第2話 公園のバカップル

 「私ね、お散歩が趣味なんですよ。するのにお金も友達もいらないからね。だから昨日もちょっと大きめの道をゆっくり、音楽を聴きながら歩いてたんだ。

 ある時、ちょっとのどが渇いて、自販機でジュースでも買おうかな、と思って公園に入ったの。したらさ、自販機の隣のベンチでボーイッシュな美女と可愛い系な美女のカップルが、恋人つなぎをしながらなんかを囁きあってたのよ。『こりゃいいもの見たな神様ありがとう』なんて思ってたんだけど、ちょっと誘惑に負けちゃって、会話を盗み聞きしたんだ」


 ☆

 『……が……なの、…………だよね、佐奈』

 『そうだね、花梨』


 ボーイッシュな方が佐奈で、可愛い系の方が花梨という名前らしい。ただ、ここからじゃあんま良く聞こえないので、もうちょっと近づいて…… 


 『佐奈のは、あのとろけるような感触が最高にいいな』

 『花梨のも、私を気持ちよくさせてくれるよ』

 

 ……!


 『ありがとう。でも、私のは佐奈ほど綺麗じゃないし、それに』

 『大事なのは形じゃないよ。花梨の思いは、いつも、私に届いてるから』

 『佐奈……』


 ……え、まじすか?


 『でも、私、やっぱり自分に自信がないよ。豆だって小粒だし、佐奈みたいなテクニックもないもの』

 『でも、それは君のいいところの一つじゃないか。テクニックだって、これから身に着けていけるさ。花梨はまだ始めたばっかりなんだから、あせらないで、自分を磨いていこうよ』


 豆⁉ちょ、……えぇ、興奮してきたんですけど。


 『ありがとう、佐奈。そうだよね、焦らず一歩ずついかなきゃ、だよね』

 『その傍らに、私もいるよ。花梨』

 『佐奈……♡』

 『それで、その……早速、今日、つくらない?』

 

 ⁉つ、っっつ、つくる⁉え、ぇえぇ、ちぁちょ、と、な、なにをですか?時代、そんなところまで進んでるんですか?


 『うん、わかった。いいよ、優しく、また手取り足取り、教えて、ね?』

 『もちろんさ、そうと決まれば、私の家に行こう』チュッ

 

 ぁ!ぉぉお!い……今、ほっぺに、ちゅ、ちゅうした、ひょっお。く~~。(悶)

 

 『ちょ、ちょと、もう、こんなところで、キスなんてしないでよ。誰かに見られてたら……』

 『ごめん、つい、花梨が可愛くって……』

 『……バカ』


 くぅ~~~~~~=~=~=~-^------^---===-~(キュン死)


 『お返しに、今日は佐奈の、いっぱい食べちゃうぞ~』

 『ちょっと、あんまり量ないんだから、かんべんしてよ』

 

 量?な、何か必要なモノが……もしやフィンドm

 

 『え、いっつもたくさん作り置きしてるじゃん。それ、食べさせてよ』


 ん?作り置き?

 

 『それが……、実は、今ほぼないんだ』

 『え⁉どうして?佐奈が切らすなんて……』

 『その、花梨と一緒に作ったモノをすごくおいしく食べたくて、しばらく断とうと思ったんだ』

 

 ……ん?

 

 『ほらその、って、作ってから食べられるようになるまで一週間くらいかかるだろ?その間我慢して、花梨と、その、いつも以上においしく食べたくって』


 ……な、納豆?


 『いや、可愛いかよ』


 同意だけど!え、いや、その、エッチな話はしてなかったんですか?


 『ごめん……』

 『もう、全然いいよ。そうと決まれば、早く家に帰って、いっぱい納豆作ろ♡』

 『うん』


 なんだ、ただのゲテモノ喰いデーモンイーターカップルか。少し恥ずかしい。でも、いいもの見れたことには変わりないし、この幸せを抱いて家に帰るとするか……


 『お詫びに、夜は花梨をおいしく食べてあげるよ』

 

 !佐奈⁉


 『も~佐奈ったら~♡』

 『ハハハ』

 『ウフフ』


 ☆

 「なんてことがあったんだよね。私的には何故か小粒の豆にコンプレックスを持ってる花梨が戦犯だと思うんだけど、楓はどう?」


 なんかいろいろツッコミどころがあるカップルだったけど……


 とりあえず、納豆好きのことをゲテモノ喰いデーモンイーターはどうかと思う。

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安らかなモノローグを、貴女に。 位用 @kuraiyou

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