第6話 王都連続通り魔事件2

生徒会室に入ると縦の長い長方形の机があり向こう側の席の方に人影が二つ。立っている人影はクロエ先輩のものもう一つは


「この度はよく来てくれた。私はこの学園の生徒会長をやっているルイズ。よろしく」


立派な椅子に合っていないその小柄な体に青の髪と瞳のどう見ても同い年か年下の女の子が覇気のない声でそう名乗った。


「みんなのことはクロエから聞いている。まずは座って。」


そう言われると僕らは手前から詰めて座っていった。


「じゃあクロエ、はじめて。」


クロエは生徒会長にお辞儀をすると僕らの方をみて話し始めた。


「今回は最近王都で起こっている連続通り魔事件について話を聞こうと思ってここに来てもらったんだ。この学園の生徒、それも貴族の娘、息子のみを狙った通り魔が立て続けに起きていてイツハの件を含めると発覚しているものは4件だ。いずれも死者は出なかったものの放置しておくわけにはいかないから生徒会が動くことになったんだよ。」

「ですがイツハの一件で犯人は捕まったのでは」

「それがね、私たちも事情を聴こうと思って今日加害者の元へ行ってきたんだけど髪の毛は抜け落ちてて爪はすべてはがされていてそのうえ傷だらけでね、とても話を聴けるような状態ではなかったから尋問したときの記録だけもらってきたんだ。二日であんな状態になるなんて思いもいてなかったよ。」

「貴族、しかも公爵家の長男を切りつけようとしたのですから当然では?」


リリアが笑顔でそんなことを言っている。


「まあそれには私も賛成だけどね。イツハの体に傷をつけようとしたのだからね。そんなわけで尋問したときの記録を読んだんだけど彼女は今回が初めての犯行らしい」

「その前の3件は別のものであったということですか?」

「ああ、間違いないらしい。それが3件とも別人なのか今回だけ別人だったのかはわからないけれどね。」

「これからもまだ続くということですか。」

「そうなんだ、そして動機なんだけどね。彼女は不法移民だったよ。昨今世界情勢は安定していない。帝国でもクーデター、獣王国とエルフの森での小競り合いに隣の公国と南の連邦国による戦争など立て続けに起きている。君たちのクラスにも当事者が何人かいただろう。その件に巻き込まれた難民、移民が大勢いる、が我が国では難民、移民の受け入れは拒否している。あたりまえだ、こんな情勢下で不用意に他国の民を国内に入れてしまえばテロなどの危険もあるからな。そんな国の対応への組織的なテロだということだ。」

「それでクロエさんはなぜ私たちを呼んだんですか」

「ああ、私たちも早急な解決を心がけるが相手が複数いる可能性が高いからね。通り魔に対する策を考えなくてはいけない。そして今のところ撃退したのはイツハだけだからね。私は予想がつくけれどどうやって撃退したのかと対策を一緒に考えてほしいと会長がおっしゃっていてね。」


クロエさんがそういって微笑みかけてくる。


「僕でよければ、ですが撃退できたのは僕の特性によるところが大きいと思われますがよろしいですか?」


クロエさんが生徒会長に目線をやると生徒会長がうなずいた。


「構わない、単純に君に興味もあるし」

「わかりました。僕の特性は…


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