番外編

第28話 [番外編] 今日も義妹と一緒にラブホへ

 月島家のお世話になって三週間。

 順調すぎるほど毎日が上手くいっていた。実家にいた頃よりも充実しているし、仕事も楽しくなっていた。

 俺はあれから、経営に本腰を入れた。

 大学生をやりながら社長の身分だった。


 たまに永倉もアドバイスをくれた。ヤツも会社をいくつも持っており、早くも会長職に落ち着いているのだとか。だから愛称も『会長』らしい。


 それは知らなかったな。



「両ちゃーん!」



 俺の大学に亞里栖がやって来た。しかもバイクで。あれからAT小型限定普通二輪免許を取得していた。普通二輪は十六歳から取れるので、早い内に自動車学校へ通ったらしい。

 高校中退の特権だな。

 あ、いや――今は通信制の高校に通っている。

 だから時間に余裕があり、最近はずっと免許のことばかりだった。


 そして手に入れた125cc『トリシティ』。


 三輪バイクで珍しいフォルムをしている。二人乗りも可能だ。



「おう、亞里栖」

「はい、乗って~!」



 ヘルメットを渡されて俺は困惑する。



「亞里栖、二人乗りは法律で一年後だろ」

「細かいことはいいじゃーん」

「ダメだ」

「ぶー」



 亞里栖を叱っていると、永倉が現れた。ニヤニヤしながら。



「大学の前でなにかと思ったら、亞里栖ちゃんと両じゃないか」



 いつの間にか永倉は俺を名前で呼ぶようになった。別にいいけど。



「どもー、永倉さん!」

「今日も可愛いね、亞里栖ちゃん。てか、バイクかっこいいね」

「でしょー。新車で購入したんです」

「三輪バイクとはねえ。これ、高いでしょ」

「はい。五十万円以上しました」

「す、すごいな。女子高生が払える額じゃないでしょ」

「がんばって働きました!」



 亞里栖はそうドヤるが、ほとんど俺の金だ。あれから、随分と亞里栖と愛し合った。その結果、なぜか金をむしり取られてしまった。


 もはや、おこづかい・・・・・だけどな!


 俺と亞里栖の関係は至って健全。

 そりゃ前はお金の関係だったが、今は違う。

 あくまで亞里栖の為に援助しているだけだ。間違っていることは、ちゃんと正している。


「そっか。どっか行くの?」

「はい。これからラブ……じゃなくて、カラオケでも」



 今、ラブホと言いかけていたぞ!?

 あぶねえな。

 一応バレたら逮捕されかねん。

 とはいえ純愛であると主張しまくるけどな! もちろん、亞里栖にも協力してもらうけど。



「そうか。じゃあ、たまには俺も邪魔しようかな」

「本当ですか!」



 なにっ!?

 永倉が参戦だと……まあいいか。会社のことでお世話になっているし。利益が上がったのも永倉のおかげである。

 少しは労ってやらないとバチが当たるってもんだ。



「とはいえなぁ、俺と永倉は移動手段が……」

「あるぞ、両」

「ん?」


「俺もバイクを持っているんだ」


 駐輪場へ向かうと、そこにはハーレーがあった。……うわ、イカツ! カッコいいなぁ。ハーレーダビッドソンとはな。確か新車で二百万とかするぞ。


 俺は永倉の後ろに乗ることになった。


 出来れば亞里栖に掴まりたかったが、我慢か……。



「じゃあ、頼むよ。永倉」

「おうよ」



 バイクでお店へ向かい、それからカラオケを二時間楽しんだ。知ってはいたが亞里栖が一番歌が上手かった。プロ顔負けだな。


 満足したところで解散した。

 永倉は夜の街中に消え、またマッチングアプリで出会った女性とラブホへ行ったらしい。


 さて、俺たちも。



「行くか、ラブホ」

「うん、両ちゃん」


 俺の腕に抱きついてくる亞里栖。胸が当たって気持ちい。最近、また大きくなったような気がする。

 それと大人びてきた。

 香水とかつけはじめたようで良い匂いもした。確か、ディオールだったかな。



「なあ、亞里栖。もうすぐ誕生日だよな」

「うん。なになくれるの? 現金?」

「おいおい。お金はいつもやってるだろ。……そうだな夢の国とか」

「えー! いいの!?」

「しかもVIPだぜ」

「やばー! VIPって何十万もするヤツでしょ。しかも、列に並ばなくてもアトラクションとか遊べちゃうんだよね!?」


「そそ。金持ちの特権だな」



 お金は掛かるけど、そういう問題ではない。亞里栖を幸せにすることが俺の使命なのだから。その為にがんばっている。



「ありがとう、両ちゃん! 大好き!」



 そして、この天使の笑顔の為に――。



 ◆



 多くの★ありがとうございます!!

 思った以上に読まれているのと★をいただけているので、また番外編を追加しようと思います。


 場合によっては復活も……!?

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