第38話 時の石の謎

秋が深まり、桃源郷には新しい冒険の季節が訪れていた。小袖君と恋歌は村の外れにある古い洞窟を探索している最中、謎の光る石を発見した。この石は不思議な模様が刻まれており、時折、自ら光を放つことがあった。その石は地元の伝説に登場する「時の石」と呼ばれるもので、時を操る力を持つと言われていた。


興味をそそられた二人は、この石の秘密を解き明かすために、村の賢者であるフウジン老に相談に行った。フウジン老は石についての古い物語を語り始め、それによるとこの石は過去に桃源郷を幾度となく災害から救ったという。


「この石には、時を超える力が宿っており、適切に使えば、過去の出来事を見ることができるんじゃよ」とフウジン老は言った。小袖君と恋歌はこの力を使って、村の歴史に残る重要な出来事を目の当たりにすることに興奮した。


石を使って過去を見る儀式の日、村の広場には多くの村人が集まり、二人の試みを見守った。小袖君が石に触れながら古代の呪文を唱えると、石から発せられる光が強まり、突如として周囲の景色が変わり始めた。


光の中から、数百年前の桃源郷が現れた。村人たちは先祖たちが農作業をしている様子や、古い祭りの風景を見て、その歴史と文化に感動した。また、かつて村を襲った自然災害の光景も見ることができ、石がどのようにして村を救ったかが明らかになった。


過去の旅が終わると、景色は現代に戻り、石の光も穏やかになった。村人たちはこの体験を通じて、村の歴史をより深く理解し、互いに語り合うことで絆を深めた。


その夜、小袖君と恋歌は「時の石」を村の神社に安置し、それを守ることを村全体で誓った。二人は星空の下でその日の出来事を振り返り、「私たちの村には本当に深い歴史があるね」と話し合い、共にその遺産を未来に繋げていく決意を固めた。

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