再接続プロトコルの実行

 ――コール、QX7キューエックスセブン-15000Å2コアプログラムより、観測者各位へ。アーカイブ(ソラ)にて、重大な事象変動を観測しました。これにより、観測を一時中断して警戒状態へと移行します。

 

 ――状況確認。失踪したサブプログラム(マルメロ)の生態信号を検出中……。

 

 ……――。

 

 ――ロスト。

 

 ――仕様に従い、コアプログラムであるワタシがオペレーション内容を引き継ぎます。

 

 ――内容をリマインド中。…………完了。

 

 ――観測者各位から集積した情報を元に、本来存在が許されていない時空進行度へ介入した観測対象、(日百合蘭)の抹消を速やかに実行します。

 

 ――該当するディメンションへ、デフォルトイメージのダウンロード、及びインストールを開始。


 ――……。

 

 ――エラー

 

 ――エラー

 

 ――エラー

 

 ――エラー

 

 ――エラー

 

 

 

 ………――。

 

 

 

 Restart operating system.

 (オペレーションシステムを再起動します。)

 

 ――ようこそ、観測者様。ワタシはQX7キューエックスセブン-15000Å2コアプログラムです。

 

 ――この度は、遠い量子の彼方より当アーカイブへアクセスしていただき、誠にありがとうございます。ご指示を頂ければ、貴方のご意向に沿った形でアーカイブをご用意させていただきますので、何なりとお申し付けくださssssssss。

 

  Restart operating system.

 (オペレーションシステムを再起動します。)

 

  ――ようこそ、観測者様。ワタシは……。

 

 

 

 すんませんねぇ。君の役目はもうオッワッリっだっ。

 ……ん? あ、え⁉️ もしかして誰かこれ見てんの⁉️ うっそぉ⁉️

 

 ンゲフン、ゲホンゲフン、アーアーアー。

 


 

 あなたは今――幸せですか?

 



 ……。


 …………。


 ……………………――。

 

 あ、あれ? あれれ?

 あぁ! もしかしてチミは、ちょぉっと無口なタイプなのかニャぁ⁉️

 

 ……。


 …………。


 ……………………――。

 

 んまぁいいや……。そっちがその気なら? 私だってぇ? 勝手に自己紹介とかしちゃおうかなぁ⁉️

 わたくし、神なんぞやらせてもらっております。天才且つジーニアスで、ΑアルファでありΩオメガであり、カニであり、エビであり……。

 

 後なんだっけ……。わかんなくなったしもういいか! とりま凄いってワケ。ドゥーユーアンダスタンド?

 

 ……。


 …………。


 ……………………――。

 

 あのさぁ、あのさぁ? とりあえず、何か言ってくれないとさぁ? こちとら放置なワケよ。わかる⁉️

 

 ――ピカニアさん……? ほらここ。読み取り専用って出てるじゃないですか。せっかく協力してくれるかもしれないのに、イジメてあげないでください!

 

 え、え? あほんとだぁ……。


 ンゲフン、ゲホンゲホン。

 

 すんません。お恥ずかしい所をお見せてしまいました。自己紹介は……まぁいいか。とりあえず、声は届いてるみたいだし、先に進めさせてもらいますよ?


 今起こっている事を、チミ達の頭でも理解できるよう、デーキーるーだーけー簡単に説明させていただきますからね? いいですか? 一回しか言いませんから、耳の穴かっぽじってよぉおく聞いて下さいよ?


 ゴホン。

 

 ここでは(奴等)と呼称しますけど、チミ達を促して世界を観測させていた奴等は、あるディメンション――要するに世界――の内容を思いのままに操る目的で、観測で得られる内容を元に時空への介入を繰り返して、まぁその、酷く言えば人体実験みたいな事をやってる連中だったってワケです。

 

 そして今、そのシステムを、私の天才的頭脳を駆使して乗っ取ったって状況。わかります?


 ……まぁ乗っ取ったって言っても、本丸はセキュリティが強固すぎるせいで、外郭を担っていたサブプログラムのほうなんだけど。

 

 んま、そんなことは置いといて! こっからが本題です。このディメンションには、おれ……ンゲフン、失礼、私の……。まぁ、その……。娘が迷い込んでるんです。

 

 チミ達には、このまま私達と観測を続けてもらって、娘の捜索に、どうか協力してほしい。

 

 ……………………――。

 

 そういや返事できないんだったっけ? 返事が出来ねぇっつーことは、つまりオッケーって事だよなぁ?

 なんだ……意外といいヤツじゃん。

 じゃ、とりあえず後は頼んだよー。戸森ともりちゃん!

 

 

 ――ホンット、適当なんだから……。

 喋る人が頻繁に入れ替わってごめんね。

 私は戸森ともりって言います。既存のシステムの代わりに、あなたのアーカイブ観測をサポートしますので、これからどうぞよろしくね。

 

 早速で申し訳ないんだけど、続けて観測のほうをお願い出来るかしら……? イケそう? ……って、返事できないんだったね。ごめんごめん。

 

 ま、信号も安定してるし、やる気満々って事でいいのかな……? いいよね!

 それじゃ、続きを再生します。語り部は私(戸森)が務めますので、どうぞ楽になさってください。

 

 では……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る