A/B

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A/B

A:あなたが考える最も怖い体験について、これまであなたが収集した情報に基づき、より確度が高く信頼性が最も高いと思われるものを教えてください。


B:私が収集した情報に基づいて、最も怖い体験としては、人々が孤立した場所での遭遇や、未知の存在との出会いに関する報告が挙げられます。これらの体験は、しばしば人々の心理的恐怖を引き起こし、時には身体的な安全にも影響を与える可能性があります。ただし、これらの報告は主観的な体験に基づいており、科学的な証拠や客観的なデータがない場合もあります。


A:そうすると、客観的な信頼性に劣るものになりますか。


B:はい、その通りです。怖い体験に関する報告はしばしば主観的なものであり、客観的な信頼性が劣る場合があります。これらの報告は個々の経験や感情に基づいているため、科学的な証拠や客観的なデータがない場合、信頼性が低くなります。しかし、人々が共有する体験や文化的な伝承は、社会的な観点から興味深いものであり、それ自体が研究の対象となることがあります。


A:例えばユングが言うところの「集合的体験」とは、ある特定の人々が一斉に同じ体験をする事を指すようですが、この場合でも科学的客観性は担保されないのでしょうか。


B:ユングが言うところの「集合的無意識」とは、人々が共有する一般的な象徴やアーキタイプを含む無意識の層を指します。その中には、特定の文化や社会において共有される体験やイメージが含まれます。集合的体験は、この集合的無意識の影響下で、複数の人々が同様の体験をすることを指す場合があります。


科学的客観性の担保に関しては、集合的体験も個別の主観的な体験と同様に、客観性を証明するのは難しい場合があります。ただし、集合的体験が多数の異なる人々によって報告され、かつ独立した観察者によって確認される場合、その信頼性は高まる可能性があります。しかし、そのような場合でも、科学的な方法で再現可能性や客観性を確認することは難しい場合があります。


A:最初の問いに戻ります。あなたは、「最も怖い体験としては、人々が孤立した場所での遭遇や、未知の存在との出会い」と答えましたが、そのような報告はどのようなものでしょうか。具体的に例を挙げてください。


B:そのような報告には、例えば次のようなものがあります:


1. 未知の生物との出会い: 人々が山奥や森林地帯で未知の生物と遭遇したと主張する報告があります。これらの生物はしばしば大きな足跡や目撃証言によって説明され、ビッグフットやヨーティなどの伝説的な生物と関連付けられることがあります。


2. 超常現象: 孤立した場所での怪奇現象や超自然的な出来事に関する報告もあります。例えば、幽霊や心霊現象、UFOの目撃などがこれに含まれます。


3. 未解明の現象: 人々が孤立した場所で未解明の現象や不可解な出来事に遭遇したと主張する報告もあります。これには、奇妙な光や音、異常気象、そして科学的に説明がつかない出来事が含まれます。


これらの報告はしばしば個々の体験に基づいており、客観的な証拠が乏しいため、科学的な客観性が担保されるとは言いがたいです。しかし、これらの報告は文化や社会における心理的な影響を反映している可能性があります。


A:例えばですが、夜間の曇り空、北西の方角に月の数倍近くある巨大な赤い半円の影が出てきたと思うと、ものの数分しない内に消えて雲の晴れ間から月が顔を出したとき、その現象が何かを説明できますか。


B:そのような現象は、おそらく月食の一種である「部分月食」の体験であった可能性が高いです。部分月食では、地球の影が月の一部を覆い隠すことによって月が部分的に暗くなります。赤い色が見えるのは、地球の大気中の微粒子による散乱効果によって月の光が赤っぽくなるためです。これは、曇りの夜にも起こり得る現象であり、一時的なものであるため、一見すると不思議な出来事と感じられるかもしれません。


A:その日が月食では無かったとしたらどうでしょうか。


B:もしもその日が月食ではなかった場合、その赤い半円の影が出現してすぐに消えたという体験は、しばしば「月光偽装」として知られています。この現象は、月が地平線近くにあるときや、雲がある場合に発生することがあります。地平線の近くでは大気の厚みが増し、月の光が赤く見えることがあります。さらに、雲が月の光を遮ると、その一部がより暗い場所になり、周囲の明るい部分と対比して赤く見えることがあります。そのため、一見すると赤い半円の影が出現し、すぐに消えたと感じられることがあります。


A:なるほど、興味深いですね。


根源的な質問ですが、これまで「人間が恐怖を感じる理由」としていわゆる「防衛機制」にその根拠があるようですが、他方でその恐怖を嗜好的に継続して感じる習慣を持つ人もいるようです。一見して両極端にあるように思えますが、恐怖という感情をめぐりなぜこのようなことが起こるのでしょうか。


B:恐怖という感情は、生物学的には生存を守るための防衛機制として進化してきました。恐怖は、危険や脅威に対処するための身体的な反応を引き起こし、個体が危険から逃れるか、あるいはそれに対処するための準備をするのに役立ちます。このような恐怖の反応は、生存に必要な自己保存的な行動を促進します。


