第25話 ボウリング場の奇跡
桃源郷の端にひっそりと佇む荒廃したボウリング場は、かつては村の人々の集いの場として賑わっていたが、長年の放置によりその輝きを失っていた。村の長老が小袖君にこの場所を再び村の光景に取り戻す手助けをしてほしいと頼んだとき、彼はその挑戦を喜んで引き受けた。
「これはただの修理以上のものになるね」と小袖君は恋歌に話しながら、ボウリング場の古びたドアを開けた。中に入ると、ボウリングのレーンはほこりで覆われ、ボールは色褪せ、ピンは散乱していた。
「まずは清掃から始めよう」と恋歌が提案し、二人は掃除を開始した。掃除をしているうちに、小袖君は壁にかけられた古い絵画の中から隠された魔法のシンボルを見つけた。彼はそのシンボルがボウリング場に特別な魔法を宿していることを感じ取り、それを利用して場所全体を修復することを決めた。
小袖君はシンボルに触れ、深く集中すると、彼の手から温かな光が流れ出し、ボウリング場全体に広がっていった。光が行き渡ると、ボウリング場は見違えるように変わり、レーンはピカピカに輝き、ピンは新品同様に立ち、ボールも鮮やかな色を取り戻した。
再開したボウリング場には、村人たちが次々と訪れ、かつての賑わいを取り戻し始めた。子供たちが笑顔でボールを転がし、大人たちも青春の日々を思い出すように楽しんでいた。
開場日、小袖君は特別なイベントを開催し、全村人を招待した。彼はボウリング大会を企画し、参加者には特製の魔法が施されたボウリングシューズをプレゼントした。大会は大成功で、勝者には小袖君が手作りしたトロフィーが贈られた。
夜が更けると、小袖君と恋歌はボウリング場の外で夜空を眺めながら、その日の成功を祝った。「こんなに多くの人々が笑顔でいるのを見ると、本当にやりがいがあるね」と小袖君が言った。
「ええ、あなたのおかげで、この場所がまた新しい思い出で満たされ始めているわ」と恋歌が応じた。
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