第23話 会談!?

リック旅館、宿泊施設のひとつである。

リック旅館は高級旅館であり、貴族向けの施設となっている。

今日はダグリット公爵、リッツ侯爵、ハーバトン伯爵といった上位貴族と16家の下級貴族が訪れている。

リック旅館の中でも上位貴族が使うエリアと下級貴族が使うエリアのふたつがある。

上位貴族のエリアには国家機密など話し合えるように専用の応接室も準備されている。

リックはその専用応接室を訪ねた。

部屋をノックして中に入る。


「失礼します。大変お待たせ致しました。」


中にはダグリット公爵とサラ、リッツ侯爵とレイネ嬢、ハーバトン伯爵とイーナ嬢とサットが待っていた。


「リック遅いじゃないか…」


サットが少し不満げに言う。

上位貴族を待たせたからだろう。


「いやいや、大丈夫だ。婿殿待っていたぞ。」


ダグリット公爵が笑顔でいう。


「ダグリット公爵閣下、リッツ侯爵閣下、ハーバトン伯爵閣下、本日はお越しくださりありがとうございます。」


リックは挨拶をし感謝を伝えた。


「リック殿、とても素晴らしい施設です。先程温泉にも入りました。」


「あれはほんとにいいな!体をしっかりと休めることが出来た。」


リッツ侯爵、ハーバトン伯爵はかなり満足してくれたようだ。


「婿殿、この温泉街は王国中から人を集める。この規模では足りないかもしれないな。いっその事拡張してはどうかな?土木省は力を貸す。」


「ダグリット公爵、まだ大丈夫だと思います。いざ必要となれば要請させていただきます。」


「そうであるか、わかった。ところでサラは役に立っておるか?」


話はサラの話となった。

するとリッツ侯爵、レイネ嬢、ハーバトン伯爵、イーナ嬢の顔つきが変わった。


「サラ、は宿泊担当者、リック財団の副代表として活躍しています。とても心強いです。」


「おお、呼び捨てとはもうそこまで仲が深まったということか…よかったよかった!」


ダグリット公爵は大きな声で喜んだ。

意図的にだろう。

ダグリット公爵はリッツ侯爵、ハーバトン伯爵がリックに接近しようとしていると警戒していた。


「ところで、温泉街の次は何か計画しているのかな?」


話を遮ったのはリッツ侯爵であった。

ダグリット公爵はムッとする。


「リッツ侯爵、次の計画ですか…次は…」


リックは突然の質問に考え込む。


「うーん、次ですか…」


すると口を開いたのはハーバトン伯爵であった。


「リック殿、農業はいかがかな?」


「ん?農業!」


ハーバトン伯爵が提案したのは農業であった。

自身が農務大臣であるのも関係しているのであろう。


「このネスト領は農業基盤が強くないであろう。」


「はい、その通りです。」


ハーバトン伯爵の指摘は的確だ。

このネスト領はこれといった農産物がない。鉱山で成り立っていたからだ。そのため、他領から買い付けることで賄ってきていた。


「今、農務省で農産物の生産拡大を計画している。このネスト領でもこの計画をやらせてくれないだろうか?できればこのネスト領、ハイド王国は豊かになる。どうだろうか…」


「農務省の援助が受けられるということですね、」


「その通りである。それにこの計画には魔法省にも協力してもらうことになっている。」


ハーバトン伯爵がそう言うと突然、ダグリット公爵とリッツ侯爵が声をあげた。


「「魔法省はダメだ!!」」


あまりのことにリックは驚くのであった。

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