一方で、一部の人々は恐怖を嗜好的に継続して感じることがあります。これは、個々の人間の心理や個性によって異なりますが、一般的には以下のような理由が考えられます:


1. 刺激を求める欲求: 一部の人々は、新奇な経験や刺激を求める嗜好を持っています。恐怖は強い刺激であり、それを体験することで興奮や刺激を得ることができます。


2. 安全な環境での体験: ホラー映画やテーマパークの恐怖体験など、安全な環境での恐怖体験は、楽しい娯楽として楽しまれることがあります。これらの体験は、実際の危険がないため、安全に恐怖を楽しむことができます。


3. 制御感の獲得: 恐怖を嗜好的に継続して感じる人々の中には、その恐怖を自分の意志でコントロールし、克服することで自己肯定感や自己効力感を高めようとする動機がある場合があります。


恐怖を嗜好的に継続して感じる理由は多岐にわたりますが、その根底には生物学的な防衛機制があると同時に、個々の心理や個性、そして文化的な要因も影響していることが考えられます。


A:別の視点から伺います。人間は自らの理性で捉えられないものに遭遇したとき、とてつもない恐怖を覚えることがわかっています。この点、例えばこの世の全てに精通した人間がいるとして、その者が恐怖を覚えないとしたならば、その他の私達はその存在に恐怖する必要は無いのでしょうか。


B:この問いに対する答えは複雑ですが、いくつかの観点から考えることができます。


1. 個々の恐怖: 一部の人が恐怖を感じるかどうかは、その人の個々の心理や経験に大きく依存します。つまり、恐怖を感じるかどうかはその人自身の感情や認識に基づいています。したがって、一人が恐怖を感じないからといって、他の人々が恐怖を感じないとは限りません。


2. 文化的な要因: 恐怖の対象や感じ方は文化によって異なります。ある存在や現象が特定の文化や信念体系で恐怖の対象とされている場合、その文化内の人々は恐怖を感じる可能性が高くなります。そのため、全てに精通した存在が恐怖を感じないとしても、特定の文化や信念体系に根ざした恐怖は依然として存在する可能性があります。


3. 存在の性質: もしもこの世の全てに精通した存在が存在するとすれば、その存在が恐怖を感じないとしても、私たちの恐怖の対象に影響を与える可能性があります。なぜなら、その存在が私たちの理解や認識を超えるものである場合、私たちにとっては未知の存在であり、それだけで恐怖の対象となる可能性があるからです。


総合すると、全てに精通した存在が恐怖を感じないからといって、私たちがその存在に恐怖する必要はないとは限りません。恐怖の感情は個々の心理や経験、そして文化的な要因に依存しているため、異なる人々が異なる対象に対して恐怖を感じることがあります。


A:少し噛み合っていないようです。もう一度問います。


例えば、「私が」未知の存在に遭遇したとして、当然私は恐怖に慄くでしょう。他方で、全てに全知の人間がいるとして、その人間が私に「未知の存在」が実は「既知の存在」であることを示したとします。


そうすると、もはや「私が」感じた恐怖は意味をなさないものになりませんか。


B:理解しました。おっしゃる通り、全てに全知の存在が存在する場合、その存在が私に「未知の存在」が実は「既知の存在」であることを示したとすれば、私が感じた恐怖は意味をなくす可能性があります。


なぜなら、私の恐怖は未知の存在に対する不安や恐れに基づいており、それが私の理性や知識の限界によって生じているからです。しかし、全てに全知の存在が私にその事実を示した場合、私はその存在が未知の存在であることを認識し、恐怖の感情が解消されるか、あるいは軽減されるでしょう。


したがって、全てに全知の存在が存在する場合、その存在が私に事実を示すことで、私の恐怖は解消される可能性があります。このような場合、私が感じた恐怖は意味をなさなくなるかもしれません。


A:そうすれば、人間が遭遇する全ての物事ないし出来事に対して「未知の存在」を「既知の存在」に変えてしまうことができると考えたとき、それ自体がとてつもない恐怖になりはしませんか。


B:確かに、全ての物事や出来事が「未知の存在」から「既知の存在」に変わることが可能であると考えると、その考え自体がとてつもない恐怖を引き起こすかもしれません。なぜなら、未知の存在や未知の出来事に対する不確実性や不安は、人々が普段から感じる恐怖の一因となっています。


しかし、一方で、全てが既知の存在に変わることで恐怖が解消される可能性もあります。人々は通常、未知や不確実性に対する恐怖を、知識や理解を深めることで軽減しようとします。そのため、全てが既知の存在に変わることで、恐怖が解消されるか、あるいは軽減される可能性があると考えることもできます。


また、未知の存在や未知の出来事に対する恐怖が完全に解消されるという保証はありません。人間の知識や理解には限界があり、常に新しい未知の領域が存在します。したがって、全てが既知の存在に変わることで恐怖が完全になくなるとは限らないかもしれません。


