第13話 レンタル錬金工房
「あの……錬金工房を借りたいんですけど……」
「はい、レンタル錬金工房ですね。期間はどのくらいになさいますか?」
「え、えと……先にお部屋を見せていただいてもよろしいでしょうか……」
「はい、それではこちらにどうぞ!」
ファーラは、別の街の訓練場で錬金術師になったが、その街の錬金工房は新米錬金術師が溢れていて、弟子を募集していなかった。
錬金工房がなければ、錬金術師の代名詞たる『アイテム錬成』ができず、働き口がなくなる。
途方に暮れていたファーラの耳に入ったのが、アーガインのレンタル錬金工房の話だった。
拠点となる街を変えることに若干の抵抗があったが、もともと身寄りがなく冒険者
「わわ……すごいです」
興奮で竜の尻尾がふるふると揺れる。
人の好さそうな
「これなら一人で使う分には十分……いえそれ以上かも、です!!」
「気に入っていただけましたか?」
「はい!……あの、料金はいかほどでしょうか?」
「料金設定はこちらですね」
提示された値段は
「え、こんなに安く?」
これなら毎日ちゃんと錬金術関連の
「はい。機材を含めて賃貸契約ですので、このお値段です……ただし……」
「ただし?」
「爆発などを起こして、部屋及び機材に被害を与えた場合は、その分を弁償していただきます」
人の好さそうな女将さんの笑顔が、悪魔の笑みに変わる。
アイテム錬成に爆発は付き物だが、よっぽど身の丈に合わない高度な錬成じゃない限り、そうそう爆発しない……はず。
「は、はひ! 肝に銘じます!!」
「はい、お願いしますね。それで契約はどうしましょうか」
女将さんの悪魔の笑顔が、天使の笑顔に戻る。
「とりあえず1週間契約をお願いします……」
悪魔の笑顔のままだったら、とても契約できなかった。
「あ、それと……」
「はい?」
「宿の方もお願いします……6人分」
心配そうに、遠くの物陰から見つめる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます