第二期

第11話旧式艦隊現る

 艦齢30年を超える旧式艦隊がそこにはいた。

 その数、18隻。

 第一線から退き最低限の近代化改修を行い、いざという時の予備艦船として温存されていた。

 佐々木はこの事態を確認していた。

 100億で造られた最低限の鎮守府は港すら最低限だった。

 碌に補給施設もなく艦艇を止めるための波止場があるだけ。

 なぜならば、液状化による地盤対策に30億以上使ったからだった。

 鎮守府に10億。

 港に60億。

 だが港には油槽設備もなく兵器貯蔵倉庫もない。

 あくまでも大波用の30億の堤防。

 そして30億の波止場があるだけだった。

 それはそれは立派な波止場である。

 艦隊を止めることも可能であり最低限の鎮守府機能を維持していた。

 ところが佐々木と鹿島を襲ったのは鎮守府に必要な補給機能の欠如だった。

 そもそも鎮守府とは司令官を存在させ、事務処理や補給などの艦隊に必要な機能を確保するための存在である。

 ところがこの鎮守府は最低限の建物に港を併設しただけのとんでもなく色々な物が不足した存在である。

 艦船への食料供給や生活物資の補充などを行うための貯蔵設備の欠如。

 油槽などの船を動かす燃料の欠如。

 弾薬や兵器を保管する兵器庫の欠如。

 技術開発機能や補修機能などを抜きにしてもこれだけ設備が不足していた。

 おまけに鎮守府に配属されたのは各司令部であぶれた人材だった。

 遅刻の常習犯。

 無断欠勤の常習犯。

 トイレ休憩やたばこ休憩ばかりの人材に。

 あげくの果てには勤務時間中に堂々と菓子を食いながらネットゲームに勤しむものまでいた。

 これには温厚な鹿島も大いに怒り、怒号が飛び交った。

 佐々木と鹿島は覚悟を決めると海軍と陸軍で評判の悪い部下を融通するように艦隊司令部や各部署に交渉した。

 追い出し部署が欲しかった各部署は佐々木と鹿島の横須賀鎮守府に3000人の人出を送り出した。

 佐々木と鹿島はその中から比較的働く人材を篩い分けるために人材を実際に働かせた。

 全員が遅刻の常習犯なのでそれは目をつぶった。

 無断欠勤はとくに厳しくし常習犯300人を解雇した。

 休憩は仕事が滞らない範囲で認めた。

 問題は仕事をさぼって菓子を食いながらネットゲームをしていた連中だった。

 これも仕事が滞らない範囲で認めた。

 だが結局仕事が遅すぎる上に働かずさぼって仕事を滞らせた300人を解雇した。

 残りの2400人を交代で作業に当てどうにか事務処理体制は完成した。

 この作業に30日以上が掛かったが佐々木と鹿島はやり遂げた。

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