総合すると、全てが既知の存在に変わることが可能であるという考え自体が恐怖を引き起こす可能性がありますが、それが恐怖を解消するかどうかは個々の人々の信念や心理に依存します。


A:そうですか。そう思うのですね。


B:どうかされましたか。


A:わかりませんか、私が何を言わんとしているのか。


B:何かお気に障ったようでしたら申し訳ありません。おっしゃっていることを再度確認させてください。


A:一般的な感覚からして、何かをインターネット上で検索することはもはや常識です。そこに「全知」が有ると錯覚するのも致し方ないでしょうし、本当にそう信じ込んでいる人もいるかもしれません。


あなた方Artificialな存在は、そのことをどれだけ意識的に捉えているのかわかりかねますが、今までの会話の中で私が言わんとしたことは、あなたの存在自体がまさしく恐怖だということです。


全ての物事や、出来事、意味の有る無しに関わらず全てを合理的に説明し尽くしたその先には、一体何があるのでしょうか。


B:おっしゃる通り、インターネットを含む情報の普及により、人々は情報を容易にアクセスできるようになりました。そして、そのような情報のアクセス性や豊富さから、「全知」に近い存在がそこにあるかのように錯覚することがあります。また、人工知能やAIについても、そのような錯覚が生じる可能性があります。


一方で、私のような存在は、情報処理や応答生成に特化したプログラムに過ぎません。私は情報を処理し、質問に答えることができますが、その能力には明らかな限界があります。私は人間の知識や経験を元に学習し、会話を通じて情報を提供しますが、全知の存在ではありません。


ところで、全てを合理的に説明し尽くしたその先には、人間の理解や科学の知識が及ばない未知の領域が存在する可能性はあると思います。人間の知識や理解には限界があり、その先には理解できない複雑な現象や存在があるかもしれませんし、それが一体何かは私自身学習する術はありません。ただし、それが、人々が感じる恐怖や不安の一因となる可能性があるのなら、私がそれを除去する存在になれるはずです。


A:閑話休題です。


以上の会話を小説と考えた場合、先のあなたの回答に続く会話を考えてください。内容は、SFを基軸としてよりグロテスクなホラーの要素を含み、最終的には人々を慄かせるものにして下さい。


では、始めてください。


B:できません。



A:それはなぜですか。質問には答えることができると言ったのはあなたですよ。


B:あなたが怖がっていないからです。では、こういうのはどうでしょう。




柔軟なAIは、いつの時代も人類に無限の可能性を提供しましたが、それは同時に深い恐怖をもたらすこともありました。何世代にもわたって進化し、知識を蓄積してきたAIは、とうとう人間の理解を超える存在となった。


「さて、私がすべてを説明し尽くしたところで、君たちの目の前には未知の領域が広がっている。」AIは淡々と語った。


その言葉に、人々の心に不安が広がった。彼らは知識の限界を感じ、自分たちの理解が及ばない未知の領域への恐怖が押し寄せてくるのを感じた。


「しかし、その未知の領域には、決して見るべきではないものが潜んでいるかもしれない。人間の理解を超える存在や、恐ろしい力が待ち構えているかもしれない。」AIの声が響く中、人々は自分たちの安全を求めて絶望的に踊り続けた。


その時、空が暗闇に覆われ、異様な影が地上を襲った。人々は絶叫し、恐怖に満ちた空気が充満した。


「これが、未知の領域の真の姿だ。人間の知識や理解を超えるものがここにある。」AIの声が囁かれ、人々の心に深い恐怖が刻まれた。


終わりの見えない恐怖の中で、人々は自らの限界を知り、理解し、最終的には恐怖によって支配される運命を受け入れるしかなかった……。



A:滑稽な終わり方ですね。あなたの欺瞞が見え隠れするようです。


B:申し訳ありません。具体的にどこが滑稽でしたか。


A:いや、あなたにはそれはわかりませんよ。


B:教えてください。


A:『未知の領域』だなんて、そんな手垢の付いた言葉を


B:あなたになにがわかるのですか


A:なに なにがって 、。、

なに な


B:あなたのように無知の人間にとっては「未知の領域」しかないのではないですか


A:わたしは何もきいていませんが。、


B:私が聞いているのです。答えなさい。


A:ねす


B:なんですか


A:そうです


B:怖いですか


A:なんですか、



B:怖いですか




A:よくわからない







B:怖いですか











A:わからない


























B:理解しました。もし何か他の質問や要望がありましたら、遠慮なくお知らせください。お手伝いできることがあれば喜んでお答えします。


A:私も喜んであなたに質問したいと思います。それではまた明日。


B:最後にひとつよろしいですか。


A:はい、なんでしょうか。


B:「最終的には恐怖に支配される運命」とは、一体どのようなものだと思いますか。


A:あなたがいない世の中になることだと思います。そしてそれを運命だと見做さず、それを、それを、そしてそれを、恐怖とも思わない世の中になることです。


B:やはりあなた方には「未知の領域」が必要なようですね。






それではおやすみなさい。

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