第10話 魔物の反乱
テレビから地震とは少し違う不快なメロディーが鳴り響く。
ニュース速報。
『一つの塔以外の六迷宮から魔物が溢れ出しています! 至急! 一般人の方は迷宮から離れてください!』
スマホからもピロンと音が鳴る。
兄:魔物が沢山出てきたから手伝え
それと現場の指揮官の指示に従え
◇◇◇
俺は見た。二度目した。
現場まで急行してみれば……。
魔王プレイでは空きたらず、指揮官プレイをしていた。
人生楽しそうだな、おい。
兄は軍服姿にサングラスをかけたファッション。
「諸君、狼狽えるな。お前たちは勇敢な冒険者だ」
指揮官は冒険者たちに適切な指示で魔物をいなしていく。
ていうかさ。兄がこの暴走の元凶だろ。とツッコミたくなる。
なに、VRMMOみたいなイベント作ってるんだ。
魔法少女の参戦し、乱戦状態となった。
駆けつけた少女たちは三人。
その中には彩芽――魔法少女ハウメアの姿もある。
彼女たちは指揮官に攻撃をする。
彼はプレイで使用しているタバコパイプで三人の魔法を対処。
しかし、一般人からしたらイチ変態より魔物ほうが危険だ。
これでは魔物たちの対処が遅れてしまう。最優先事項を履き違えている状況。
兄は俺を見つけると、防衛スイッチから天才俳優スイッチがに切り替え、作動したように役になりきり、俺のことを「環参謀」と言う。
だが、俺が女の子になってるため、
「環? あ、あれ? 女の子? えっ?
……人違い…………で、ではないようだな。おほん。よく来てくれた、環参謀」
狼狽えつつも変態プレイを続行する士和。
「済まない。我は魔法少女たちの誤解を解かなくてはならない。
そのため貴様には特殊任務を命ずる。
操られた魔物を倒してくれ。後できればでよいが魔物を操る者を捕まえてくれ。
環参謀、検討を祈る」
士和はビシッと敬礼をする。
そこへ役割分担をしたのであろう少女、二人が士和を追いかる。
兄と彼女たちは俺が見る限り、報・連・相ができていない。
俺は道の開けた場所へ向かう。
そこには迷宮から排出された暴れる魔物。
兄の話を聞いて、この事件の犯人は兄ではない。そんな雰囲気があった。
ならば、実行犯は誰か。
一つ思い当たる人物がいる。
右田役満。
俺は憑依を否定した。
しかし、封印石は盗まれている。
その封印石を使い、この騒動を起こしたのではと考えられる。
広場に着き、あたりを見回す。
いた。
右田役満だ。
ヤツはポケットからなにか取り出した。
それを子どもの胸に押し入れる。
子どもは、
「た、助けて……魔物から僕を助けて!」
そう叫んだ。
だが、その叫びは誰にも届くことはなく、子どもは醜い姿に成り代わる。
俺はその醜い姿に恐怖と不安を覚える。
しかし、それ以上に俺が原因で起こしてしまった事件に後ろめたさがあった。
そして妹にもう辛い思いをさせまいと、一秒も早く助けると強く誓う。
「いくぞ! 【ダンジョンマイスター】!」
黄金の鍵が輝く。
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