第10話三日目午後
佐々木は緊張していた。
連合艦隊司令部より呼び出しがあったのだ。
鎮守府にはあの後NBC兵器が見つかった。
核兵器、生物兵器、化学兵器の貯蔵場所として使われていたが引継ぎが杜撰だったためわからなくなっていたのだ。
不発弾と状態が悪い陸軍兵器のスクラップ置き場になっており陸軍の当てつけだった。
海軍はこれに抗議することになった。
だが陸軍は軽空母をなくせばいいと応じなかった。
海軍側はこれに激怒し横須賀鎮守府をどうにかして立て直しつつ軽空母を予定通り建造すると佐々木に命令した。
横須賀鎮守府、舞鶴鎮守府、佐世保鎮守府、呉鎮守府、そして、大湊警備符。
この鎮守府群以外の海軍基地の放棄が決まり通達された。
これにより1000億円のお金が発生した。
これを全て横須賀鎮守府に充てることになった。
横須賀鎮守府以外の鎮守府の整備は完了しているとのことだった。
だが廃棄物の鎮守府内の除去には800億はかかり建物の解体に100億、残り300億で鎮守府の建て替えを行う必要があった。
おまけに土壌の確認の結果汚染された土壌の入れ替えに100億さらにかかった。
さらに悪いことに土壌から地下水が湧き出ており地面が液状化していた。
この地下水はお湯だった。
つまり温泉ではあるが単に暖かいだけの温泉が鎮守府では厄介者だった。
この温泉の排水も兼ねて温泉設備に100億円が掛かった。
残り100億で鎮守府本館と港の設備整備が必要だった。
艦隊司令部はさらに200億を捻出して200億で港と鎮守府本館を整備した。
こうして残り100億で鎮守府の運営が行われることになる。
だが、鎮守府のこの一連の整備が行われるまで一年の月日が掛かった。
鹿島も佐々木もその間鎮守府内の骨董品の整理をやらされることになった。
「提督さん、これはどこに」
「ああ、これはそこに置いておいて」
都内某所。
帝国海軍の施設であるそこは鎮守府内で見つかったガラクタで溢れていた。
佐々木と鹿島は人手を補充するように頼んだがそれは無視されこうして延々と整理及び廃棄作業をしていた。
鹿島と佐々木の集中力は高く普通の人の150%の速度で作業を行った。
鹿島は書類、佐々木はそれ以外の骨董品の整理を行っていた。
武器や不発弾、危険物、廃棄物の類は他の軍部隊が処理したが鎮守府本館や倉庫、官舎などに置かれていた骨董品は二人で処分するように言われたのだ。
「今日の処分品は以上でしょうか?提督さん?」
「ああ、これで終わりです。それにしても今日も多かった」
「来年度には鎮守府に行けますね。わたし、楽しみです」
「そうだね。それにしてもここの仕事も今月で終わりか」
「ええ、来月には新鎮守府でやっていきましょう!」
「改めてよろしく、鹿島さん」
「よろしくお願いします!佐々木提督!」
こうして、二人の鎮守府生活が始まろうとしていた。
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