第14話 ケイティ・アカデミー 転生冒険者クン再訓練!

「め~いきゅうし~んぶをめ~ざせ~!」

「め~いきゅうし~んぶをめ~ざせ~!」

「モ~ンスターど~もをぶっごろし~」

「モ~ンスターど~もをぶっごろし~」

「た~から~は、ね~こそ~ぎう~ばい~とれ~」

「た~から~は、ね~こそ~ぎう~ばい~とれ~」

「し~んで~も、い~きて~るよみがえれ~」


アーガンの街中、筋肉ムキムキマッチョウーマンの受付さんケイティ・ルゥと共に冒険者たちが謎の掛け声をあげて走っている。


前世のお父さんお母さん、お元気ですか。

もう一つ前の世界のお父さんとお母さんも、お達者でしょうか。

元転生冒険者です。


僕は今、筋肉ムキムキマッチョウーマンの変態エルフに追いかけられて、走らされています。

どうしてこうなったかと言うと……。

「声が出てないぞ! 転生野郎!!」

「はいぃぃぃ! し~んで~も、い~きて~るよみがえれ~」

回想に入る暇さえもらえない、死にたい。


「よぉーっし! 休憩だ、貧弱な坊やども、しっかり筋肉を休ませろ!」

訓練場のグラウンドにたどり着き、一緒に走らされていた僕を含む新人冒険者たちが大地にへばる。

どうしてこうなったかと言うと、冒険者ギルドくんれんじょうからの通知がきっかけだった。

曰く、『冒険者全員を対象に、訓練場にて毎朝数時間定期的に訓練を行う』

曰く、『参加は基本的に自由』

曰く、『参加者には参加日数に応じた報酬が支払われる』

つまりラジオ体操のスタンプカードれんぞくログインボーナスだ!


魔術書籍エロ小説家としての稼ぎはあるものの、なんだかんだいって不定期収入なのだ。

別口で固定収入ができるのは心強い。

上手くすればラクラク補助金生活が待っている!

……そんな甘い気持ちで参加したのが間違いだった。


待っていたのはビキニアーマーのマッチョウーマン軍曹によるシゴキ地獄だった。

しかも『参加は基本的に自由』という看板には嘘偽りがあり……。

「参加するのは自由だ! だが訓練に誘うのも私の自由だ!!」

何が気に障ったのか、ゴリラエルフに目をつけられてしまい、早朝ランニングのルートに僕の下宿先が加わって、そのまま拉致られて毎日走らされる羽目になっている。

チクショー! 来月号のヒロインは筋肉エルフアマゾネスにしてやる!!


「休憩終わり! 立て! フニャ〇ンども!!」

地獄が再開される。

だが、僕は腐っても異世界転生者。

現代知識無双でせめて一矢報いてやる!!

「受付さん! 質問があります!!」

「なんだ!? モヤ〇ン!!」

モヤ〇ンってなんだ? 

もやし〇ンコってことか?

「なぜビキニアーマーなんですか? そんな鎧で大丈夫ですか!?」

どうだ、長年の疑問を聞いてやったぞ!! これぞ現代の叡智ツッコミ!!!

「貴様ァ! ちゃんと脳みそに筋肉は詰まっているのか!?」

回答は、剛腕首吊上ネックハンギングツリーと共に、やってきた。

「鎧なんぞで覆われていたら、鍛え上げられた筋肉アーマークラスでモンスターの攻撃を防げないだろうが!」

なるほど!!

あ、いやAC低下は修道僧モンクか忍者の能力だろう、アンタ神女じゃないのか!?

首をガクガク揺らしながら、僕はこの答えを来月号のヒロインエルフアマゾネスの台詞に活かすことにした。


なお、後日人気投票2位のヒロインとなった。

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