Scene 5
薄明りに照らされた部屋……。
《何故撃たないの? AI》
ベッドの上で眠っているパメラに銃口を向けたAIに対し、人形から再び共有意識に戻ったアケディアは問う。
《今なら苦痛を与えることなく彼女を殺せる。あなたはその引鉄を引くだけでいい》
「……」
《それとも情が移った、とでも言うの? 一度死んだ己を復活させるため、あたしとのリンクを成立させ……その代償に、ほとんどの感情を失ったはずのあなたが》
頭蓋の内に伝わる
「パメラは、本当に殺すべき存在なのかを考えている」
「無意味な思考よ。魔皇リヴァイアサンを倒す。それが今のあなたの存在意義であり絶対的制約。――そして完全に覚醒した魔皇は、この娘のように甘くはない」
――ここでパメラを殺さなければ、すべての人類が滅びるのだから。
「それはお前も同じか? 怠惰の魔皇アケディア」
《そうよ。あたしたち悪魔は、
「……」
《これは
「その時は――」
《その時は約束どおり、あなたがあたしを殺しなさい。これは互いの利害が一致した契約なのだから》
アケディアは己の願いを言語化し、
《……喋り過ぎたついでに、もうひとつだけ教えてあげる》
しばしの間を置き、AIに事実を告げる。
《この子は、あなたの肉親の
「……」
電子の瞳に映るは、パメラに狙いを定めた赤い
「この復讐は、あなたが
「私は……」
そして強風によって部屋のカーテンがめくり上がり――
爆音と共に窓際へと上昇してきた軍用ドローンから、機関砲弾が放たれた。
◇ 第四話 竜と少女 ◇
了
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます