第4話 組み分け
「以上ですね。」
全員の自己紹介が終わり先生が最後の連絡をする。
「週明けから授業が始まるわけですが演習科目もあります。週明けまでに3人と3人の組に分かれておいてくださいね。それが今日の宿題です。」
「イツハ、一緒にチーム組ましょ」
「ええ、喜んで」
リリアが一緒に組んでくれるというのは初めての環境ということもあり心強い。
「あと一人どうしましょうか。1チームのバランスで見たときに私たちは2人で5属性すべてカバーできているからもう片方のチームの事情を鑑みてあの子にしましょ。」
「ソフィアさんですか、それがいいですね。」
彼女の席に向かって歩いていくと彼女もこちらの意図を察して席を立ち歩いてきた。
「先ほどの学園長の話の件だろう。」
「はい、もしよければ僕たちとチームを組んでくれませんか?」
「構わないよ、そのほうがバランスがいいだろう。私のことはソフィアで構わないよ。」
「ありがとうございます、僕のことはイツハで構いません。」
「私のことはリリアで構わないわ。あなた、特性は一つだけあるということしか言わなかったけれど」
「私の特性は自己完結型だから教える必要もないと感じただけだよ。そもそもあなたたちだけだよ、特性の内容を公表したのは。」
「僕とリリアの特性は隠して仕方のないものだからですよ。」
「そうだ、この後途中まで一緒に帰りましょ?」
ソフィアさんは少し思考する様子をみせると
「そうしようか、最近物騒だしね。」
「イツハもいいわよね?」
「はい、二人がよろしければ」
三人で校門に向かっていると全てを吸い込むような純黒の髪に赤い瞳の少女がこちらに気づき僕の前に歩いてきた。
「久しぶりぶりだね、イツハ。」
「お久しぶりです、クロエさん。」
するとリリアがこめかみに青筋を浮かべながら僕とクロエさんの間に入った。
「私もいますよ、クロエさん。」
クロエさんは華麗にスルーすると今度はソフィアさんに向き直った。
「そちらの人は初めましてだね。僕のことはクロエでいいよ。よろしくね。」
「ええっと、はい。私のことはソフィアとお呼びください、以後よろしくお願いします。」
「うん、それで君たちはもう帰りかい?」
「先輩はまだ帰らないんですか。」
「ああ、生徒会で招集がかかってね。今向かうことろだったんだ。」
「そうだったんですか。」
「ああ、教職員の方々はことが相当大きくならないと動かないから大変だよ。気を付けて帰るんだよ、通り魔が出るらしいからね。」
そういいながら笑うクロエさんは美しかった。そんな彼女は僕たちの間を通り抜けて廊下を歩いていった。
「あの女、相変わらずね。むかくつわ」
クロエさんとわかれて校門に向かっていると前を歩いているリリアがそう呟いた。その後も愚痴は止まる様子は見られなかった。とするとソフィアさんが僕に近づいてきて耳元で尋ねてきた。
「あの二人は何か因縁でもあるのかい?」
「それが僕にもよくわからないんです。二人があって二回目にはあんな感じになっていましたし。」
「そうなのか」
「二人とも何してるの、早くいくわよ。」
リリアは散々愚痴をこぼしてリセットされたのかもうイライラいている様子はなかった。そして校門を出て王都を三人で談笑しながら歩いている。今日は早く終わったためまだ昼過ぎということもあり人通りも多い。しばらく歩いていると僕の足元に金属が落ちてきた、さらにしばらくして女性の「へ…?」という声が僕の少し後ろから聞こえてきた。
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