとやら?お前さんどう言う訳かアマンダの宿に泊まってるらしいな?」

「ええ、アマンダさんやアミシラちゃんには良くして貰ってますが?」

「アマンダさんだと┅┅まぁ良い、偉く金持ちなんだな?その金は恥ずかしく無い金なんだろうな?」 ギクッ!

「何ですか?藪から棒に!ヒトを盗っ人みたいに言うのはどうなんですか?」

「だってそうじゃ無いか?フラッ~と来て冒険者登録したばかり、金を持ってるのは不思議なんだよ、平民なんだろ?それがおかしいってんだ、まぁ100歩譲って金は良い、だがコイツに卸した獲物はどうした?

狩ったと聞いた、ラディが言うにはステータスは普通だと、それはおかしいだろう?なんでオーガジェネラルやデビルアナコンダを倒せる?そのステータスは偽物じゃないのか?」


まぁ色々と聞きなさる、段々ムカムカしてきた、でも凄くエロくて目のやり場に困ってもいる┅┅

このダークエルフのオバサン、歳の割りにスタイル良くてナイスバディ!それに超薄着

オーバーリアクションでおっぱいが見え隠れして┅┅

ショートパンツ、それも超短パンって?

やっぱダークエルフって聞いてたのと同じで肌が真っ白、前世の記憶!世の異世界ファンタジー好きよ!ダークエルフは褐色じゃないぞ!それに耳が横に張り出して無いぞ!大問題はエルフはペチャじゃ無い!グラマーこの上無い!

はぁはぁ┅┅


「あのぉ?じゃあ俺はこの町には要らないって事ですね、ではサヨウナラ」

「はっ!なんと?マテマテ!マテェイ!お前はバカか!なんでそうなるんだ!」

「だって、悪者と勘繰ってるし疑がってるでしょ?冒険者になってやった事が全部悪いみたいに言われてるもん

じゃあ町を出たが良いかなって?国を出たが良いかな?そう思うのは普通でしょ?

ギルドマスターが不審だと言うんです、この国ではもう冒険者出来ないですしね?」


「┅┅┅┅┅┅┅┅┅はぁ?」

「おいジョウ?それは何かの冗談なんだろ?出て行くって┅」

「いえ、冗談なんかじゃ無いですよ、俺は貴族とか何か偉い役職ヒトとかにツベコベ言われるの嫌いなんです、だからなるべく関わらない様にしようと思ってました、もしも誰かそう言った奴が現れたらサッサといなくなると決めてましたから、面倒事は御免被ります、今回は其れなんですよ、ではサヨウナラ」


「だから待て!待てと言ってる、とにかく座って話をしよう」

「ギルマスさんは俺を疑ってる訳ですよね?それに逃げられないとも思ってる、何故だか自分の言う通りになるとも思ってらっしゃる、違いますか?」

「カミエラ!お前って奴は!謝れ!ジョウに謝れ!このバカモンがぁ!」

「フン!何をふざけた事を、そうだよ!疑ってる、出て行きたきゃ行けば良いさ、確かにこの国じゃ冒険者は無理だろうね、ギルドは繋がってる、偽証したのが知れたら剥奪に追放だからな、素直に本当のステータスを白状するってなら見逃す、どうだ?」


「どうだも何も、俺のステータスはまだD級程では無いですよ、まぁ毎日レベルアップはしてますけど」

「だから!なんであんな獲物が狩れる、なんで薬草をあんなに知ってる、なんで遠くの村から直ぐに戻れる、なんでばかりなんだよ!」

「まぁそれは分かりますよ、なんでか?でも話す義理も信頼も有りませんから、そりゃメリルさんやラディさんに聞かれたら話すかも知れません、信頼してますから、でも貴女とは今さっき会ったばかり、それに疑ってる、そんな相手に話せる訳がない、迂闊に話して貴族とかに目を付けられたなんて洒落にならないですから」


「そうか┅┅お前が貴族が嫌いなのはわかった、私も好きじゃ無い、しかし疑問を放って置くのも好きじゃないんだ、お前の正体が得体の知れない奴だとギルド的に問題なんだ」


「得体の知れない奴┅┅確かにそうですね┅┅そんな風に思われてるとは知らなかった┅┅」

「ジョウ?俺やガイスはそんなのこれっぽっちも思ってやしねぇ、メリル達もだ、お前は気の優しい良い奴だって冒険者達もよ~く知ってる、知らないのはこの馬鹿ギルマスぐれぇなんだ、だから町を出るなんて言うなよ、頼む!」


「得体の知れない┅┅┅そんなの┅┅駄目だよ┅┅俺は┅┅」


それからは覚えて無い、いつの間にか門の外を歩き意識が戻ったのは暗い夜だった、調子こいてたのは俺?

本来の目的を早く済ませフォーリアさんとの約束を果たすべきだったんだ┅┅

先生とか┅┅バカだよなぁ┅


俺は所詮、異世界人なんだよ、爺ぃだしなぁ┅若い子にチヤホヤされて┅鼻の下を伸ばしてた助平爺ぃ┅


ああ┅もうどうでも良いや┅┅

このまま消えるか?フフ┅┅




この日を境にリビラ町からジョウの姿が消えた

冒険者ギルドにはジョウの登録カードと口座金の全部を寄付すると言うメモがメリルのカウンターに置いて有った

商業ギルドにも同じ様にカレンのカウンターに置いて有った


蘭華亭には謝罪金として金貨100枚が部屋のテーブルに置かれ荷物が全て無くなっていた


アンナのオルエルト商会にも┅┅

石鹸やシャンプー等の作り方と材料、車軸や荷車の事は商会とガルムさんに任せる旨を書いた物が商会の小僧さんに渡されてた


こうしてリビラ町からジョウの痕跡が消えた、あの約束を果たせ無いままに┅┅

アーリアば待ってる、神の、女神からのお告げを守りジッと待つだけ┅┅


そしてジョウは大秘境にも戻っていない、さて?何処に消えたのか、宛は有ったのか?



簡単な事だ、ジョウは冒険者として生きると決めた

それは何も国や地域にこだわらない

好きに生きる事が重要、だから冒険者と名乗るのは勝手なのだ


【ヨハルドダンジョン】

43階層のセーフティエリアに1人の冒険者が風呂に浸かってる、その近くには温められてる鍋から良い匂いが立ち込め、焼いた分厚いステーキも皿に乗ってる


ジョウはあの日からこのダンジョンに籠り、無心で攻略していたのだった

冒険者達からソロの女の子が凄い勢いで層破してる?┅┅┅┅

そんな馬鹿な!ソロで?女の子が?なんて囁かれ始めてる


冒険者カードはコピーした物を使ってる、内容は適当に誤魔化し名前も変えてる

法律なんて有って無い世界、通ればそれは合法、1度入ればカードは必要無いのと同じ、ずっと籠り街へは出て来ないが冒険者達とすれ違ったりして所在は確認されていた





その名は!冒険者【オメダ】!





『なにがオメダですか!ダメオ?フン!しかし!キィイー!あのギルマス!メスブタ!主を虐め不届き千万! このラファ!成敗致します! ええ!やらいでか! しかし?こうもショックを受けるとは?まぁ其れなりに逆上ノボせてはいました おっぱいやらお尻やら┅しかし┅┅どう為さるのやら?アーリア嬢の事も気になりますが?フォーリア様には会われないと不味いのでは?私はもう暫く箝口令!何も喋りません!もう!┅┅┅┅┅怖くて無理ぃ!』






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