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紀子には、機を読む才がある。天賦のものだと言っていい。そう演説をきりだすと、スポットライトを受けたように起立した。
「──しかし、トイレや着替えなど、そう言う肝心なお手伝いはさせられないと、同じ女子として私は思います」
と、オカモトも含めたクラスの視線をほぼ全て、このタイミングで掌握した彼女が
ヘッドライトにとびだした猫のように目と口をあけたたままの由里子だったが、それは了一の、初めてのかみなりの直撃だった。
「たしかにそうだな」オカモトは頭を抱えた。
実経験があっても了一は、介護をうける由里子には他人であって、かつ、思春期の異性であることを忘れていた。
「参ったな…… トイレか……」
そんな
「させてもらえませんか。私にも、そのサポートリーダーとやらを」
そう微笑んで、とりまきたちの控えめな拍手を紀子は浴び、また人知れず由里子はうつむいた。
「男子も女子も今後、彼女のような転入生のサポートにかかわっていく以上、リーダーもまた男女ふたりであるのが
オカモトの手を離れ、大円団をむかえたクラス会議は今、拍手と喝采で由里子を包み、紀子を輝かせていた。
──そう。感電したまま目を開いている彼だけを舞台の袖に残した、それが、
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